ラヤがアーセナルにもたらすもの 前編
アーセナルがダビド・ラヤの獲得を発表した時点で、これはラムズデールにとって良いニュースであるようには思えなかった。とはいえ、ラムズデールはアーセナルとの契約延長に合意したばかりでもあり、特にアルテタとコーチングスタッフが彼のパフォーマンスに不満を抱いていたというわけではないだろう。
ラムズデールに至らない部分があるとしても、コーチングを通して改善できると考えていたはずだ。
だが、夏の移籍市場でチェルシーとスパーズがラヤ獲得を見送ったこともあり、サプライズといえる形で彼は市場に出ることとなった。
恐らくアーセナルのラヤ獲得はち密なプランに基づいたというよりも、機を逃さず、というタイプのものだったと思われるが、それでもアルテタはラヤが彼の求めるサッカーにより合ったキーパーだと思ったのだろう。
だが、ラムズデールが特に問題などがない状態でこのような獲得に踏み出すというのはチームへの影響の大きな決断で、戦術的なメリットがチームの輪を乱してしまう可能性を考慮した際にその価値があるのか、というのは議論の余地はある。
少なくとも、メディア上では大きな話題を呼んでいるし、以前私はラヤの獲得は彼を正GKに据えることを見据えて行われたと考えるのが自然だ、という旨の記事を書いたが、実際にその通りになった。
確かに直近のランス戦でラヤは失点につながるミスをしたばかりだが、アルテタがこれをそこまで気にするとは思えない。実際に会見でこれにがっかりしたか?と問われ監督は一言『ノー』とだけコメントした。
このようなミスはラヤが自身に要求されているようなパスにトライした結果起きた技術的なミスで、こういったタイプのミスをアルテタは許容するだろう。
むしろ逆にプレッシャー下でロングパスを選択してしまうことが多かったラムズデールはポジションを失っている。
その是非はいったん置いておくとしても、今季のアーセナルがより試合をコントロールしようという志向を強めているのは疑いの余地がない。昨季のリバプール戦とウエストハム戦をアルテタが何度か見返したのは間違いなく、これらの試合でアーセナルは2点先行していたにもかかわらず、追いつかれ、スタジアムの雰囲気が盛り返すのを許してしまった。
今季アーセナルはアウェイのプレミアリーグでまだ一失点もしておらず、これはボールを保持することで相手にその機会を与えていないことが大きい。
8月のクリスタルパレス戦で、冨安が退場となった後にアーセナルがリードを守りながらプレッシャーにさらされた際にラムズデールは何度もロングボールを蹴り、そのうちの7本はクリスタルパレスの選手のもとへと渡ってしまった。
今季アーセナルは平均で61.9%のボール保持率を記録しており、アウェイでは62%だ。昨季の数字は全体で59.3%、アウェイでは55.6%というもので、まだ試合数は少ないものの、明らかにアウェイ戦でのボール保持志向が強まっている。アーセナルがより自ゴールが脅かされる機会を減らすためにボールを失わないようにしていることがわかる。
(後編に続きます)
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チームを熱狂に導くという素晴らしい美点。主に性格からもたらされるものだが、初期のころは寧ろマイナスに。超克し美点と言い得るモノにする過程を、私たちはずっと見守ってきた。
この段階で外されるのは、なんとも形容できない。
が、視点を変えると。ハイレベルなポジション争いに耐えうる人格形成。それは自動的にラヤにも。
ラムズデールは決して敗北しない。どのような形であれ。…それは私たち誰もが敗北しない、という証明でもある。