アルテタのもとでのブカヨ・サカの成長
最近はお決まりになってきつつあるが、またしてもブカヨ・サカが得点に絡む活躍を見せた。今回のベンフィカ戦でそれは二度あり、一つ目は素晴らしい走り込みからの素晴らしいオーバメヤンへのパス、そして二点目はアーセナルを救った正確無比なクロスだった。
サカの成長は目を見張るものがある。2018/19シーズン、17歳で既にデビューを果たしていたサカだが、その時既に何か特別なものを感じさせるものがあった。
とはいえ、ここまでのスピードでスターダムを駆け上がると予想していた人はいなかっただろう。
ウナイ・エメリがサカをデビューさせ、この時左ウイングだったが、退場者が出たため交代となった。リーグ戦での2試合目はオールドトラフォードで、オーバメヤンへのアシストを決めた。
シンプルだが重要な、逆足でのオーバメヤンへのパスだった。
その後怪我の影響で左サイドバックを務める期間もあったが、世界一タフなリーグで左サイドバックとしても輝きを見せ、アルテタに監督が代わって以降も左サイドバックとしても信頼されていたが、彼の才能を考えるに長期的には他のポジションで起用するべきなのは監督はわかっていた。
私が特に感銘を受けたのは昨季の2-2のスタンフォードブリッジでのチェルシー戦だ。数的不利に陥った状況でチームを引っ張ったのはサカとマルティネッリという2人の18歳の選手だった。
彼は守備をよくこなしただけではなく、チャンスさえあればマルティネッリをサポートするためにオーバーラップし続けた。彼ら二人がエネルギッシュに連携する様は、非常に美しいものだった。
キーラン・ティアニーの復帰に伴い、サカの左サイドバック時代は終わりを告げた。
コロナによる中断明けの試合でアルテタはシティ戦でサカを右ウイングとして起用した。彼はこの時そこまで活躍を言えず、私を含めた多くの人がアルテタのこの起用に批判的だった。
サカは既に左サイドで輝けるところを見せているのになぜわざわざサイドを移す必要があるのか、と思ったものだ。
その後の試合ではアルテタは彼を左のMFとして起用したりもした。サイドバック時代と同じようにオーバーラップは見せるものの、大外ではなくより内側のハーフスペースを駆け上がることが多かった。この時の活躍がサウスゲートの目に留まり、イングランド代表デビューも果たした。
サカの右サイドでの先発二試合目で、この時もそこまで機能したとはいいがたいものの、彼はプレミアリーグ初得点を挙げた。
本当の意味でサカの右サイド起用のポテンシャルが見えたのはその後のレスター戦だった。
シティ戦、ウルブズ戦の2試合ではサカはどちらかというと右サイドではぎこちなく見え、特にボールを受けるのに苦戦しているようだった。
だが、レスター戦でのパフォーマンスで、私はサカがただの若者ではないと確信した。3試合目で新しいポジションを完ぺきにものにしてみせ、これに関してはアルテタも褒められるべきだろう。
逆足の右足の精度も高いおかげで、相手DFとの1対1の際にサカには多くのオプションがある。ペペとサカの最も大きな違いは、彼が縦に突破した末に右足でクロスを上げる際の精度だろう。サカはそのような問題を抱えていないため、よりダイナミックなプレイが可能になる。
今季はアーセナルにとって良いものではないが、サカが暗いシーズンを明るく照らしている。11-12月の絶不調の時期でさえも、何か起こるのであればサカからだろうと予感させたものだ。
例えばサウサンプトン戦で引き分けた際に、我々は本当にフラットだったが、サカがイニシアティブをとって、何かを起こそうとした。アシストこそならなかったものの、素晴らしいドリブルからオーバメヤンの同点弾を演出した。
ユース育ちの選手がファーストチームでプレイできるだけで幸せで、基本をこなし、ポジションを保てるようにミスをしないように心掛けるというのはよくあることだ。
だが、サカはその点では少し違う。彼はチームを勝利に導こうとするのだ。彼は何とかして点に絡む活躍を見せようとする。
サカの目標は今季リーグ戦で10ゴールだそうだが、まさにその目標に順調に向かっている。サカの素晴らしい点は少々不調な時でさえも、一定のパフォーマンスを見せ、ハイクオリティの瞬間を作り出すことだ。
クリスマス以降、アーセナルの調子は悪くない。チームの調子が上向くのに伴って、サカもコンスタントに得点とアシストを重ねている。
サカは完全に右サイドを彼のポジションにし、恐らく現状アーセナルの攻撃陣で最高の選手だ。今季サカが右サイドで先発した試合は11試合だが、そこで5ゴール4アシストを挙げ、PKを1度獲得している。
もちろん、チームとしては19歳にここまで頼るというのはあまり好ましいものではないが、これが現状だ。
昨季、サカは10代の選手としてはプレミアリーグ出場分数が最も多かった。今季はどの10代よりも多くの得点を挙げている。チャンス創出数とドリブル突破も最多だ。
もう既にサカは単なる有望な若手ではなく、世代に一人レベルのタレントなのだ。
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