エゼ、マドゥエケ、ダウマンは左サイドを足掛かりにできるか
現在のプレミアリーグを見ている人の大半は、今季のアーセナルがヨーロッパでも屈指の選手層を誇るチームであるという意見に同意するだろう。
リーズとリールをホームに迎えた試合では、いずれもベンチの選手を効果的に起用して勝利を収めた。リーズ戦では後半から途中出場したブルーノ・ギマランイスが決勝ゴールを挙げ、火曜日のリール戦ではブカヨ・サカがピッチに入ってからわずか数分で1ゴール1アシストを記録した。
ほぼすべてのポジションに豊富な選択肢がある。リール戦では、インカピエが負傷離脱していたが、カラフィオーリの負担を減らすために、左サイドバックにはマイルズ・ルイス=スケリーを起用することができた。
ルイス=スケリーはイングランド代表でも左サイドバックとしてプレー経験があるが、アーセナルでは実質的にこのポジションの3番手だ。ワールド杯優勝経験を持つメリーノとスビメンディでさえ、ベンチに座ることが多い。
ただ、現時点のアーセナルの層が最も薄いポジションは、おそらく左ウイングだろう。今夏、モーガン・ロジャーズとヴィニシウスどちらも獲得に失敗したことで、左サイドには正真正銘のトップレベルの選手が少し不足している。
アーセナルにとって、ここは以前から補強課題として認識されてきたポジションで、2023年1月に獲得したレアンドロ・トロサールは、このポジションにおける非常に優れた、チャンスをうまく生かした補強だった。しかし、加入時点で彼はすでに28歳であり、長期的な解決策ではなかった。
マルティネッリもまた、ファンが期待していたほどの成長を見せることはできなかった。二人ともが夏にクラブを去ったが、どちらの退団も以前からある程度予想されていたことだった。もしアルテタが左サイドにスター選手を獲得できていれば、どちらか、あるいは両方がもっと早く退団していた可能性もある。
今夏にはクリストス・ツォリスが加入し、なかなかのポテンシャルを感じさせている。しかし、彼はベルギーリーグからやってきた選手であり、加えてクラブは彼の獲得が決まった後もロジャーズやヴィニシウスの獲得に動いていた。
ツォリスは堅実で優れた選手ではあるだろうが、例えばブカヨ・サカのような特別な輝きをチームにもし彼がもたらすことができれば、それはクラブの想定を上回る、かなりのサプライズになるだろう。
今のアーセナルの左ウイングは、まだ『誰のものにでもなり得る』ポジションなのだ。先日の代表ウィーク中にツォリスが負傷したことで、その印象はいっそう強まっている。
土曜日のリーズ戦では、アルテタがノニ・マドゥエケを左ウイングに起用するというサプライズを見せた。試合後、アルテタはその理由をこう説明している。
「彼は与えられたチャンスにふさわしい選手であり、そのチャンスを両手でしっかりとつかんだ。彼のプレーがあまり好ましくなく、それが試合に悪影響を及ぼしていると感じたときには、私は決断を下してきたが、彼はそれを受け入れてくれた。そして、そこから自身のレベルを引き上げた。この10日間の練習期間で彼は最も優れた選手だった。今日の試合で彼を先発起用しないという選択肢は私にはなかった」
マドゥエケは今回イングランド代表に選出されていなかったため、この起用にはコンディションを鑑みた現実的な判断という側面もあったのかもしれない。これまでアルテタは、左利きの選手を左サイドで起用することにあまり積極的ではなかった。
アーセナルの攻撃には、ときにダイナミックさや加速力が欠けることがあるが、マドゥエケはそれをチームにもたらすことができる。最終的なプレーの精度には、控えめに言ってもかなりのムラがあるとしてもだ。
一方、リール戦ではエベレチ・エゼが左ウイングで先発したが、アルテタはやはりエゼをより中央でプレーする選手だと考えているように見える。
マドゥエケがタッチライン際に張り、相手サイドバックとの1対1を仕掛けようとする、昔ながらのウイングとしてプレーするのに対し、エゼはトップ下と左ウイングの中間にあたるハーフスペースでのプレーを好む。リール戦でのゴールも、かつてトロサールが得意としていたような、左サイドから中央へ流れるプレイから生まれたものだった。
