【縁の下の力持ち】フランシス・カジガオ-アーセナルチーフスカウトの功績

フロント海外記事

この20年でアーセナルは本当に多くのことを経験してきた。無敗優勝で頂点に立ち、スタジアム建設のための借金を抱え、優勝から遠ざかり、2010年にはカップ戦が主戦場のチームになり、今は4年CLから遠ざかり、再建の時期に来ている。

その間多くの人がアーセナルに来ては去っていった。ディーンとガジディスの体制が終わり、今はサンジェイとエドゥがその座を継いでいる。

アーセナル上層部の人材もめまぐるしく入れ替わっているが、だが、20年間アーセナルにずっと在籍している一人の男もいる。彼の名はフランシス・カジガオだ。

カジガオの経歴はとても興味深く、アーセナルのチーフスカウトにポジションにだからこそ相応しいともいえる。

カジガオがアーセナルでスカウトになった経緯

彼はスペイン人の両親のもとにロンドンで生まれ、アーセナルのユースチームで80年代にはプレイしていた。彼のサッカー選手としての経歴はパッとしたとはいえず、28歳で既に引退を決意し、生まれ育ったクラブであるアーセナルで主にスペインと南米を担当するスカウトとして働き始めた。

にもかかわらず、カジガオのことがあまり知られていないのは、彼がいわゆる縁の下の力持ち的な役割を果たすタイプで、単に選手獲得の推薦状を出すだけだからだろう。

選手の獲得会見に同席することもなければ、スタジアムで上層部とボックス席に座ることもない。昔ながらの監督への全権委任型モデルは、カジガオの獲得はすなわちアーセン・ベンゲルの獲得だった。

だが、新しいアーセナルのモデルでは、テクニカルディレクターであるエドゥが監督のアルテタとフットボール長であるサンジェイとの間を取り持つことになり、カジガオもエドゥの指揮下に入ることになった。

監督直属ではなく、むしろテクニカル部門に属するスタッフとなった、ということが過去との一番大きな違いだろうか。

カジガオの選手発掘力

ミスリンタートと同じように、カジガオもまた、単なるスカウトではない。セスク・ファブレガスのカジガオに関するコメントが示す通り、彼もまた若手選手とパーソナルな関係を築くタイプの人物だ。

アーセナルは若手を発掘し、成長させ戦力とする必要がある時期に来ているが、問題は、世界中のクラブがこういったダイヤの原石を狙っているという点だ。

このような時代にカジガオがアーセナルのために働いているのは大きなアドバンテージだろう。彼は2019年にもまた、マルティネッリを発掘し、才能を見抜く目が確かであることを証明して見せた。

興味深いのは、マルティネッリが何度かユナイテッドでトライアルを受けたが、彼らは才能を見抜けなかったという点だ。もちろんカジガオはユナイテッドのスカウトたちとは異なる意見を持っており、そして、結局は彼が正しかったことが証明された。

一部では、マルティネッリの獲得に一役買ったのはエドゥだという誤った噂が流れているが、実際のところ、夏の移籍市場が始まる前に既にカジガオがマルティネッリの移籍はすべてまとめ上げていたのだ。

また、El Confidencialのキケ・マリンによると、ウィリアム・サリバを見つけ出したのもカジガオなのだという。

これはもし事実なのであれば、興味深い話で、ここまでのところカジガオは基本的にスペインと南米から出ることをしなかった。フランスでの選手獲得にも彼が乗り出しているのだとすれば、彼のアーセナルでの管轄が広がっているという証なのかもしれない。

アーセナルでのカジガオの高まる評価

カジガオがアーセナルに呼び寄せたのは何も若い選手ばかりではない。彼はより経験豊富な選手の獲得にも一役買っており、ローレンやモンレアル、カソルラといったアーセナルで成功を収めた選手たちの獲得も手助けしたのだという。

これこそが、彼のクラブでの評価の高さの証だろう。若手発掘を担当していたスカウトが、最終的にトップクラスの選手の評価にも関わるようになったのだから。

Image Via Marca

アーセナルのインターナショナルスカウトとしてのカジガオの評判は高まるばかりだ。彼はまだ51歳だが、既に23年物スカウトとしての経験がある。

その実績が買われ、ついにアーセナルでスカウト長に就任したわけだが、これは彼の以前までの仕事とは異なるものだ。実際の選手発掘よりもむしろ、意思決定のプロセスや移籍ターゲットの議論に関わるものだからだ。だが、彼はその仕事をこなす準備が出来ているようだ。

2017年にStandard紙が報じたところによれば、アーセナル内では彼をスポーツディレクターに昇格させる案までも浮上していたらしい。他クラブも彼の引き抜きに興味を示していたそうだ。

だが、結局アーセナルはテクニカルディレクターというポジションを新設することに決め、カジガオをディレクターに迎える必要はなくなり、彼は国際スカウト部門の担当にとどまることとなった。

ミスリンタートのような強烈な自己の持ち主とは異なり、今の時代には稀有なものとなっているアーセナルへの忠誠心を持ち合わせているのもカジガオの素晴らしい素質の一つだ。彼は常にクラブに尽くしてきており、自分の立場に関して不満を言ったことなどは一度もない。

Athleticによると、アーセナルはエドゥのブラジルでの影響力と、カジガオの経験を合わせれば南米出たクラブよりも優位に選手獲得をすすめられると感じており、南米でのスカウティングを強化していく方針なのだそうだ。

また、ヨーロッパの5大リーグからの選手獲得と比べて、移籍金が安めである傾向にあるのも見逃せない。

そして、カジガオの専門性はアルテタが自身の母国スペインからの選手獲得を目指す際にも役立ってくれるだろう。

コロナウイルスの影響で、各国のサッカークラブの経営は厳しくなるに違いない。今後は、どのチームが優れたスカウトチームを備え、いかにして安い移籍金で優れた選手を獲得できるかの争いになるだろう。アーセナルの成功のカギを握るのはカジガオといえそうだ。

組織のトップの能力というのは持つ部下によって変わるものだ。人々は決定を下した人を賞賛するが、その前に毎日地道な仕事を続けるスタッフのことを忘れがちだ。今こそ、アーセナルの縁の下の力持ち、チャントを歌われることのないヒーロー、フランシス・カジガオに敬意を表そうではないか。

(Source: http://ltarsenal.com/francis-cagigao-arsenals-unsung-transfer-market-hero/?preview=true&_thumbnail_id=865)

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Posted by gern3137