トーマス・パーティのアンカー適性がアーセナルの夏の補強方針に与える影響 前編
来夏アーセナルが中盤の補強を狙っているのは間違いないが、どのようなタイプのMFが最優先ターゲットなのかに関しては少々不透明だ。
より守備的な選手を狙うべきだという意見もあるし、攻撃にも貢献できる8番タイプ、あるいはその両方ともが必要だという意見もある。
同時に議論の的となっているのが、最近のシステムの変更は、ついにアルテタが長年望んできた4-3-3へのフォーメーション移行をついに行おうとしているのではないか、という点だ。
最近の試合ではパーティが中盤の底でプレイすることが多く、彼がアーセナルの攻撃と守備を繋ぐ役割を果たしてきた。ジャカが今までよりも前に出るので、実質的にパーティが単独で中盤に居る時間が増えた。今の所パーティはこの役割を十分にこなせているが、長期的に見てこれが彼の最適ポジションなのかは疑問の声も聞こえる。
今回の記事では、パーティをアンカーとして起用する形でのアーセナルの4-3-3の課のせいに関して、そしてこの移行がアーセナルの夏の補強方針へと与える可能性のある影響について、考察していこう。
今季のアーセナルの攻撃時の布陣は2-3-5のような形で、布陣自体はそこまで大きく変更していない。ただし、大きな違いはこの布陣を構成する人員だ。
以前までのアーセナルであれば、ジャカはパーティ、そして中に入った冨安と共に中盤のトリオの一員となることが多かった。
だが、ブレントフォード戦のパス・ポジションマップにも表れている通り、今のジャカはむしろ左の攻撃的MFのような位置でプレイすることが多い。
これにより、前にかける人員が増えたことでよりアーセナルの攻撃はスムーズさを増し、ジャカ、あるいはウーデゴールと両サイドのサイドバックが加わる形でのパスのためのトライアングルを作る機会が増加した。
ただ、この変更によりアンカーのパーティの責任も増し、チームがボールを回収した所からより人の少ないサイドにボールをつなげる所までをこなす必要が出てきた。
まず、ビルドアップの初期フェイズでは、パーティの仕事はCBからボールを受け取り、より前のハーフスペースにいるジャカとウーデゴール、あるいはサイドバックへとボールをつなげることだ。これにはボールロストをしない安定性と、相手のプレスを引き付けながら正確にパスを出す高い技術が必要となる。
ブレントフォード戦では彼はこの役割を見事に果たして見せた。
いくつかパスミスもあり、もちろん今後の改善の余地はあるものの、彼はアーセナルで、そしてアトレティコでも一人でアンカーを務めた経験はあまりなく、どちらかというとより前を向いて、少しリスクも冒したプレイを好むタイプの選手なので、彼にいきなり完璧なアンカーを務めることを要求するのは無茶というものだろう。
パーティはもとから高いボールコントロールの技術と、軽やかな身のこなしを活かした高いプレス会能力を備えているし、もともと得意としていたハイリスクハイリターンなタイプのプレイを抑え、アンカーとして高速で上手く適応しているのは称賛に値する。
このパフォーマンスレベルをパーティがシーズン終了も保てるのであれば、アルテタにとって彼は来季以降も申し分のない6番のオプションになるだろう。
Embed from Getty Imagesアーセナルの夏のMFの補強はアルテタがパーティのアンカー適性をどう見るか次第で、もしこのままパーティを起用し続けるつもりなのであれば、夏にはジャカの代役となるような左の攻撃的MF、よりファイナルサードへの貢献に期待が出来るようタイプの選手、あるいはよりバランスの取れた、前線と低い位置どちらでも活躍できるようなボックストゥボックス型の選手獲得を目指すのではないだろうか。
(後編に続きます)
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