マルティネッリの今季の不調の原因は?

分析Tim Stillman,海外記事

今季プレミアリーグで、マルティネッリは昨季ほどの得点やアシストを記録できないでいる。

スタッツ(90分当たり)2022-232023-24
得点0.480.18
アシスト0.160.18
得点+アシスト0.650.36
xG0.300.16
xG+xA0.590.33
シュート数2.552.05
シュート1本当たりの得点数0.190.09

2021/22シーズンに21試合の先発出場を果たしファーストチームのレギュラーの仲間入りを果たしたマルティネッリだが、その翌年の22/23シーズンには34試合先発と、プレミアリーグでの出場機会が大きく増えた。

これは部分的には当初左サイドでのプレイ機会を分け合っていたスミスロウのけがによるもので、また、マルティネッリが新加入のガブリエル・ジェズスと素晴らしい連携が築けたことも大きい。

ジンチェンコの左サイドバックと左を駆け上がるジャカの貢献もあり、アーセナルの左サイドは去年大きな変貌を遂げた。

昨季W杯でジェズスが怪我をし欠場した際にもマルティネッリは少しスランプに陥り、今季彼が昨季ほどの圧倒的な数字を残せていないのも、ジェズスが中央でプレイ出来ている機会が少ないからだと結論付けたくもなるが、実際には、今季ジェズスがプレミアリーグで中央で先発した4試合でもマルティネッリは1得点0アシストと、そこまでパフォーマンスに変化があるわけではない。

もちろん、ジェズス以外にも今季左サイドの顔ぶれは大きく異なっており、ジャカの代わりにハヴァーツが入り、ジンチェンコも左サイドの絶対的なレギュラーとは言えなくなっている。

マルティネッリ自身が10月に負った怪我に加えて、これらの要素が彼のパフォーマンスに影響を少なからず与えているのは間違いないと思うが、一方で、マルティネッリはCLではこれらの影響を受けることなく問題なく輝けている。

彼のセビージャ戦でのパフォーマンスはアーセナル移籍後トップレベルと言えるものだったが、この試合ではジンチェンコもジェズスも不在だった。

サンプル数は少ないが、アーセナルのチーム全体と同様にマルティネッリはCLの試合でより相手にとって危険な存在に見え、恐らくこれはランスやPSV、セビージャが深いブロックを敷くのではなく、より真っ向勝負を挑んできたからだろう。

ジェズス、サカ、マルティネッリの3人ともがCLの試合の方が得点アシストが多く、セビージャはマルティネッリの対応を右サイドバックのサンチェス一人に任せることも多く、これはアーセナルファンにとっては愉快な展開だった。ランス戦の得点の場面も、マルティネッリはオープンなスペースを与えられ、楽しそうに走っていた。

私が思うに、マルティネッリが何故国内の試合でCLほどの数字を残せないか、という問いの答えは比較的単純だ。どのチームにもある程度他の選手より背負う負担が大きい選手というのは存在する。

サリバとガブリエルは非常に広大なスペースを守る必要があるし、ジンチェンコは左サイドバックと同時にCMFの役割をこなすことが要求されている。

そして、マルティネッリはオーバーラップしてくるサイドバックのいない中孤立してプレイする必要がある。

アーセナルの対戦相手の多くはアーセナルの両ウイングが生み出す脅威に対応し始めており、中央に位置しているFWがハーランドのような得点量産型の選手ではないこともあり、サカとマルティネッリに対して1対2で対応することを徹底している。

前線に上がるベン・ホワイトと右に流れるウーデゴールのおかげでサカへのサポートは左サイドよりも手厚くなっているが、アーセナルはマルティネッリに大外に残って幅をとり、ハヴァーツとジンチェンコが中に入るスペースを確保することを求めている。

このシステムはマルティネッリが孤立することをある程度許容し、かつサイドチェンジのオプションとなることを必要としているのだ。マルティネッリはこのような状況で相手を引き付けてくれるオプションも少ない中1対2で相手を破ることを求められる場面が増えている。

今季CLの試合でマルティネッリはペナルティエリア外からのクロスをまだ一本も上げていないが、これはその必要がないからだ。より容易にペナルティエリアのより危険なエリアに侵入でき、そこからカットインあるいはグラウンダーでのカットバックを中に入れることができている。

CLのスタッツを見ると、マルティネッリは90分当たり約7本パスが少ないが、ドリブル突破の回数はプレミアリーグの試合での平均4.91回と比べて10.3回と、非常に多い。

CLの試合ではマルティネッリはボールをパスする代わりに、チャンスを見つけて相手DFに突破を仕掛けることができているのだ。ペナルティエリア内でのキャリーの数もプレミアリーグでの1.75回に対して3.45回と多く、一方で被ファウル数がプレミアリーグでのほうが多いのは、対戦相手のアプローチの違い、加えて判定の違いも示している。

今後の問いはマルティネッリ本人、そしてチーム全体がこれにどう対応していくかということになるだろう。

欧州の試合ではアーセナルと久々に対戦するというチームも多いが、徐々にアーセナルは警戒されていくだろう。CLの試合を勝ち抜くにつれて強敵相手の試合も増え、アーセナルはそれに応じて進化していく必要がある。

個人的には、今のアーセナルにはサカとマルティネッリの代役を務められる選手がおらず、少し彼ら2人に頼りきりになりすぎているように思える。

スミスロウはもはやサイドのオプションとして計算されていないようだし、レアンドロ・トロサールも同じ道を歩み始めているように見える。リース・ネルソンはある程度の出場機会を得るだけの信頼を監督から得られていない。

アーセナルにはもう一人くらい、爆発力がありマルティネッリとサカの負担を減らしてくれ、彼らがスタミナを節約することなく常にフルスロットルでプレイしても問題ない、と感じさせてくれるようなオプションが必要だろう。

現在マルティネッリが直面しているのは、素晴らしい選手たちがいつも直面してきたが、その中でも世界最高峰と呼べる選手たちが乗り越えてきた問題なのだ。

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Posted by gern3137