マルティネッリ躍進の理由を紐解く 後編
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だが、マルティネッリを興味深い選手にしているのは、ここまでの多様なサッカーキャリアだ。ラングが指摘していた通り、彼と彼の父は計画的に、欧州サッカーでの成功が納められるようにヨーロッパへのキャリアパスを計画してきた。マルティネッリは学校に通っていた時代からすでにメンタルトレーニングやけがを防ぐためのトレーニングを受けてきたそうだ。
だが、マルティネッリのここまでの道筋はエリートとはいいがたい。15歳でビッグクラブのコリンチャンスのアカデミーから地域リーグ、ブラジル4部相当のイトゥアーノへと移籍することになった。父親がイトゥで働くことになったため、マルティネッリもそれについていくことになったのだ。
これが父と子の計画通りのものだったのかは定かではないが、これにより彼の選手としての成長が加速したのは間違いない。結果的に、マルティネッリは10代のころから荒れたピッチでテクニックを鍛え、また少しでも多く勝利ボーナスを得ようとどん欲に戦う大人の男たち相手に戦うことになった。
これは、彼がいかにイングランドサッカーにスムーズに適応したかにも見て取れる。彼はフットサルでスピードとインテンシティを鍛え、そしてブラジル4部の荒さに比べれば、きれいなピッチでプロと試合をするプレミアリーグなどお手の物だろう。
彼がピッチ上を小動物のように走り回り、短いバックリフトで強烈なシュートが放てるのには理由があるのだ。
イトゥアーノではマルティネッリは左サイドを主戦場とし、中にカットインしての右足でのシュートがトレードマークだった。また、サイドバックとの連携も得意としていた。ガナーズでもすでに、彼がオーバーラップするサイドバックに外を任せて中で点を決める形がうまくいきそうだという兆しは見えている。
マルティネッリはヨーロッパサッカーへの適応に備えて何年もエリート教育を施されつつ、同時により低位のリーグでの経験のおかげで、実直なスタイルも兼ね備えている。
エドゥがマルティネッリ移籍にどの程度かかわっていたかはわからないが、既に彼は五月にブラジル代表のトレーニングにも呼ばれている。
もちろん、アーセナルファンは素晴らしいタレントを持ちながら結果を残せなかった若手というのには見慣れており、いまだに慎重に見守る必要がある。だが、個人的にはオーバメヤン、ペペ、マルティネッリの前線はクリエイティビティと火力のバランスが取れていると思う。
とはいえ、慎重にマルティネッリの成長を管理しなければならないのは当然だ。例えばゲンドゥージはマルティネッリよりも2歳年上だが、いまだに好不調の波が激しい。
しかし、マルティネッリには既に2年間のシニアレベルでのプレイ経験があり、彼の父のおかげでプロ選手のように生活することにも慣れている。今季アーセナルファンを喜ばせるものはあまり多くなかったが、マルティネッリの台頭は、間違いなく絶望の上にさす一筋の光だ。
(Source: https://arseblog.com/2019/12/gabigol-raiz/ )
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