選手の柔軟性と不測の事態に強いアーセナル

分析Tim Stillman,海外記事

ついにユリエン・ティンバーがU-23の試合で実践に復帰した。

常識的に考えて、彼が怪我をしたのは8月だったので、恐らく今季中に復帰できたとしてもシーズン最終盤に数試合出場する程度だろうというのは想定の範囲内だったはずだが、より興味深いのは、もし彼が怪我をしていなかったら、今季どのような役割を任されていたのだろうか、という点だ。

アルテタとエドゥが構築したスカッドの大きな強みの一つはその柔軟性で、ガナーズはその中核にユーティリティ性が高く、様々な役割に適応できる選手たちを揃えている。

デクラン・ライスは6番でもあり8番でもあるし、ハヴァーツも8番と9番でプレイ出来るという計算だったに違いない。

ただし、最近のジョルジーニョがアンカー、ライス8番、ハヴァーツが最前線という形はアルテタが計画通り、というわけではないだろう。

もちろんこのような形もオプションとしてありうる、とは考慮していただろうが、この布陣で毎週試合を戦うことになるとは思っていなかったはずだ。

だが、これこそが柔軟性の高いスカッドを持つことの利点で、監督はある程度のイレギュラーな事態にも対応することができる。

アルテタ自身が『選手を感じてあげなくてはならない。その環境に置かれて初めてわかることもある。私はもともと彼は攻撃的な3つのポジションでプレイできると思っていたが、そこからピッチ上のあるスペースで、ある関係性が花開き始めた。彼らがプレイすべきポジションを監督ではなく選手が決めることもあるんだ』と語っている。

もちろん、柔軟性を備えたチームというのは単にローテーションや緊急時のカバーという観点でメリットがあるだけではなく、監督に新たな解決策をもたらすこともある。

ベン・ホワイトが2021年に50m£で獲得された際に、彼のユーティリティ性はある程度考慮されただろうが、彼が不動の右サイドバックのレギュラーとなるとまでは予想されていなかっただろう。

先日アーセナルの左サイドについて、今のアーセナルには理想的な左サイドバックと理想的な左8番が揃っているわけではなく、それがマルティネッリのパフォーマンスに影響を与えているのではないか、という記事を書いた。

だが一方で、アルテタはこのポジションで他の選手を起用できるため、マルティネッリが昨季ほどのパフォーマンスを発揮できないことの影響を軽減することに成功している。

ベン・ホワイトのような選手が左サイドにいないことは理想的ではないが、ティンバーがほぼシーズンフルで離脱となっているにも関わらず、アーセナルが他にも左サイドバックとしてプレイできる選手を多く擁しており、このポジションで3人をローテーションさせることができるのは悪いことではない。

ジンチェンコも昨季ほどの影響力を発揮できていないが、本来CBであるキヴィオルや、アーセナルでは右サイドバック、日本代表では左CBとしてのプレイが主だった冨安がこのポジションでプレイ出来ることで、これはそこまで大きな問題となっていない。

ほんの二年前のアーセナルはティアニーが怪我をした際に左サイドバックにジャカを起用するかタヴァレスを起用するかで悩まなくてはならなかったし、トーマス・パーティが負傷した際にはロコンガのパフォーマンスが安定しなかったためエルネニーをチームに戻さなくてはならなかった。

ストライカーに関しては、頼りに代役がおらずラカゼットを不調の中ずっと起用し続け、最終的にアルテタはエンケティアと彼を変えざるを得なくなった。

それとは対照的に、今季ジェズスの離脱はアーセナルにとって非常に大きな痛手となっていた可能性もあったが、ハヴァーツがストライカーとしても良いプレイを見せたことで、これは全く問題とならなかった。

マルティネッリの不調もうまくトロサールがその穴を埋めた。

ティンバーもユーティリティ性の高い選手であり、恐らくアルテタは彼の起用ポジションを柔軟に考えていたに違いない。恐らく、ホワイトかティンバーのどちらかに、サリバが昨季のように離脱となっても頼りになるCBとしてプレイしてほしいと考えていただろう。

あるいは、開幕戦からずっと左サイドバックとしてプレイを続け、ジンチェンコからその座を奪ってしまっていたかもしれない。

もちろん今となっては知る由もないが。

いずれにせよ、このように多様なポジションでプレイ出来る選手を数多く抱えているのは今のアーセナルの非常に大きな強みであり、これにより今季のチームは非常に不測の事態に強く、かつ、相手にとって予測するのが難しいものとなっているのだ。

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Posted by gern3137