俺たちのキーラン・ティアニー 前編

語ってみたTim Stillman,海外記事

ティアニーが国境を越えて南へとやってきた1シーズン目は少し奇妙なものとなっている。ファーストチームに食い込もうとした矢先にまた怪我をし、世界規模でのパンデミックにより、サッカーは中断した。したがって、ここまで我々はほんの少ししかティアニーがプレイする姿を見られていない。

ミケル・アルテタはここまでのティアニーを高く評価しているようだ。

『私がクラブに加わって以降のポジティブの一つがキーランだ。彼の性格や、自分の限界に挑戦する気質はまさに我々が必要としているものだ。彼は私がとても好きなタイプの選手で、彼のここまでには非常に満足している』と語っている。

同じく、散発的にしかピッチ上に姿を見せていないにもかかわらず、ティアニーは既にガナーズファンの間でポジティブなブランドを確立している。

雪嵐が猛り狂い、シロクマが吠え猛るロンドンの凍った荒野で、何とティアニーは半袖短パンでトレーニングに臨んでいた。

アーセナルが最後にスコットランド人の選手を迎えてからかなりの時間がたっている。ティアニーの先祖ともいえる同郷の選手たちにはポール・ディコフやスコット・マーシャルがいた。

彼らもまた、いかにも北極でも半袖短パンでアイアン・ブルー(スコットランドで人気の炭酸飲料)を飲んでいそうなやつらだ。

ティアニーは伝統のキルトに身を包んでおらず、赤毛の口ひげを生やしていないことを除けば、典型的なスコットランド人サイドバックそのものだ。

訳注: スコットランドの伝統衣装

彼は何にも心を乱されることがなく、サッカーサイボーグのような男だ。それは、10月のインタビューでグラスゴーとロンドンの違いについて聞かれた彼の返答に表れていた。

『ロンドンはどんな感じ?と聞かれるんだけど、全くわからないね、街には出たことがないから。トレーニングでハードワークをして、帰って休む。そしたらまた次の日練習、シンプルな人生さ。サッカーに全てを捧げている』と語り、その後、暇なときにはチョコを食べてプレイステーションをやるくらいだと続けた。

ティアニーは既にアーセナルでのカルトヒーローへの道をものすごいスピードで歩みつつある。彼がいかにも典型的なスコットランド人らしさを備えているからでもあるし、その彼の全く華々しいところを感じさせない性格のせいでもある。これは、我々が慣れている今時のサッカー選手とは全く逆だ。

ティアニーの髪形すらも、角刈りのようで、チャーミングな謙虚さを伴って見えてくる。

だからこそ、ブラマル・レーンにティアニーがスーパーのビニール袋をぶら下げて現れた際には話題になった。

これは、我々が抱いていたティアニーのイメージと完全に一致したからだ。サッカー選手が細かい身だしなみにも気を使い、買い物の際にもルイ・ヴィトンのエコバッグを使うような時代に、ティアニーは我々庶民の好感度をまたしてもくすぐった。

最近のアーセナルではスカッドのメンバーとファンの間での距離が開きつつあり、こんな時だからこそ、ティアニーがカルトヒーローへの道を歩み始めているのには大きな意味がある。

メルテザッカーやラムジー、ウィルシャー、ウォルコット、コシェルニーといった選手がクラブを去り、彼らの代わりを務めたのは短期的な補強で、ファンがあまり時間をかけてその性格まで知ることはできない選手たちだった。

上の5人は、ファン皆から人気があったというわけではないが、クラブにずっと在籍しており、我々がその愛嬌のある欠点までもを良く知る顔だった。

今のチームは組みあがってからあまり時間がたっておらず、かつ、多くの選手が近いうちに去るだろうという予感がある。ファン心理という意味では、あまり馴染みのあるチームという感じではない。

最近のアーセナルは単に少しクソだっただけではなく、アーセナルで留まる時間が長くないであろう赤の他人の寄せ集めのように感じられ、その上で彼らが少しクソだったのだ。

選手とファンが絆を築き上げるのには時間がかかるが、ティアニーには良い意味でとても昔ながらの趣があり、そのおかげで急速にファンとの距離は近づいている。

(後半に続きます。)

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ティアニーの選手紹介記事はこちら↓

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Posted by gern3137