レノとマルティネスのジレンマ 前編
ビッグクラブのGKに必要な素質
ここ数週間で、アーセナルは嬉しいジレンマに直面することとなった。
ブライトン戦でのレノの怪我にアーセナルファンは頭を抱えた。今季レノは疑いなくチームのベスト選手の一人で、残念なことに今季のアーセナルはレノが忙しい試合ばかりだったからだ。
私を含め、よりセービングの機会が少ないチームではレノはどのような成績を見せただろうか、と思いを巡らせる人もいた。
多くのシュートを献上する脆い守備陣の後ろに控えるGKが輝くというのはサッカーの常だからだ。
常に神経を研ぎ澄ませている必要がある方がGKにとっては集中を研ぎらせずにいるのが楽なことが多い。一方で、ビッグクラブで本当に成功できるGKというのは90分に1,2度しか危険が訪れなくても、それらに冷静に対処できる選手だ。
単純に集中だけの話ではなく、チャンスの質の影響もある。試合を優位に進めているチームがチャンスを相手に与える時、それはビッグチャンスであることが多い。
チームが押し込まれていて、常に低い位置で守っていれば、シュートが飛んでくる角度は限られており、少しGKにとっては有利になる。
一方で、前がかかりに相手を攻め立てるようなチームはより相手にカウンターからフリーなチャンスを与えやすいものだ。
一応明確にしておくと、私はレノがこのように、ビッグクラブでは輝けないタイプのGKだといいたいわけではない。
ただ、一試合に数度だけ訪れる大きな危機にも対処できるタイプのGKなのかどうか、判断する材料がアーセナルではここまでほとんどないためわからない、というだけのことだ。
結果的には、レノの怪我は当初心配されたよりは深刻なものではなかった。さらに、その代役のエミ・マルティネスが目覚ましい活躍を見せたことで、アーセナルファンは大いに胸をなでおろした。
エミ・マルティネスの台頭
とんでもないことに、10代のうちにロンドンにやってきたマルティネスだが、アーセナルでファーストチームで30試合出場を遂げるのになんと10年近くかかった。
今季の序盤には、オスピナが売却されたことで、マルティネスはナンバー2になれる素質が本当にあるのだろうかと憂えていたが、今や多くのファンがもしかすると彼は将来的な正GKにすらなれるかもしれないと考え始めている。
エミ・マルティネスを判断するにあたってサンプルとなる試合数が少なすぎるのは事実だが、それでも彼の台頭は非常に好ましいものだ。
当然ながら二人の良いGKを抱えて競争させるのはチームにとって素晴らしいことだが、クラブの直面する金銭面での苦境を考えると、アーセナル上層部は難しい決断を強いられるのではないか、という見方も出来る。
アーセナルは何年にもわたって移籍市場での残念な立ち回りが続き、CL出場権を連続で逃していることも重なって、選手獲得の資金をねん出するには選手を売却しなければならない状況だ。
しかし、現在のアーセナルが売却したい選手で大きな利益を上げられそうな選手はほとんどいない。今の市場の状況ではなおさらだ。
となると、良い27歳のGKと良い28歳のGKを二人抱えるというのは、アーセナルの限られた資源の分配において賢いのかという疑問が持ち上がる。
インヴィンシブルズのシーズンのアーセナルの控えGKはスチュアート・テイラーとグラハム・スタックだった。
リバプールの現在の控えGKはアドリアンで、彼はアリソンと遜色ないレベルからは程遠い。
(後半に続きます)
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