冨安の退場と時間稼ぎに対する罰則に関して
多くのサッカーファンは基本的にはサッカーにおける時間稼ぎを目的としたプレイは減らすべきである、という点に関しては賛同するだろう。
だが、今季導入されたよりアディショナルタイムをとり、かつ時間稼ぎに対して積極的にイエローカードを出す、という方針がそれに対する適切なアプローチなのかは自信が持てない。
そもそもこれは二重の措置となっており、もし時計が止まっている時間が後にアディショナルタイムに追加されるのであれば、イエローカードが何を目的としたものなのか判然としない。スローインに時間をかけてもその分は結局アディショナルタイムになるだけなので、単に彼らにそれは意味がないので急ぐようにと告げるだけで事足りるのではないだろうか?特に彼らがスローインに時間をかけるメリットは存在していないのだから。
また、スローインをイエローカードの対象とするというのも少し奇妙な話だ。プレイの性質上、スローインは時折ボールを渡すチームメイトを見つけるのが非常に難しいことも多い。
より悪質な時間稼ぎのほとんどはスローインよりもGKによって行われることが多い。そして、ボールを手に持っている際のGKの時間稼ぎについては、明確に秒数が指定され、違反となる旨のルールが存在している。
ペナルティエリア内でGKが6秒を上回って手でボールを保持した場合は、間接フリーキックが与えられる
だが、GKがこれを大きく上回ってボールを持ったままでいることは非常に多くあるし、これに対してファウルが取られることは全くない。このような間接フリーキックが最後に与えられたのはいつのことだっただろうか?
それとは対照的に、そもそもスローインについては何秒以内に行わなくてはならない、というルールは存在していない。今のところ、それは主審の裁量次第ということになっているようだ。
冨安は8秒スローインに時間をかけただけでイエローカードをもらい、フォレスト戦の終盤ベン・ホワイトは9秒ボールをスローインの時に持っていただけでイエローカードとなった。
だが、クリスタルパレス戦でまだ同点の時点でクリスタルパレスがスローインにそれぞれ27秒・25秒・22秒・22秒かけたケースもあったし、アーセナルもスローインに44秒かけたにもかかわらず、イエローカードが出なかった場面もあった。
試合後の会見でアルテタは、ではスローインにどれだけの時間をかけても良いのか誰も知らない、3秒なのか?と問うた。
もちろん3秒ということはないだろうが、そもそもそれらの基準は審判から選手に知らされていないのだろうか?
アルテタの反応や今季の選手たちを見るに、どうやらそうではないようだ。単に判定を厳しくする、ということのみを伝えられ、具体的にどこまでが許容範囲なのかの情報は与えられていないようだ。
また、もう一点冨安の退場について納得がいかないのは2枚目のイエローカードが明らかに今季開幕前にPGMOL(プレミアリーグプロ審判協会)が発表した方針と相いれないものであることだ。
接触を伴うタックルに関して:
試合の流れを良くし、プレイが止まる時間を減らすために、選手間のコンタクトがファウルとみなされる基準はより高くなる。昨季はファウルとなったような激しいコンタクトも流され、今季は昨季よりもFKは減るはずだ。
ではなぜ冨安のファウルはイエローカードとなったのだろう?
前半アイェウはイエローカードを一枚もらった状態でサカと激しいコンタクトがあったが、これは流された。もし新方針に基づいて、これは問題ないと判断されたのであれば、なぜ同様の基準が冨安のファウルには適用されなかったのだろうか?
Ayew pulled Saka down in a similar fashion to Tomiyasu, but did not receive a second yellow. Lack of consistency in refereeing decisions is frustrating for fans @FA_PGMOL pic.twitter.com/VHZvOnLNyr
— Krafisensi (@Krafisensi4) August 22, 2023
また、退場の罰則に関しての異議申し立ての対象にイエローカード2枚による退場も含めることの是非についても議論がなされるべきだろう。先日マックアリスターの退場による出場停止が取り消された(そして、これは正しい措置だったと思う)が、同様の異議申し立てをなぜイエローカード二枚で退場した選手に対しては行うことが出来ないのだろうか?
VAR導入後も、ある程度の誤審の発生は避けられない。そのようなときのために独立機関がマックアリスターのレッドカードのようなケースをレビューしている。であれば、単に判定の妥当性を確かめるためだけにでも、同様のレビューをイエローカード2枚の退場についても行うべきだろう。
もちろんそれらの改善策は直近のアーセナルにとっては役に立たないだろうが、最近プレミアリーグはより試合の流れを切らないようにファウルを取らない、という方針を発表してはシーズン途中でそれをうやむやにし、翌シーズンまた何かしらの新しい声明を発表する、というのが続いており、彼らはむしろそのようなことよりも、より基本的な部分の修正を行うべきだ。
とはいえ、アーセナルがセルハーストパークで何とか勝ち点3を手に出来たことは喜ばしいし、恐らく今週の試合前に監督は選手に時間稼ぎについての話を行うだろう。
冨安がもらったイエローカードのように、非常に厳しい基準が一貫して今季全試合で適用されるのかは興味深いところだ(恐らくそうはならないだろうが)。
ディスカッション
コメント一覧
近年まれにみるクソジャッジなのは確か
でもそのためのVARのはずです
そもそもVAR導入に伴ってロスタイム増加
でそれを是正する遅延の厳罰化、なんのこっちゃ
レフェリーは試合の流れに沿ってジャッジする
局面ではビハインドの気持ちも作用する、自身がPKを与えたならなおさら
そういう多少の感情の介在がフットボールの醍醐味だったりする
でも一線を越えてはいけない、そして間違いは認めなければならない
ミスするたびにbanしてたらそのうち誰もいなくなる
風見鶏でないなら再建中であるなら
色んな意見はあっても誤審防ぐVARの運用強化はマストなのでは
それとは別でトミはおそらく貧乏くじを引き受けやすい美徳というか
アルテタはトミを評価している
ゴール前攻めてから全力で戻って守備する、そんなことは誰もできないんだと
つまり自己犠牲です
けが含めてそれでどこまでやっていけるか、それが無くてどれだけやっていけるかです
アーセナルでやっていくのは本当に厳しい