アーセナルvsマンチェスターシティ戦振り返り

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100日間サッカーは中断していたわけだが、アーセナルはブランクを全く感じさせないアーセナルらしさを見せた。

『すべてが悪い方に転んでしまった』とアルテタは試合後に口にしたが、これに異論がある人は誰もいないだろう。

100日間待ち望んでいたサッカーの再開だったが、結果はまるでワクワクしながらクリスマスの朝にプレゼントの包みを開けたらホッカホカの糞が入っていたようなものだった。

続くメスト・エジル騒動

サッカーが中断し、我々が知る社会は劇的に変わり、政治が不安定になり、道にはデモがあふれている。それにもかかわらず、監督のたった一つの決断で、我々はまたしても皆一斉にエジルについて語り合っているというのは信じられないことだ。

アルテタが"戦術的な理由"でエジルをベンチから外したのだ。

だがこれは私には戦術的な理由というよりも『皆さんお気づきかと思いますが戦術的な理由というのはうそです。でもエジルを外した本当の理由は公開できませんのでとりあえずこれで行きます』的な理由に聞こえる。

どうやらエメリは後継の引継ぎの際に戦術的理由の使い方についてのメモを残していったようだ。

エジルは怪我でも病気でもなかった。にもかかわらず、9人置けるベンチにすら入らなかったのだ。エジルを活用できる可能性のある戦術的な場面が一つも思い当たらなかったということなのだろうか?

もう私がこれ以上言う必要はないだろう。

唯一言えるのは、この騒動はあまりに長引きすぎている。クラブはチームに影を落とすこの問題に即座に対処すべきだ。

怪我

開始数分でグラニト・ジャカがけがをした。3か月ぶりの試合だったので筋肉系の怪我に見舞われたわけではなく、シティの選手からタックルを受けたわけでもない。

自チームのゲンドゥージと衝突したのだ。

最初はそこまで大けがではないように見えたが、ジャカは立ち上がれず、そのまま担架でピッチを去った。ジャカはタフな男だし、あのような形でピッチを去るということはある程度深刻な怪我なのだろう。

しかし不運はこれで終わらなかった。少し粗の目立つプレイも見せていたマリがラヒーム・スターリングの乳首を蹴り飛ばした際にけがをしたのだ。アキレス腱系の怪我に見えた。そして、彼もまたプレイを続けられずピッチを去った。

つまり、これが何を意味したかというと・・・

ダビド・ルイス

シティがアーセナルより優れていたのは明らかだったが、ルイスが登場するまではアーセナルは比較的よくやっていたと思った。

もちろん、全てを彼のせいにするつもりはないが(ルイスは自分で試合後に『すべて僕のせいだ』と言っていたが)、この試合のいくつかの重要な転換点は明らかに彼のミスだった。

まずシティの一点目がそれだ。ルイスのクリアミスは、ゾウにドレスを着せてバレーを躍らせようとしたかのようだった。

そして、2点目はマフレズにかわされ、今季4度目となる愚かなPKを献上した。

チェルシー戦のものはムスタフィのミスもあったので同情の余地はあるとはいえ、それでも一人の経験豊富なCBがPKを与える数としてはあまりに多すぎる。

このプレイの後、スカイスポーツの解説者は『まあこれがダビド・ルイスだからね』と軽く笑っていたが、もちろんその通りなのだ。

だからこそアルテタはこの試合でルイスを先発させなかったのだろうし、また上層部のルイス獲得という決断への疑念はより高まることとなった。

だがアルテタはルイスの残留を望んでいるのだという。これはルイスのクオリティというよりももしルイスが去った場合の代役の問題なのだろうか?

ルイスは好人物で皆から愛されている。だが、それだけでは十分ではない。

トム・ハンクスはとんでもなく素敵な人物だが、だからといって彼をアーセナルのCBとしてプレイしてもらおうと思うか?

と思ったが、実際のところ、ソクラティスとチェンバースがけがをしており、ルイスが出場停止、ホールディングはベンチ入りすらできなかった、となると、トム・ハンクスに一応連絡したほうが良いかもしれない。

11分のアディショナルタイム

シティのキーパーであるエデルソンがあまりにやることがなく暇だったので、1982W杯のシューマッハ/バティソン事件(相手ではなく自分の見方をぶっ倒した事件だ)の再現を試みた。

可哀そうなエリック・ガルシアの治療に長くの時間が必要で、シティも交代枠を使い切っていたので、10対10での勝負が最後の11分で実現することになった。

まさか・・・?

もしかして・・・?

いやいやそんなはずは・・・?

もちろんあるはずがない。

アーセナルはシティに降りかかった不運と長いアディショナルタイムを活かすどころか、逆にもう一失点して見せた。

アーセナルに襲い掛かろうとするアグエロに対して、ムスタフィが獲った選択肢は、スーパーマンのように空に体を投げ出すというものだった。しかし残念ながら、ムスタフィは空中飛行能力を備えていない。

リプレイを見てみてほしい。実際に笑えるはずだ。この段階に至ってはもう笑うしかすることもないしな。

フィル・フォーデンをマークするものは誰もおらず、スコアは3-0となった。

アーセナルのアーセナルらしさを保つという強固な信念は他に類を見ない。

アーセナルの試合をどれだけ中断しても、チタン製のカプセルに封印して地中深く埋めたまま何億年も放っておいても、掘り出してスイッチを入れれば、瞬きする間もないうちにホカホカで準備万端、いつも通りフルスロットルのアーセナルが起動することだろう。

なんてクラブだ。

結論

今回の試合は、我々の未消化分の試合だった。もちろんアーセナルが勝つだろうとは期待していなかったし、状況を考えると、簡単にゴミ箱行きに出来るように思える。

アーセナルが不運だったことは否めない。ケガに連続で見舞われたり、ルイスの大爆発デーを引いてしまったりだ。また、シティは国内でもトップレベルの相手で、中断空け初戦のシュールな環境でもあった。

アルテタもまた、試合後に

『この試合はハードディスクから消去したいね。この試合を振り返って多くのことを得ようとするのはあまり意味がない。消去して、ブライトン戦の準備をしよう』

とコメントしていた。

ほんの少しのポジティブといえば、相変わらずレノが素晴らしいシュートストッパーだということをしめしたり(もちろん我々としてはむしろレノが暇なほうが嬉しいのだが)、ティアニーとベジェリンという怪我に苦しんだ二人が90分出場でき、かつ判断ミスがなければチャンスにつながったかもしれないシーンが1,2前半にあったくらいだ。

だがこれは本当に少しのもので、アーセナルがサカとウィロックを先発させて試合に臨んだというのは意味を持っているように思える。

これは、アーセナルの将来を暗示しているのだろうか?若手に出来るだけ多くの出場機会を与えるためにこの布陣を選んだのか?

二人ともそこまで輝いていたわけではなかったが、上でもいった通り、この試合から選手の能力を精確に測ることは出来ない。

ブライトン戦に集中しなくては、というのは簡単だが、私が思うに昨夜はアーセナルとアーセナルの目指す立ち位置に居るクラブの大きな差を浮き彫りにした。

この差を埋めるには、地道に改善していくしかない。

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Posted by gern3137