ニューカッスル戦はエジルが全盛期のパフォーマンスを取り戻す契機となるか
ニューカッスル戦の前のインタビューでアルテタは『失われたアイデンティティ』について語った。流麗なパスワークとスリリングなアタッキングフットボールがクラブが成績を上げるうえでカギになるだろうと話していた。
したがって、ニューカッスル戦の3点目に彼が特に満足したであろうことは想像に難くない。最初のタッチとなったトレイラのヘディングから、最後のエジルのシュートまで、アーセナルはインターセプトされることなく35本のパスをつなぎ、これは今季ゴールに至ったパス数としてはプレミアリーグ最多だ。
この間アーセナルの全ての選手がタッチを記録し、最終的にボールが転がってきたのがエジルだったというのも象徴的だ。このゴールによってエジルは10か月ぶりの得点を記録し、素晴らしいパフォーマンスを締めくくった。
3-0でのマンチェスターシティ戦での敗北の時に、ホームでエジルがブーイングされていたのはほんの2か月前のことだ。ここから彼が再びファンの信頼を勝ち取ることは出来るのだろうかとさえ思わせた。
しかし、ニューカッスル戦でのエジルへのスタンディングオベーションは、アルテタのもとチームの空気が変わり、エジル自身も変わったことを示している。
この日、昔ながらのアーセナルが帰ってきたかのように感じられたが、それにはエジルが非常に大きな役割を果たした。エジルは波乱に満ちた2年間を過ごし、アルテタの元ついにスタメンに定期的に名を連ねることとなったが、それでもまだ本当のエジル-敵陣を切り裂きスルーパスからアシストを連発する-の姿は見られていなかった。
アルテタは『彼がおかれていた状態から5週間で最高の状態まで行くことは出来ないよ』と試合前には忍耐を求めるコメントをしていたが、今回の試合はよりエジルらしかった。
アーセナルは序盤こそうまくいかなかったものの、その後、エジルが触媒となり試合の流れは変わった。
前半30分あたりからエジルは輝き始め、結果としてシュートは止められたものの、ニューカッスルDFの頭上を越える斜めのパスをオーバメヤンに送った。
これが、エジルがこの試合で作り出した4つのチャンスのうちの最初の一つで、その二分後、華麗なヒールパスをベジェリンにつなげ、ホームのファンを盛り上げた。
そのすぐ後にも、エディー・エンケティアへのパスでまたしても相手GKを脅かした。
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後半に入ってもエジルの活躍は続き、ニューカッスルのボックスのすぐ外でペペを見つけ出したシーンは得点につながってしかるべきだったが、ペペからのボールをエンケティアは惜しくも外してしまった。
この時点でエジルにはより多くのスペースが与えられ始めており、ニューカッスルは彼のライン間を突く動きを止められなくなっていた。この後またしても素晴らしいパスをダニー・ローズの裏を突いてエジルはペペに通していた。
この日のアーセナルの攻撃の中心にエジルは位置していたが、アーセナルのボール非保持時にも効果的だった。ニューカッスルのDFに献身的にプレスをかけ、ジャカに次ぐチーム内走行距離を記録したのだ。
これこそが、彼が数字に残る結果を出していないときも、アルテタが起用し続けた理由だろう。
この試合ではエジルが唯一のクリエイティブな選手ではなく、セバージョスがジャカとコンビを組んで出場していた。この試合を見る限り、彼は今季の残りにまだまだ重要な役目を果たせるのではないだろうか。
セバージョスが試合のリズムを作り、プレスをかわしてパスを散らす役目を担ったおかげで、エジルはキラーパスを出すことに専念することが出来た。
トレイラと交代するまでの間に91本のうち85本のパスを成功させ、このうちの63本はニューカッスル陣内でのものだった。
さらに、オーバーラップするベジェリンへのロングボールも見せたし、守備での責任からも逃げることはなかった。セバージョス以上のボール回収数を誇ったのはペペだけだったし、チーム最多のデュエル数を記録した。
この結果、セバージョスにもスタンディングオベーションが送られたが、やはり、より意味があるように感じられたのはエジルへのものだろう。
アルテタの元アーセナルはアイデンティティを再発見しつつあるが、恐らくエジルがこの調子を維持できれば、その中心に座るのはエジルとなるはずだ。
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