空気の変化 後編

語ってみたTim Stillman

(この記事は前編の続きとなっています)

エネルギーと呼んでもいいし、情熱でもいい、なんならその必要性があれば、”ヴァイブス”とさえ呼んでもいい。ソクラティスがユナイテッド戦後に『楽しいアーセナルが帰ってきた』とコメントしていたが、これはファンや分析家たちが見落としがちな非常に重要な点の一つで、選手たちがまた進んでハードワークを行うようになってきているのだ。

これはチームの競争力などとは別の問題だ。選手によって刺激への反応への仕方は色々あるだろうが、それでも心の底から中途半端にプレイしたいと考えている選手などいないはずだ。

アルテタが選手から即座に反応を引き出せたのは、彼が賢く、このことを理解していたからだ。選手のやる気を出させるのに、こぶしを振り上げる必要はない。

ユナイテッド戦でエジル、ペペ、ラカゼット、オーバメヤンの4人が初めて同時に先発したが、この試合で守備面でもろさを見せることは全くなかった。

アルテタの会見で、エネルギーと並んで目立っていたのは、"納得する"という言葉だ。彼は選手たちをいかに納得させるかについての話をした。

単なる言語の問題かもしれないが、アルテタが『我々はこのようなやり方で生きていく(live)』と発言したのも興味深い。トレーニングでもなく、プレイするデモ、ワークでもなく、生き方なのだ。

アルテタが信念にあふれた監督だというのは明らかになっている。まず、アルテタはチームの選手間の距離を縮めることに心を砕いた。ジャカはもう50mもカバーする必要はないし、ナイルズが中盤に入ることでエジルの後ろに三人が並ぶことになる。

これにより、ジャカとトレイラがカバーする範囲は狭くなり、ボールを奪われるたびに中距離のスプリントを行う必要はなくなり、限定された範囲を守るだけで済む。

このような状態であれば、地平線の向こう側のボールを追いかける代わりにすぐ近くの危険に向けてダッシュするだけでよく、守備をするのは楽になる。

攻撃の距離感も近くなり、エジルは右寄りのお気に入りのスペースに入る場面が多くなった。ラカゼットとオーバメヤンのポジションチェンジも見られるようになり、これによりラカゼットがペナルティエリアの角のお気に入りのスペースでプレイする一方でオーバメヤンは中に入れるようになった。

この改革の効果は劇的で、なんとチェルシー戦でエジルは過去2年間で最長の走行距離を記録した。

これは単にアルテタの選手の使い方が上手いという話ではない。未だにオーバメヤンは左でプレイしているし、ラカゼットは得点できず、18歳のウイングがサイドバックを務めさせられていた。

アルテタが成し遂げたのは、ユニット間の距離を縮め、彼らが得意なプレイに集中できるようにすることだ。

このアルテタのやり方に対応できる選手も出来ない選手もいるだろうし、変革の時期には痛みがつきものだ。恐らく夏でチームを去る選手もいるだろう。

アーセナルは結局ベンゲル時代からの移行に成功しておらず、また新たな変革を始めなくてはならなかった。だが、今回クラブは正しい方向に進んでいるように感じられる。ファンの反応も良く、チームが放つポジティブなエネルギーに呼応している。

もちろんまだ結論を出すには早すぎるが、確実に空気は変わり始めている。革命の成功は近いかもしれない。

(Source: https://arseblog.com/2020/01/something-in-the-air/ )

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Posted by gern3137