レノとマルティネスのジレンマ 後編
前編はこちら:
試合を左右する11人を優先すべきか
一般的にサッカーファンの間で信じられているのとは異なり、もちろん選手層が厚いに越したことはないものの、実際の結果を大きく左右するのは先発する11人の選手たちだ。
リーグの順位を決定するのは、結局のところ13人か14人の選手たちだ。 マンチェスターシティのように無限のお金を持っていない限りは、控えの選手にお金をかけるのは効率が悪い。
もしこの2年間で、マネ、ダイク、あるいはサラーが長期離脱を強いられていたら、リバプールはCLやプレミアリーグで優勝することはなかっただろう。
同じように、もし2003年にアンリが大けがをして半年間離脱していたら、アーセナルの無敗優勝もなかったはずだ。
バルサはメッシとスアレスをどちらにしろずっと起用し続けるので、控えのFWはその辺の鐘撞きでも特に構わないというわけだ。
レノの怪我がより長期にわたるものであれば、もう少しゆっくりマルティネスに関する判断を下せただろうが、アーセナルフロントは今の時点で、マルティネスの好調がこの後も続くものなのか、あるいは一時的なものなのか見極めなくてはならない。
Just been comparing stats from this season. Here are a select few…
— Dan Mountney (@JournoDanM) July 21, 2020
Save percentage
Leno – 77.6%
Martinez – 82.4%
Percentage of crosses stopped
Leno – 6.6%
Martinez – 9.6%
Goals conceded per 90 mins
Leno – 1.33
Martinez – 0.91
Pass completion
Leno – 73.1%
Martinez – 65.9% https://t.co/rlmvZrsEv8
もしかすると、アーセナルにとって最もスマートなやり方は、レノかマルティネスのどちらかを売却し、それによって生み出した利益をチームの他のエリアに投資することかもしれない。
一方で、少し間違えればクラブは本来の相場よりはるかに安い値段で彼らのうち一人を売却してしまう可能性もあるし、あるいは何もしなければ、彼ら二人の市場価値が下がっていくのを指をくわえてみているだけになってしまうかもしれない。
このミスを、過去のアーセナルは何度も犯してきた。
例えば、アーセナルウィメンの監督であるジョー・モンテムーロは対戦相手に応じてGKをローテーションさせる。深く守るチーム相手にはショートパスが得意なGKを起用し、ハイプレスを仕掛けてくる相手にはロングキックが得意なGKを起用するのだ。
レノとマルティネスでも同じような起用は可能かもしれないが、これは2人ともの不満を招く可能性がある。(実際にアーセナルウィメンは毎年GKを失い、そして毎年新しい大物GKを獲得している。これは監督は自身の戦術を実行するには受け入れなくてはならない犠牲だと考えているようだ)
これらの選択肢を考慮するには、恐らくアーセナルは専門家に相談する必要があるだろう。チームのGKコーチということになるのかもしれない。
レノとマルティネスのスタイルの違い
また、今のアーセナルにどちらが合っているか、だけではなく将来的なアーセナルのチームにどちらのスタイルが適しているかも考慮されなければならない。
アルテタの思い描く理想のチームでは、恐らくGKが今ほど忙しくはないのは間違いないだろう。
マルティネスはまだチームに台頭したばかりで、ファンとのハネムーン期間を楽しんでいる。もちろんそれは彼が実力で勝ち取ったものだ。
クロス対応はマルティネスの方がレノよりも優れているように思えるが、一対一の際に自身を大きく見せ、相手を制限するテクニックはレノの方が秀でている。
以下の場面からわかる通り、マルティネスは相手FWにシュートコースを与えすぎている。(結果的には相手がシュートを外してくれて事なきを得たが)
最も大きな問題は、今のエミ・マルティネスの好調が今後も続くのかという点だ。
恐らくエミ・マルティネスの市場価値はキャリアで最も高騰しているはずで、であるならば今のうちに売却するべきだろうか?
あるいは、むしろマルティネスに信頼を寄せ、レノを売却したほうが良いのだろうか?
どちらにせよあまり快いアイディアではないが、市場でうまく立ち回るためには、アーセナルが考慮に入れなくてはならない選択肢ではある。
アーセナルに在籍する専門家たちのアドバイスを聞き、アルテタも色々な点を考慮しなくてはならないだろう。
理想的なボールの配給方法に適しているのは?最終的にハイラインを用いるのか?そうであれば、飛び出しが得意なGKを残すべきか?
これは予想外かつ興味深いジレンマだが、アーセナルにとってネガティブなものではない。このように頭を悩ませることが出来るポジションをアーセナルは数多くは抱えていないのだから。
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