退団が近づくエミール・スミスロウ?
うまく説明することは難しいのだが、どの時代、どのチームにも単純に監督が好まず、相性が合わないタイプの選手、というのがいる。
多くのアーセナルファンにとってスミスロウが最近メンバーを外れがちであることに驚いているが、振り返ってみれば、そもそもスミスロウがアルテタがチームに最適と考える選手ではないのではないか、という兆しは当初から少しあった(もちろん、今後この意見が間違っていたと証明される可能性はまだあるが)。
彼がハダスフィールドでのローンを経て怪我から復帰し、2020年の12月にチームに台頭したタイミングは非常に良かった。
アーセナルはウィリアンやラカゼットをトップ下として起用せざるを得ないほど、ライン間でプレイできるようなMFが不足していたからだ。
非常にハードルは低かったとはいえスミスロウはこの役割を上手くこなしたが、それでもアルテタは2021年の1月にローンでのウーデゴールを獲得し、そして夏には完全移籍で獲得することとなった。
もちろんトップ下はチームには一人では足りないのである程度これは当然ではあるが、実際の所、チームに本格的に台頭した2022年の春以来、スミスロウは攻撃的MFとしてはほとんどプレイしていない。
翌年の2021/22シーズンはマルティネッリと左ウイングの出場機会を分け合いながら、良い数字を残したがその後怪我で長期にわたって離脱することとなった。
興味深いのはこの期間中のミケル・アルテタが行った選手獲得で、これを見る限りアルテタは常にスミスロウのことをチームに絶対に不可欠な選手だとは考えていなかったのではないか、という節がある。
直近の2つの移籍市場でアーセナルはトロサールとファビオ・ビエイラを獲得しているし、もし怪我からの復帰を待ってスミスロウを本格的にチームの中心に組み込むつもりがあったとしたら、これらの獲得は行われなかっただろう。
さらにジンチェンコの獲得以降アーセナルのプレイスタイルは変わり、彼が左ウイングとして活躍する場面は以前より想像しづらくなっている。
このシステムではマルティネッリは常に大外の高い位置をキープするが、これはスミスロウに向いた役割ではない。
むしろスミスロウはティアニーのようなサイドバックに大外をオーバーラップさせ、その際に一つ中に入るようなプレイの方が得意だろう。実際の所、この二人のアーセナルでの将来はある程度リンクしていると言ってもいいかもしれない。
もちろんトロサールと同じようにマルティネッリとはまた異なる左サイドでの役割をスミスロウはこなせるはずだという意見もあるだろうが、彼がトロサールのポジションを奪えるかどうかは確信が持てない。
また、時々話題になるのは、スミスロウを今のジャカが務める左CMFとしてコンバートするのではないか、という話だが、今季を見る限りアルテタはスミスロウよりもファビオ・ビエイラに中盤でもより多くのチャンスを与えてきた。
スミスロウの出場機会が最近非常に限られているのは単にアルテタがそこまで高く評価していないからではないか、と考えるのが自然に感じられる。
今となって思い返してみると、スミスロウが契約延長と共に10番を身に着けることになったことについてのアルテタのコメントは『私は自分が出来る以上のことを求める選手が好きだよ。もしかすると、それは彼らのポテンシャルを超えているかもしれないが、我々としては選手がそれを信じるならこちらで限界を設定したりはしない』というもので、この時点でアーセナルの10番を背負う力を備えていると考えていなかった、ととることも出来るものだった。
そして、さらに時間が経つにつれてスミスロウの出場時間が少ないことに関して聞かれた際のアルテタのコメントはより厳しいものとなっていった。
例えば昨月は『サッカーで重要なのは去年や先月成し遂げたことじゃないんだ。今が重要で、昨日何をし、明日他何をするかが大事なんだ。選手はこのような考え方をもって、今チームの勝利への貢献をしなくてはならない。』
アルテタは公の場でほとんど叱責に近いようなコメントを出しているわけだ。
怪我から復帰後のスミスロウのパフォーマンスは低調で、ある程度点差が決まった試合での出場がほとんどとなってしまっており、これがアルテタがスミスロウをどう考えているかを反映しているように思われる。
もしアルテタがスミスロウのことを十分に信頼していればこのような起用方法は行わないはずだ。もちろんコンディションが関係している可能性はあるが、とはいえスミスロウが手術を終えたのはもう何か月も前のことだ。もし現在もその影響でコンディションが上がらないのであれば、監督の評価とは関係なく、どちらにせよチームでの居場所はなくなってしまうかもしれない。
トロサールとビエイラに加えてアーセナルはラフィーニャやムドリクにも興味を示していたし、これらから考えて、監督がスミスロウをチームで起用するプランを持っているとは考えづらい。
この夏スミスロウが売却となったとしても、驚くべきことではないのかもしれない。
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ディスカッション
コメント一覧
攻守両面において戦術理解度が低い。ただこれは英国人全般に言えるもので、今に始まったことでもない。外国人枠が無に等しくなり、リーグのレベルが飛躍的に向上。EUという試みから発生した問題であり、英国に限った話ではない。
多くの人(監督、マスコミ、サポーター)が巧みなステルス差別で問題をゴマ化していた。
ベンゲルは涙ぐましいほど真摯に対応した。20年かかってもうまくいかなかった。
いい奴である。私に言わせればこれまで在籍した(以下略)。…出ていきたいなら止められないが、まだ若く可能性はある。
マウント獲得の噂がありますが、わざわざ青の生え抜きを獲るなら自分の生え抜きを大事にしてもらいたいです
若い内に他へ移籍した方がいいけどそうなったら残念
ネルソン、ティアニー含め
代わりにシティのお下がりだけはもう勘弁してほしい
できればスミスロウはローンでコンスタントに出場してもらいたいですが、
ジャカティアニーネルソン共々本人の意思を尊重して選択してもらうしかないですかね。
アルテタの起用が偏ることはもはや間違いないので選手が不幸になることを避けて欲しいというだけです。
ウィロックをはじめ近年の若手脱出組は割と成功して幸せになってますし
10番返上。彼の出直しの覚悟を見たい。その上で、場合によってはレンタルで出場機会を模索することも悪くない選択肢だ。
ティアニーがそうであったように、彼も隣のビルからリフォームされていく建造物を眺めている。そしてそれはいつしか、自分の登ってきたフロアーより高くなった。
大刷新が行われるのか、行えるのか、アルテタの言う、完璧にやらなければならない、が実現すれば彼の居場所はないかもしれない。彼の言う、夏の完璧にスミスロウは入っていないように思える。勿論、彼がその才能を大きく発展させれば、それこそ完璧に違いないが、時間は常に上から下へと流れていて、その流れを変えることは容易ではない。彼はチームの中でとても若い方では無いし、10番をつけている。
生え抜きがジャックを継ぐのだから理想的ではあるが、このシーズンの終わり方は夢から覚めるのに十分な痛みである。彼の軌跡を見れば、良い時に生まれたとも言えるし、その逆も然り。これからは才能と実力だけが彼のポジションを決める。