スミスロウの復活?
火曜のノッティンガム・フォレスト戦で先発メンバーにスミスロウが名を連ねていたのが発表された際に少々驚いたアーセナルファンは私一人だけではないだろう。
もちろんこれはネガティブな意味ではなく、どちらかと言えば嬉しいサプライズだった。スミスロウをめぐっては色々なことが起き(というよりもむしろ、思ったより何も起きなかった、という言い方の方が正しいだろうか)、最後にプレミアリーグで彼が先発したのはもう2年前だったし、アーセナルはもうスミスロウに出場機会を与えるつもりはないのではないか、とすら見え始めていた。
この1年~1年半でスミスロウは試合の結果が見えているような局面での途中出場くらいしかプレイ機会を得ていなかったからだ。
だが一方で、冷静に振り返ってみると、最近のアルテタの左8番の人選、特にアウェイ戦では一定のパターンが見えている。
グディソンパークではサプライズでビエイラが起用され、ショーン・ダイチのチーム相手に何が何でもボールを地面に留めるのだという姿勢をアーセナルは見せた。
アウェイのブレントフォード戦でも左8番にはハヴァーツではなくトロサールが起用されたし、そして今回のフォレスト相手のアウェイ戦では選ばれたのはスミスロウだった。
これは恐らく以下の二つのことを示している。
まず、ディープブロックを敷き、ある程度の高さを備えている守備陣相手にはアルテタはよりボールを保持し、試合をコントロールできるような選手よりもハヴァーツの方が効果的だと考えているということだ。
また、もう一つはまだアルテタはこの左8番のポジションで絶対的だと思える選手を見つけられていない、ということだ。
ビエイラは怪我もあって安定したパフォーマンスが見せられていないし、トロサールが中盤に最適な選手だとは思えない。
ハヴァーツはチームになじみはじめ、良い兆候を見せ始めているが、まだ代えの利かない選手というほどではない。
このため、スミスロウにとっては扉が再び開き始めた、ということになるだろう。
とはいえ、スミスロウをめぐる事情は少々複雑かつ不可思議だ。もし本当にアルテタがスミスロウを8番として信頼していたのであれば、トロサールとビエイラ二人ともを獲得する必要はなかったように感じられる。
怪我はいくつかあったとはいえ、なぜスミスロウが復帰後ここまでアルテタの中での序列を落としてしまったのかを知るのはとても難しい。彼はそもそも試合で試されることすらもあまりなく、アルテタやコーチたちは練習でスミスロウのコンディションが十分なレベルに達していないと結論付けていたのだろうか、と推測するくらいしかできない。
この透明性の欠如がサポーターにとってはフラストレーションの種となっていた。彼はファンの間で非常に人気がある選手だし、怪我の前の時点ではファーストチームの一員であり、そして怪我も癒えたように見えたにも拘わらず、ほとんど出場機会を得ることがなかった。
また、スミスロウは数シーズン前には左サイドで素晴らしいパフォーマンスを見せていたにもかかわらず、なぜかスミスロウの左サイド起用は全くもって問題外、といった扱いとなってしまった。
2022年には重要なセントジェームズパークでの試合でマルティネッリを押しのけて左サイドでスミスロウが起用されたにもかかわらず、それ以来左サイドでは全くプレイしていない。
そして、ここまでの所アルテタはその理由を公の場で明らかにしてはいない。
何とか推測しようとするのであれば、思い当たるのは彼のフィジカル面くらいだが、確かにスミスロウはフィジカル面でのプロフィールはマルティネッリと異なるものの、それはトロサールも同じことだ。
それがトロサールの左サイド起用の足かせとなっているようには見えない。
報じられていた通り、スミスロウが抱えていたとされる慢性的な痛みが原因で、非ボール保持時のインテンシティが低下し、このためスミスロウはアルテタからの信頼を失ってしまったのだろうか。
もちろん本当の所を推し量るのは難しく、その理由がわからないのは少々フラストレーションがたまる。もしかすると本当に単にコンディション面の理由でずっとメンバーを外れていたのかもしれない(それだけが理由であると考えるには離脱機関が少々長すぎるようには感じられるが)。
だがいずれにせよ、今後スミスロウの将来がアーセナルで開けるのかには、いくつかの要素が絡んできそうだ。
まず第一に、よりボール保持を志向したい場合の左8番のオプションとしてビエイラとトロサールはポジションをつかみ取れていないが、トーマス・パーティの復帰が中盤の構成に影響を与える可能性がある。
ただ、いずれにせよパーティのアーセナルでのキャリアが終わりに近づいているのは間違いなく、かつジョルジーニョも留められれば素晴らしいが、来季より定期的な出場機会を彼が求める可能性も大いにある。
したがって、もしスミスロウをあきらめるのであれば、アーセナルは夏に最低でも一人中盤の選手を獲得する必要が出てきてしまう。
とはいえ、スミスロウの残り契約も2年となるため、もし来夏スミスロウを売却しないという決断を下すのであれば、契約延長に動き、より長期的に彼にコミットする必要があるだろう。
スミスロウとアーセナルが気楽に将来を考えられる期間はそろそろ終わってしまったとみていいだろう。ただ、彼は才能ある選手ではあり、彼がアーセナルで再び花を咲かせてくれれば素晴らしい。
彼はホームグロウンで、アーセナルにはスミスロウの代役を獲得するよりも優先順位の高い事項が夏には待ち受けているように思われる。
火曜日の先発出場がスミスロウの復活の始まりを意味するのか、それとも単に砂漠に訪れた夕立にすぎないのかは今後明らかになるに違いない。
だが、私がどちらを望んでいるかには疑いの余地はない。
source(当該サイトの許可を得て翻訳しています):
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません