アーセナルのサイドバック事情

分析Tim Stillman,海外記事

昨季のアーセナルの春の大ブレーキの大きな要因の一つがチームがファーストチョイスのサイドバックの二人であるティアニーと冨安を怪我で欠いてしまったことであるのは間違いない。

冨安は素晴らしいパフォーマンスを見せていたが、シーズンの半分ほどしか稼働できなかったし、ティアニーは毎年のように春に怪我をしてしまう傾向にある。

そのせいで昨季アーセナルはシーズン終盤セドリック・ソアレスとヌノ・タヴァレスというコンビをサイドバックに起用して試合を戦う必要があった。

だが今季はクラブはジンチェンコを獲得、そしてサリバのローンからの復帰に伴ってホワイトが右サイドバックとしてプレイしている。

このおかげで、ティアニーと冨安の不在はアーセナルにとってそこまで痛手ではないどころか、今の段階ではもしも4人ともがスカッド入りできる状態だった場合でも、冨安とティアニーの二人が自動的にファーストチョイスとして先発するとは言い切れない。

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ただし、最近はジンチェンコの怪我によりティアニーは再び先発に復帰している。

左サイドバックをティアニーとジンチェンコの二人から選べるというのはアーセナルにとって非常に好ましい状況であるし、ベン・ホワイトも右サイドバックとして印象的な活躍を見せており、そのおかげで怪我を抱えた冨安を焦らずゆっくりとチームに復帰することが可能となった。

また、興味深いのは、これにより単純にサイドバックの層が厚くなっただけでなく、アルテタは対戦相手に応じてスタイルの異なる二人のサイドバックを使い分けることが出来るようになったという点だ。

ジンチェンコは中に入ってプレイできる、まるでMFのようなサイドバックだし、逆にティアニーは大外でのプレイを得意とする、ウイングからコンバートされたような左サイドバックだ。

そして、サリバのCBとしてのパフォーマンスが素晴らしく、彼のポジションが今後も揺るがないとすれば、右サイドバックもホワイトと冨安の二人が揃った右サイドバックも状況は似ている。

アルテタがここまでの所継続して冨安ではなくホワイトを起用しているのは、単に彼が好調だと言うだけではなく、彼を起用したほうがアーセナルのシステムがよりアグレッシブになるというのもあるだろう。

ポジショナルプレイを志向するアルテタのチームは基本的に常に前線に5人の選手が並んでいる。冨安は最終ラインでCB2人に加わって3バックを形成することが出来るため、昨季のアーセナルにとって素晴らしい獲得となった。

この際ティアニーは前に上がって前の5人の一員となり、パーティとジャカが2人で中盤を形成していた。

昨季の3-2-5

だが今季はサリバが加わり、左サイドバックにジンチェンコが居ることで、今季のアーセナルはどちらかというと3-2-5よりも2-3-5に近い形となることが多い。

もちろんこれはかなりフレキシブルなもので、特に左サイドは右サイドと比べてかなりポジションチェンジも多い。

ジンチェンコが少し後ろに控えてジャカは前へと上がっていけるが、この時ホワイトは第3のCBというよりもむしろ第3のMFのような位置でプレイすることが多い。

昨季の冨安は右サイドバックの位置でプレイするCBのような存在だったが、今季のホワイトはむしろ、逆サイドのジンチェンコのように、右のハーフスペースに入り込む。

ホワイトが昨季の冨安と比較して高い位置を取ると、理論上は守備時の危険は増すはずだが、サリバは守備能力が非常に高いため、彼一人でも右側のエリアを守り切れるということなのだろう。

クリスタル・パレスは開幕戦でザハに素早くボールを届け、ここを突こうとしたが、ホワイトとサリバは彼に仕事をさせなかった。

だが、マンチェスター・ユナイテッドはより効果的にアーセナルの守備の隙をつくことに成功したし、恐らくトッテナムもここを今日の試合で狙うことだろう。

アーセナル守備陣はラッシュフォードではなく、ザハ相手の対応をノースロンドンダービーでは再現する必要がある。

昨季、5月のトッテナム戦ではこのエリアを守るのはセドリックとホールディングの役割だった。この結果がどうなったかは再び掘り返す必要はないだろう。

さらに興味深いのは、アルテタが今後シーズンを通してサイドバックをどのように起用するかだ。

例えばトッテナムでポチェッティーノは自身が展開するシステムではサイドバックにフィジカル面で負荷が大きいことを考慮して両サイドバックをローテーションしながら起用した。

ティアニー以外のホワイト、冨安、ジンチェンコの3人のサイドバックはこの時のサイドバック達と比べるとより保守的な役割を任されているが、今後彼らがペアを形成していくのかには注目したい。

まだ決定的なことを言えるほどの試合数をこなしていないためわからないが、もしかすると、冨安はティアニーとバランスを取るのに最適に思えるし、中盤のコントロール力を高めるという意味でホワイトとジンチェンコはペアで起用されるかもしれない。

流石にそこまで明確にペアになる、ということはないかもしれないが、いずれにせよ、今のアルテタは誰を選んでも良いパフォーマンスが期待できる4人のサイドバックを起用することが出来る。

今後アルテタが戦術的に彼らを使い分けるのか、それともどちらかというとこれまでのように、調子とコンディションに応じて起用していくのかには注目だ。

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Posted by gern3137