キーラン・ティアニーとアーセナル

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普段のミケル・アルテタはそこまで感情に基づいた決断を下すタイプではないが、週末の試合で、この夏退団となるティアニーとジョルジーニョが最後のホーム戦の試合終盤で出場機会を得た。

この試合で、マルティネッリが相手陣で走り出し、ティアニーがサポートに駆け上がった場面があった。

彼の、最後にゴールでアーセナルファンとお別れがしたい、という気持ちはその目に見えたが、残念ながらマルティネッリはクロスをティアニーに届けられなかった。

もちろん今週末のサウサンプトン戦でプレイする可能性はまだあるが、この試合がホームのファンの前でプレイを見せる最後のチャンスだった。

既に彼のセルティック移籍は決まっており、ティアニーは故郷へ、心のクラブへと戻ることになる。ティアニーのに関しては、アーセナルファンの多くが異常を抱いているはずだし、彼のアーセナルでのキャリアが初めの期待ほど上手くいかなかったことを悲しく感じるファンも多いだろう。

2019年の移籍市場最終日に彼がアーセナルにやってきた際に、私は以下のように書いた:

彼はまだ22歳で、全てが上手くいけば、アーセナルで長く主力となるはずだ。早く、強く、守備が上手い。アーセナルをよりよくしてくれるのは間違いなく、彼のような選手の獲得は素晴らしい。スカッドの平均年齢を下げ、世代交代も促進してくれる。

ティアニーの移籍は夏中噂にはなっており、もしかすると、最終決定が下されたのが夏の移籍市場最終日になった、というのが今思えばアーセナル上層部のためらいを反映していたのかもしれない。

ただ、ティアニーは非常に良い獲得に見えた。ナチョ・モンレアルはベテランになり、コラシナツは全く左サイドバックに向いていなかった。

振り返ってみれば、この数週間後にモンレアルを放出したのは良い決断とは言えず、もう少し長くクラブに留めても良かったが、それはそれとして、アーセナルの将来の左サイドバックの将来はティアニーと共にあったように見えた。

彼がアーセナルファンのお気に入りとなるまでに時間はかからなかった。

ティアニーは飾り気が全くなく、例えばジェームズ・マディソンのような、暇さえあればダーツでもし、100万円のブランドバッグで練習場に現れる代わりに、テスコのビニール袋にスパイクを入れて移動していた。

もちろんそういった庶民らしさだけが理由ではない。一目で彼が本当のプロフェッショナルであることは見て取れた。当時のアーセナルにはチームより自分自身のことを考えているのではないか、と感じられる選手もいた中で、ティアニーの真摯でクラブに尽くす姿勢は印象的だった。

今となっては忘れられることも多いが、ティアニーはかなり長い期間にわたって、3バックの左CBとしてもプレイした。2020年、チェルシーを破ったFA杯決勝でもそうで、この時は隣にダビド・ルイス、左のウイングバックはメイトランド=ナイルズだった。

もちろんこれはチーム全体で勝ち取った勝利だが、同点弾に繋がるPKはティアニーのボールから生まれた。

しかし、ティアニーのアーセナルでのキャリアを語るうえで怪我の話をしないわけにはいかないだろう。移籍初年度に彼は肩の怪我をしてしまい、12月に手術が必要となった。通常であれば3か月程度で復帰できるのだが、パンデミックと時期が重なり、サッカー自体が6月まで再開されなかった。

その後もティアニーは頻繁にケガに悩まされ続けた。どのような時でもプレイ出来れば彼が100%チームのために尽くしてくれるのは間違いなかったが、少しずつ、彼が常にフィットしている、というのを当てにすることが出来なくなっていった。

そして、それが彼のアーセナルでの立ち位置に影響を与えたのは間違いない。

私個人としては、選手の怪我に対して怒りを覚えるようなファンに共感は出来ない。もちろん選手がむちゃくちゃな私生活やライフスタイルの結果プレイできない、それは問題だが、そうではなく、心の底からピッチに立ち、アーセナルを手助けしたいと感じながらもそれがかなわない選手には同情を感じる。

また、試合勘やリズム、という言葉の通り、怪我の影響は離脱だけではない。実際にプレイしている期間も常に怪我から復調するために費やす必要がある場合に、選手として結果を残すのは難しくなる。

恐らくそういった状態で選手として成長するのは難しくなるし、何かを掴んだと思っても次の瞬間に怪我をしていては、非常にフラストレーションがたまることだろう。

こういった話の時によく話題になるのは選手は破格の給料を貰っているのだから、という話だが、どれだけ給料を貰っていようとも、プレイしたいのに出来ない、という状態がタフであるのに変わりはないはずだ。

また、ティアニーに関しては戦術的な影響もあった。もちろんティアニーには彼なりの強みがあるが、アルテタの好む中に入るタイプの左サイドバックにティアニーは向いていないことが徐々に明らかになった。

それは特に恥ずべきことだというわけではない。きちんと守備をしながら、状況に応じて中に入ってMFとしてもプレイするというのは難しい。

恐らく昨夏のユーロでの怪我がなければティアニーはもう一年早くアーセナルを去っていたのではないかと思われるが、それでも今季彼は監督から求められた時にはいつも、実直で、彼に出来る限りのプレイを見せた。

得点を決めるか決めないかに関わらず、彼が日曜日の最終節で最後にもう一度だけアーセナルでプレイする所を見たいと思う。彼は愛と感謝と共に送り出されることだろう。

それは必ずしも、彼がアーセナルで出してくれた結果が理由ではないかもしれないが、我々アーセナルは彼が常に何をチームにもたらしたいかをわかっていたのだから。

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Posted by gern3137