アーセナルにはサカ、ジョヴェルに続く試合を勝ちきるための第3の矢が必要だ
最近のアーセナルは5-1や5-2、そして直近のモナコ戦も3-0で勝利しており、チームの攻撃に関する懸念について書く必要があるというのは少し奇妙に感じられるかもしない。
だが、今季のアーセナルもまた、昨季のアーセナルが抱えていたのと同じ課題を抱えているように見える。
試合の早い段階での前からのプレスが機能した時、そして先制点を挙げることに成功し、相手が前に出なくてはならないようないような試合ではアーセナルは大量得点をすることが可能だ。
だが、逆に言うと、アーセナルの攻撃はこのような前からのプレスの成功率にかなり依存している。
昨季チームはプレミアリーグで91点を記録したが、無得点の試合も5あった。CLのアウェイ戦でも4戦連続無得点となっていた。
4戦連続無得点ののちに、突如リスボンで5得点を挙げての勝利を収めたのは、アーセナルの状態を象徴している。この5試合を統計的に見れば、平均して1試合1点を挙げている、ということになる。だが、これは昨季のリーグ91得点という数字と同じように、アーセナルの一面しか表していない。
今のアーセナルには試合を変え、相手のゴールをこじ開けることのできるような存在が2人いる。1人目はブカヨ・サカで、2人目はニコラス・ジョヴェルだ。
だが、アーセナルは恐らくもう一人、試合を変えられるような存在が必要としており、それはアルテタもわかっているだろう。なぜなら、夏にアーセナルはライプツィヒのシェシュコ獲得に動いていたからだ。
カイ・ハヴァーツはアーセナルにとって非常に重要な、素晴らしい選手だが、得点を量産するストライカーとは言えないし、また独力で勝利をもぎ取ってくれるようなタイプの選手でもない。
そしてもう一人ジェズスもいるが、彼はアーセナルでの序列を落としており、かつゴール前で彼はいつも考えすぎてしまうように見える。ブラジルでは時々ジェズスが今にも泣きだしそうな表情をしている、と揶揄されるが、彼は時折まさにその通りにプレイしてしまう。
直近のモナコ戦とサウサンプトン戦のパフォーマンスは悪くなく、特にモナコ戦では少し昔のジェズスが帰ってきたようなパフォーマンスも見せた。忙しく動き回り、前からボールを奪い、攻撃に絡み、素晴らしいチャンスをいくつか外す。ガブリエル・ジェズスのセットメニューだ。
だがモナコの勢いが増した後半は、それに対処するためにアーセナルはハヴァーツを必要としていた。仮にキャリアのピーク時と同じ調子のジェズスが今のアーセナルにいたとしても、彼はアーセナルが押している試合では輝けるだろうが、より五分五分の試合ではハヴァーツの方がプレイすることになるだろう。
したがって、アーセナルが夏にシェシュコ獲得に動いていたのは理解できる。彼はハヴァーツのフィジカルとジェズスのようなカオスをあわせもつ選手だからだ。
そして、アーセナルは左サイドでも似た問題を抱えている。マルティネッリとトロサールも、試合の内容や展開次第で高いパフォーマンスを見せるが、問題は、モナコ戦で分かった通り、試合がどのように進むかを試合前に予測するのは難しい、という点だ。
そして、これもまた、アルテタは理解していることのはずだ。
アーセナルは2023年1月にムドリク獲得に動いていたが、結果的にトロサール獲得に落ち着いた。これ自体は結果オーライだったかもしれないが、これはアーセナルが左サイドに補強が必要だと考えていたことの証でもある。
トロサールが手ごろな移籍金で獲得可能だったのは幸運だったが、彼がこの時既に28歳だったことを考えると、クラブが彼に長期的な将来を任せるつもりではなかったはずだ。
この夏のスターリング獲得も同じだ。恐らくアーセナルはあまり乗り気ではなかったはずだが、経済条件の良さと、スターリングのこれまでの実績、そしてどうしても誰か補強が必要であるという事実がクラブをギャンブルに踏み込ませた。
だが、ここまで彼はかつての輝きを取り戻せる兆しは全く見せておらず、まさしく昨季のリース・ネルソンの代役、という立場になってしまっている。
チームを上に引き上げることは全くできず、そこまで重要でない試合で散発的にプレイし、そして得点もアシストもほぼない、という状況だ。
ベンチから投入されるオプションとしてはマルティネッリ、トロサール、ジェズスの方が序列が上で、サカは怪我で動けなくなってしまわない限りは交代することはない。
まとめると、ハヴァーツはフルタイムのストライカーではなく、トロサールは中期的な応急措置、スターリングは短期的な応急措置であり、かつ、マルティネッリは当初期待していたほどの成長ができていない。
だが、マンチェスター・シティがアルバレスの代役を獲得せず、リバプールが怪我に悩まされるキエーザを獲得したことからもわかる通り、最近の市場にあまり良いアタッカーは出ていない。
とはいえ、アーセナルは必ずしも今のオプションのワンランク上の選手を獲得する必要がある、というわけではない。
タイプ的に、ハヴァーツとジェズスの中間のような選手や、マルティネッリとトロサールのハイブリッドのような選手が加わるだけでもチームは改善するだろう。
今季アーセナルは非常に小さな差で勝ち点を落とすことが多いが、アーセナルには少なくとももう一人、そのような差をひっくり返すことができるような選手が必要だ。
アーセナルは基本的には安定して、相手を圧倒するようなプレイが継続できている。CLのグループリーグで8位に入るモナコ相手に18歳の選手を左サイドバックに、MFを右サイドバックに、そして不調のストライカーを起用しながら3-0で勝利を収めることができたのだ。
先ほど書いた通り、今の市場は攻撃のオプションを探すのに最高の状態とは言えないが、それでもアーセナルは砂漠の中のどこかにオアシスを見つける必要がある。
例えば圧倒しながらも対戦相手が1本目のシュートで得点を決めるような試合、あるいは主審が馬鹿げたレッドカードでアーセナルの選手を退場させてしまうような試合でも勝利を収めるためには、アーセナルにはブカヨ・サカとセットプレイに続く、試合を独力でもぎ取ってしまえるような第三の矢が必要だ。
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