【インタビュー】ダニ・セバージョス 前編

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それは、一曲のチャントから始まった。ダニ・セバージョスは耳を澄ませ、笑い、そして少し恥ずかしそうに下を向いた。『驚いたよ』と彼は言う。

アーセナルファンは彼は良い選手なのだと予想していた。なんといってもレアルマドリードから来た選手なのだから。あるいは願っていた、という方が適切かもしれない。レアルを去るということは誰かが彼のことを必要ないと考えた、ということでもあるからだ。

したがって、ここまで早い段階で、ここまで素晴らしいパフォーマンスを彼が見せると期待していた人は多くはなかった。セバージョス自身でさえもだ。

2アシスト、チーム最多タッチ、ドリブル、パス数。そして、踊るように回り、転び、それでもボールを失わなかったあの瞬間、サポーターの中で彼のは高々と歌われた。そして、セバージョスはそれ本当に彼の名前なのか確かめなくてはならなかった。

オー、ダニ・セバージョス♪

『本当にありがたく思っているよ』と彼はつづけた。『まるで既に10年アーセナルですでにプレイしているみたいだった。』と。

彼は今スペインに戻り、代表チームと共にいる。バーンリー戦から2試合が経ち、その後全てあの試合のようにうまくいくわけではないということも思い知らされた。リバプール戦では輝けず、ノースロンドンダービーではベンチだった。

だが、彼は”Me encanta”、スペイン語で『最高だよ』と繰り返し言う。

『街は最高だし、プレミアリーグもアーセナルも最高だ。このような偉大なクラブの一員であることが幸せだよ。レアルマドリードもアーセナルもほとんど同じ規模のクラブだ。ファンは情熱的で、選手たちを愛している。もう何年も前からクラブに在籍していたみたいな気持ちにさせてくれるから、適応も簡単だ。ファンから受けた扱いは最高だったよ、僕のことを信じてくれているのを感じる。』

信頼、機会、そして帰属感というのが鍵だろう。才能は常にそこにあったのだから。セバージョスは8歳でセビージャのユースに加わったが13歳で放出され、17歳の時にベティスに加入した。その際すぐクラブは獲得を決め、ビッグクラブに噂が流れないようにすぐに交代させたのだそうだ。

ベティスが予想した通り、彼が20歳になるころにはレアルマドリードとバルセロナが興味を示し、レアルが競争に打ち勝った。だが、この移籍は必ずしもうまくいかなかった。ジダンの指揮下ではセバージョスはほとんど機会を与えられなかった。

のちにMARCAのラジオに本人が『これは不可能だ、と分かる瞬間みたいなものがあるんだ。クロースとモドリッチがけがをした時に、監督は僕を起用するのではなく、システムを変えて他の選手を起用しようとしたりすることがった。』と語っている。

ジダンがとどまっていれば彼は移籍していただろうと認めているが、ジダンが去ったことでそうはならなかった。だが、その6か月後にはなんとジダンが帰ってきた。ジダン復帰後は11試合で1試合しかスタメンできず、個人的にトレーナーを雇ってフィジカルのレベルが下がらないように気を付けていた。そして、この夏もジダンは特にセバージョスを残留するよう説得する様子はなかった。

セバージョスを率いたことのある監督の中にはこの扱いは流石に酷すぎると思う者もいたようだ。

『現実的にならなくてはいけない。アーセナルでは2試合良いパフォーマンスを見せられけど、これだけの試合をマドリードでの2年間は見せられなかった。出場機会が少なかったのも事実だけど、プレイできた時でさえ本当のポテンシャルは発揮できなかったんだ。これは、自信の問題とも関係があると思う。だけど、他人を責めてばかりいるわけにもいかない。』とセバージョスは言う。

セバージョスがエミレーツスタジアムでデビューを果たしたその日、サポーターにはすでに彼らの望むものがわかった。セバージョスの残留だ。もちろんその後少しはその気持ちが揺らいだかもしれないが、決定的なものではない。

トッテナム戦では彼はベンチに下がり、彼のような選手を起用しつつどうやって攻守のバランスをとるのか、というアーセナルにはおなじみの疑問が首をもたげた。彼は自由にプレイする選手で、セバージョスのプレイにはいつも少しばかりのカオスが付きまとう。したがって、他の部分でどうやってバランスをとるのかは確かに課題だ。

だが、彼の才能はそんなものをものともしないくらいに素晴らしい。加えて、彼はまだ適応の最中だ。頼もしいことに、彼は自分で自分の欠点を分析することも出来る。リバプール戦で多くを学んだとセバージョスは言っている。

『アンフィールドで見た光景は未だかつて見たことのないものだった。彼らほどうまくプレスをかけるチームを見たことがない。そして、ファンがチームを後押しする姿もすさまじかった。

彼らは僕らのスタミナを奪う。守備に時間をとられすぎて、ようやくボールを奪って何かしようというときには呼吸を整える必要がある。でもその時にはもうリバプールは守備を整えてしまっている。彼らは徹底しているね。』

これは、エメリもアーセナルで参考にしようとしている形なのだろうか?

『今の時点で比べることはできないよ。同じような形もトレーニングはしているけど、ユルゲン・クロップがリバプールにやってきたのは2015年で、ウナイはまだ昨季来たばかりだ。去年はCL出場権獲得まであと勝ち点1に迫っていたし、ヨーロッパリーグも優勝まであと一歩だった。彼がアーセナルにいるというのは非常にポジティブだよ。この数年以内にアーセナルは世界のトップ10チームとしてすべてのトロフィーを争っているはずだ。』

(明日の後編に続きます)
Source:
https://www.theguardian.com/football/2019/sep/12/dani-ceballos-arsenal-real-madrid-hardly-any-difference-anfield

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