アーセナルのアタッカー陣と冬の移籍市場のジレンマ
ウエストハム戦後にサカとマルティネッリに疲労の影響が見えるか、と問われたアルテタは彼らはフレッシュに見える、と否定的なコメントを残していたが、昨季と比べて今季のアーセナルでFWの補強が話題になることが多いのは両ウイングの数字も大きく影響しているだろう。
昨季はプレミアリーグでマルティネッリは15得点を挙げ、サカは14得点を挙ており、アシストもそれぞれ5と11挙げていた。
今季サカはここまで5ゴール7アシスト(18試合)とマルティネッリの2ゴール2アシスト(17試合)を上回っているが、直近の11試合でサカは1得点しか挙げられておらず、同じ期間中にマルティネッリも1得点を記録したのみだ。
アルテタの語る攻撃陣全体で得点の負担を担うやり方は、一見素晴らしいが、それはサカとマルティネッリの両翼のパフォーマンスに大きく依存しているし、加えて彼らをいったんメンバーから外すといった策を可能にするようなオプションの不在が問題に拍車をかけている。
現実的に考えて、今のアーセナルには単にサカとマルティネッリを信じて起用し続け、彼らがスランプを脱してくれることを願うくらいしかできることはないように思う。
また、アーセナルのセンターフォワードがそこまで昨季話題にならなかったもう一つの理由はガブリエル・ジェズスがそれまでのアーセナルのオプションと比べて明確なアップグレードだったからだ。
機動力を欠いたラカゼットと比べジェズスはすべての面で万能だったし、昨季のアーセナルの問題は結果的には攻撃ではなく守備だった。我々がタイトルを逃したのは、ウィリアム・サリバと冨安健洋が同時期に怪我をしてしまったのが理由だった。
アーセナルは夏にこの課題を解消するための手を打ったが、残念ながらティンバーが長期離脱となってしまったため、この獲得の恩恵にまだあずかれていない。
もし彼が怪我をしていなければ、今のチームのキープレイヤーとなっていたことは間違いないだろう。怪我が非常に多いジンチェンコが今季そこまで離脱がないのはラッキーだといっていいだろう。だが、最近の彼に判断ミスが見られるのはもしかすると、継続してプレイを続けるのにあまり慣れておらず、疲労の影響もあるかもしれない。
もちろんそれが言い訳になるわけではないが、彼のように才能が有り経験も豊富な選手がこの数週間に見せたようなミスを何度も見せるというのは、何かしらの理由がないと理解するのが難しい。
センターフォワードに話を戻すと、ジェズスがウエストハム戦で訪れたビッグチャンスを決めきれていれば、試合展開は変わったものになっていたかもしれない。
今季彼はプレミアリーグで3ゴール1アシスト(14試合)しかできておらず、先ほどのサカとマルティネッリの数字と合わせると、なんと今季のプレミアリーグにはサカとマルティネッリとジェズスの得点数の合計よりも多いゴール数を記録している選手が5人以上いるということになる(ハーランド、サラー、ボーウェン、ソランケ、ファン・ヒチョン、あともう一人は誰だっただろうか)。
だが、アーセナルのチーム内得点王ランキングは以下の通りだ。
このうちの3,4人からはもっと得点を期待して良いはずだし、彼らはその素質を備えた選手たちのはずだ。そして、アーセナルはリーグ2位に位置しており、何かしらの危機に陥っている、というほどではない。
この冬理想の補強は、と言われればストライカーよりもむしろ効果的なウイングということにはなるのではないだろうか。シーズン途中の移籍市場であることを考慮に入れれば、チームのエースストライカーを放出するようクラブを説得するのは非常に難しいはずだし、仮に可能だったとしてもコストは高額になる。
そして、単純に今のアーセナルが必要とするようタイプのストライカーはほとんど市場に出回ることがないし、超高額の移籍金を支払うのであれば、妥協せず最優先ターゲットを狙うべきだ。
もしアーセナルの中でチームに最適だと考えている選手がいるのであれば、同じポジションにその場しのぎの選手を冬に獲得するの賢い作だとは言えない。60m£を支払ってオーバメヤンを獲得する6か月に50m£を支払いラカゼットを獲得する、のようなことをしてしまうと、ピッチ上、そして金銭面で問題となる可能性がある。
もちろん、丁寧にラッピングされた素晴らしいセンターフォワードを冬に誰かがプレゼントしてくれるのであれば、それは素晴らしいが、我々は現実を見る必要があるだろう。
ストライカーはほしいが、数か月ではなく、何年もクラブで活躍してくれるような選手を獲得すべきだ。そして、恐らくこれはアーセナルの監督や上層部の考えと大きく異なってもいないはずだ。
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