モハメド・エルネニー: アーセナルの意外なヒーロー
アーセナルのチェルシー戦とマンチェスター・ユナイテッド戦での連勝において、非常に重要な役割を果たしたのがモハメド・エルネニーだ。
アーセナルが今季を立て直すためには誰かがヒーローになる必要があったが、彼がその役を買って出た。
タヴァレス、エンケティア、ジャカと今季前半を考えれば得点者も意外な顔ぶれだったが、特に中盤のパフォーマンスが素晴らしかった。
アーセナルは怪我でチームの柱となる選手を何人か欠いており、そのせいでアーセナルの守備は非常に不安定になっていた。その影響は明らかだった。
ヌノ・タヴァレスは攻撃面ではエキサイティングだが守備に関しては控えめに言って粗削りで、まるで『何故か買い物カートが人の付き添いなしで国道に向かって坂道を下っている』ようなプレイスタイルの選手だ。良くも悪くも衝撃的な結果をもたらす。
セドリックはタヴァレスよりも10年ほど多く経験を突いているにもかかわらず、その分の守備時の落ち着きは見せられていない。
アーセナルは守備を落ち着かせるうえで重要な役割を果たしていたファーストチョイスのサイドバック二人を欠いていたのだ。
この期間中にガブリエルとラムズデールが調子を落としているのはサイドバックの離脱と無関係ではないはずだ。
加えて、パーティと並んでアーセナルの中央を支えるもう一人の存在であるラカゼットも不調でチームを外れており、計4人の主力を欠いたアーセナルは混とんとした試合を展開することが多くなった。
このような状態のアーセナルにまさに必要とされていたのが、安定感を持った信頼できる選手で、それがエルネニーだったというわけだ。
豪奢な朝食が好ましい朝もあるが、時にはもっとシンプルな、ただのトーストとホットミルクが必要な朝もあるのだ。
もちろん、これは必ずしもエルネニーが我々の想定を上回ったプレイを見せたり、急成長を遂げたという意味ではない。どちらかというと、チームがエルネニーのような選手を必要とする状況に変化したのだ。
彼がとても頼りになるローテーション要員であることはアーセナル加入当初から分かっていた。
エルネニーは試合を1点リードして迎えた残り十分の場面で相手がプレッシャーを強めてきた際に投入したくなるような選手だ。
実際に彼のアーセナルでのキャリアを通してみても、エルネニーはビッグゲームで輝くことが多い。彼のシンプルなスタイルがこのような試合に合っているのだ。
彼をベンチから投入しても、試合を勝利に導いてくれることはあまりないだろうが、逆に試合に負けない手助けをするのは得意だ。
そして、アーセナルの今シーズンを一試合で例えると、今のアーセナルはまさしく『1点リードで試合終了まで残り10分』といったところだ。
もちろん、今季前半にアルテタがエルネニーよりも優先してロコンガに出場機会を与えるという決断を下したのは間違っていないし、アーセナルの中盤の将来を支えるのがエルネニーではなく彼なのは間違いない。
この夏の契約満了に伴ってエルネニーは退団が濃厚となっている。
だが、現時点のチームに関して言えば、今のアーセナルは経験豊富なベテランを欠いた状態だ。残りの数試合でロコンガの出場機会が多少減少したとしても、彼の将来や成長に大きな影響はないだろう。加えて、来季アーセナルがCL出場権を獲得できれば、来季ロコンガにとっては素晴らしい機会になるはずだ。
シーズン最終盤、4月や5月には、時として短期的な解決策も重要なのだ。
エルネニーの売りはそのセーフティさだが、同時に彼はボール保持時非保持時を問わずインテンシティも兼ね備えている。
実際にマンチェスター・ユナイテッド戦でのジャカのゴールはエルネニーがフェルナンデスにプレスをかけた所から生まれた。
もちろん、何度も言っているように、これが世界の注目を集める素晴らしいプレイだったというわけではないが、チームにとって必要なプレイだった。直近の2試合でグラニト・ジャカが中盤の支配権を見事に相手からもぎ取ったが、エルネニーはその素晴らしい相方だった。
エルネニーはアーセナルの将来のヒーローではないが、我々が必要とする現在のヒーローなのだ。
source(当該サイトの許可を得て翻訳しています):
ディスカッション
コメント一覧
ネニ―といえばバルサ戦のミドルも印象深く
飄々としていて大舞台に強いですよね。
アフリカ選手権前は相変わらずという感じでしたが
春になって急に良くなりました。
試合勘は大事ですね。