エゼとマドゥエケは、左ウイングとしてまったく異なるタイプの選手だ。これを、多彩なバリエーションがあると捉えるか、方向性を統一できていないと捉えるかは微妙なところだ。
確かに、同じポジションにこれほど異なる2人の選手がいることは、チームにプラスの側面もあるだろうが、場合によっては、単にそのポジションにあまり適していない選手が起用せざるを得ない状態にあるだけ、ということにもなりかねない。
エゼはプレイへの関与が少なすぎることがあるが、最終局面での結果を残すことができる。一方のマドゥエケは積極的にボールに関わり、試合に参加するが、最後の仕事の精度を欠くことも多い。
この2人の特徴をうまく合体させられるのであれば、最高の選手が生まれることだろう。
この2人の能力をうまく合体、分離させ、ボール関与と得点アシストができる選手を手元に残し、試合から消え結果も残せない方の選手をチェルシーに8000万ポンドで売り付けられれば最高なのだが。
例えば、アーセナルは、相手の特徴や個々の試合のゲームプランに応じて、デクラン・ライスを別のMFとローテーションさせることはない。ライスはほぼすべての分野において、常に高いレベルにある選手だからだ。彼はほぼすべての試合に出場する。
ただし、エゼとマドゥエケは、今の状況をアーセナルで確固たる地位を築くための千載一遇のチャンスと捉えるべきだろう。
現時点では、左ウイングはどちらにとっても最適なポジションではないかもしれない。しかし、アーセナルでスタメンの座を得るためのハードルが最も低いのは、まさにこのポジションだ。
ただ、興味深いことに、今週アルテタは、マックス・ダウマンを左サイドに起用する可能性にも言及した。
マックスはこれまでの所あまり左サイドでプレーしたことはない。これまで彼を起用し、トレーニングさせてきたのが中央と右サイドだったことを考えると、現時点ではそちらでプレーする方が簡単だろう。ただ、彼の才能を考えれば、どこかのタイミングで新しいポジションに投入する必要が生じたとしても、適応できる能力は持っていると思う
アルテタの「現時点ではそちらでプレーする方が簡単だろう」という言い回しは、示唆に富んでいる。彼は今のチームで空いているポジションがどこなのかを理解している。そして、もしマックス・ダウマンが左ウイングという役割にぴったりとはまるなら、それはクラブにとって非常にありがたい展開になるだろう。
そうなれば、この先少なくとも10年間は、アーセナルのこのポジションが安泰、ということになるかもしれない。
いずれにせよ、サカとダウマンの2人がともに右ウイングでプレーすることはできないという現実には、遅かれ早かれクラブは向き合わなければならないのだ。
しかし、ダウマンがワールドクラスの左ウイングに成長すればチームにとって都合がいいからといって、必ずそうなるとは限らないし、それが彼自身にとって最善であるとも限らない。
これはイーサン・ヌワネリの状況を少し思い起こさせる。もし彼が最前線でのプレイに適応し、一流のストライカーになることができれば、今後10年間、アーセナルのトップの座を自分のものにできるかもしれない。
しかし、我々が扱っているのはテトリスのブロックではなく、人間なのだ。
とはいえ、仮にダウマンの将来が左サイドにないとしても、短期的には出場時間を増やすための有効なオプションとなる可能性がある。
ルイス=スケリーは、出場機会が与えられた左サイドバックでしっかりと経験を積み、中盤のポジションで本格的に定着するための準備を進めてきた。さらに、中盤として定着した今でも、左サイドバックもこなせることが、彼に出場機会を与え、チームの戦力であり続けることにつながっている。それは火曜日の試合でも見られたとおりだ。
個人的には、移籍市場を通じてワールドクラスの左ウイングの獲得が行われるまでは、アーセナルの左ウイングは宙ぶらりんの状態が続くのではないかと思っている。
それまでは、エゼ、マドゥエケ、そしてダウマンの3人は、このポジションをアーセナルでのキャリアを飛躍させるための足がかりとして狙うべきだろう。今のアーセナルでチームに食い込むためのハードルが最も低いのが、このポジションなのだから。
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