エディー・エンケティアとアーセナルの前線

分析Tim Stillman,海外記事

ハヴァーツに加えてデクラン・ライスとティンバーの獲得もほぼまとまったとみて良く、恐らくアーセナルの夏の補強は大筋完了と言っていいだろう。

彼らにクラブが費やした移籍金は200m£にも上る。

アーセナルの夏の今後は放出次第になるはずだ。

GKはラムズデールとターナー、カール・ハインという布陣に変わりはなさそうだし、ティアニーやセドリック、ホールディングの移籍があったとしても、守備陣は人員は足りているように見える。

サリバ、ホワイト、ガブリエル、キヴィオル、冨安、ティンバー、ジンチェンコがおり、ティアニー、ホールディング、セドリックの3人のうち一人くらいは残留となる可能性もありそうだ。

ジャカは退団となったが、中盤にはジョルジーニョ、ライス、ハヴァーツ、ウーデゴール、ヴィエイラ(スミスロウもここにカウントして良いだろうか?)がおり、パーティが退団となれば、その代わりとなるMFを獲得する、というシナリオのはずだ。

サイドに関しても、アーセナルはスミスロウとネルソンをクラブに留めることを決め、彼らがサカやマルティネッリの競争相手となるということだろう。

恐らく一番興味深いのがセンターフォワードのポジションで、ジェズスが一番手であるのは間違いないが、その控えには前線であれば万能にこなせるトロサールがおり、かつエンケティアとバログンがいる。後者2人は二人ともがこの夏残留することはないだろう。

エンケティアは契約延長をしたばかりで、バログンの残り契約はあと2年だ。バログンはアメリカ代表のスターストライカーになっており、ファーストチームの重要な一員としてプレイする機会を望んでいることを明言している。彼はランスでそれを経験しており、また以前のような立場には戻りたくないと感じているはずだ。

となると、アーセナルの来季のオプションとなる可能性が高いのはジェズス、エンケティア、トロサールということになる。

体格などから見て、アーセナルファンがもう少し異なるタイプのFWのオプションを望む気持ちもわかるが、マンチェスター・シティでアルバレスの起用によりハーランド起用時とは全く異なる戦術の採用が可能となる、と言うわけではなく、単に彼らは世界最高クラスのストライカーともう一人非常に素晴らしいFWを備えている、というだけだ。

同じように、リバプールも何シーズンかをサラー、マネ、フィルミーノの前線に控えはディボック・オリギのみという布陣で乗り切った。

もちろんアーセナルにはもう一人相手のハイプレスをかいくぐる際に役立つFWが居てもいいのではないか、という主張には一理ある。

ブライトン戦ではジェズスを起用しながらアルテタはこれを試し、比較的うまくいった。ルイス・ダンクはジェズスとの競り合いには勝てるが、ジェズスはそのクリアがアバウトなボールになってしまう程度にはダンクを苦戦させることが出来、そのルーズボールをウーデゴールやサカが狙うことが出来た。

とはいえ、トロサールもジェズスと同じくどちらかというとゼロトップ寄りの選手で、確かにもう一人空中戦に強いオプションが居れば役に立つ場面もあるかもしれない。

ただ、アーセナルは以前のリバプールや、アグエロ退団後からハーランド加入までの期間のシティと同じように、得点を前線3人に分散させるモデルを採用しているように見える。

どちらかというとファンは昔ながらのやり方の方が安心に感じる傾向にはあり、それはジンチェンコの左サイドバック起用についても昨季後半にかけて見て取れた。

単純に対戦相手が中盤でプレイするジンチェンコに慣れてきたというのもあるだろうが、結果が伴わなくなるにつれて、もう少し普段通りの左サイドバックを試してもいいのではないか、という声も上がり始めていた。

CBはボールをクリアし、背の高いセンターフォワードが相手をはじき返すサッカー。左サイドバックがセンターサークルに入ってくることはないサッカー。

保守的で伝統的なやり方のサッカーは少し我々の不安を和らげてくれる。

確かに、今のアーセナルに昔ながらのターゲットマンタイプのFWがいればそれなりに役に立つだろうが、かといって現状のチームがそこまで劇的な戦術変更を考慮するほどの緊急事態にあるとはいえない。

そして、ここまで考えると、ファンのエディー・エンケティアに対する少しばかりの懸念の根底に流れるものが見えてくる。

エンケティアはジェズスのように、ゼロトップ型のタイプではないが、一方で伝統的なターゲットマンでもない。

そして、より大きな不安点は、これが単にファンが抱いている懸念というだけでなく、恐らくアルテタも共通で抱いている懸念に違いない、という点だ。

アルテタはファーストチョイスのストライカーが怪我をして必要に駆られた際以外の場面でエンケティアをプレミアリーグの先発として送り出すことはないのだから。

ジェズスがW杯でけがを負ってしまった後で、エディーはチャンスを掴み得点を重ねるかに見えたが、その後アーセナル全体の調子ととともに調子を落としてしまった。さらに、これは別にどちらかの選手が責められるべきだというわけではないが、実際問題、マルティネッリの得点力はエンケティアと共にプレイしていた期間中に顕著に低下していた。彼らの間にマルティネッリとジェズスの間にあるようなケミストリーは存在していないのだ。

一方で、アーセナルとマルティネッリの調子はトロサールが中央で起用されてからより輝き始めた。

もちろんだからといってエンケティアの去就や代役は解決が必要な喫緊の課題、からは程遠いし、特にアルテタが放出を望んでいるというわけではないだろう。

恐らく理想的にはアルテタが求めるストライカーのタイプとはエンケティアは完璧には一致していないかもしれないが、スカッドの2,3番手のストライカーのプレースタイルというのはスカッド作りにおいてそこまで優先度の高いものではない。

まだエンケティアの契約は長く残っているし、少なくともその将来をこの夏慌てて判断する必要はないだろう。他にも多くまとめなくてはならない取引がアーセナルには山積みだ。

夏の移籍市場一つの間に、全ての課題を完璧に解決することはできないのだから。

とはいえ、アーセナルの夏がすべて順調にいき、何かしらの機会が訪れれば、もしかすると最後の最後にクラブはこの部分に手を付けようとする可能性もなくはない。

アーセナルはハヴァーツ、ライス、ティンバーに加えて、もう一人誰かの補強を行うのではないだろうか。

もしセドリック、ティアニー、ホールディングの3人ともが売却となるのであれば、それはDFになるかもしれない。パーティが売却されるのであれば、獲得されるのはMFだろう。だがそのどちらの放出も進まなければ、もしエドゥとアルテタがストライカーをもう一人チームに加えようとしてもそこまで驚きではないかもしれない。

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Posted by gern3137