アーセナル・ローンウォッチ 2022秋
アーセナルの試合は土曜の夜までいったんストップしていますが、今回は今季ローンで修業に出ている選手たちがローン先でどのようなスタートを切っているか、見てみたいと思います。
フォラリン・バログン
ここまでの所、ローン組の中で最も目覚ましい活躍を見せているのがバログンとタヴァレスのリーグアン組の二人ですが、バログンは既に7試合で5得点2アシストと、退場者が多く今季16位に沈んでいる不調のスタッド・ランスにおいて素晴らしい成績を残しています。
この7試合のうち5試合が先発出場で、リーグアンの出場分数は445分、90分に1点を上回るペースで得点を上げており、アシストも合わせれば、63分ごとに1得点またはアシストを記録しており、チームのエースの風格も漂います。
これはエディー・エンケティアにも言えることではありますが、ユース時代では圧倒的な得点力を誇った選手でも、やはりトップチームで散発的な出場機会しか与えられないとリズムがつかめず苦戦する傾向にあり、改めて定期的な出場機会を得られる環境がどれだけ重要かを示す結果となっています。
現時点でネイマールとエムバぺに次ぐリーグアン得点ランキング第3位タイにつけており、今後も好調を続けて欲しいものです。アーセナルの補強の行方など次第ですが、もしかすると来季はジェズス、エンケティアにバログンも加わり、このうち2人を同時起用するような布陣も視野に入ってくるかもしれません。
ヌノ・タヴァレス
バログンと同じく、フランスの地で水を得た魚のように生き生きとプレイしているのがタヴァレスです。ゲンドゥージ、コラシナツ、アレクシスとアーセナルファンにとっては懐かしいメンツが並び、昨季はサリバもプレイしたマルセイユへとローンに出ることになったタヴァレスですが、今季は既に9試合に出場しています
途中交代での出場となった試合もありますが、直近のチャンピオンズリーグのトッテナム戦とフランクフルト戦にも90分フル出場しており、欠かせない戦力として、既にレギュラー格とみて良いでしょう。
アーセナル加入時のインタビューで右足でのシュートが得意、と語っていたタヴァレスですが、その言葉通り、フランスでは得点力を発揮し、今季すでに3得点も挙げています。
実際のアシストにはまだ繋がっていませんが、アシスト期待値やチャンス創出数の数値も高く、チャンスの創出にも貢献しているようです。タックル数も悪く無いですし、ペナルティエリア内へのドリブルでの侵入数は欧州トップクラスの数字です。
マルセイユで任されているウイングバックの特性がタヴァレスと非常にマッチしているようですが、現状ティアニーとジンチェンコがハイレベルなポジション争いを繰り広げている左サイドバックのポジションにおいて、タヴァレスの居場所があるかは少々不透明なところが残念と言えば残念な所でしょうか。
攻撃力はありますが、ウイングというよりも広大なスペースを与えられて比較的自由に上下動できるポジションの方が活きそうですし、アーセナルで左サイドバックがこなせるかどうかは今後の成長次第といったところでしょうか。
ただし、もしも売却となったとしても、この活躍を続けてくれれば売却先には困らなさそうです。
オーストン・トラスティ
Embed from Getty Images今季ローンに出ている選手の中で、活躍の派手さでは上二人には及ばないものの、最大のサプライズとも言っていいのがこのトラスティではないでしょうか。
トラスティはコロラド・ラピッズからひっそりと獲得されてきたアメリカ人CBで、A代表にも選ばれておらず、アメリカでもそこまで凄まじい活躍を見せたというわけでもない選手がアーセナルで出番を得られると思えず、獲得当初は全く話題にもなりませんでした。
コロラド・ラピッズのオーナーがアーセナルと同じスタン・クロエンケであることもあり、マーケティング的な要因、あるいは何らかの大人の事情があるのではないか、という憶測さえ流れたほどです。
予想通り、と言っては失礼かもしれませんが、今季も英二部バーミンガム・シティへとローンに出ることになりました。
ただし、そこは流石MLSで既に120試合以上とアメリカでは実績のあるCBだけあり、バーミンガムでは開幕スタメンの座をもぎ取ると、そこから9試合連続でフル出場、不動のスタメンの座を得ています。
190cmと上背もあり、チャンピオンシップで十分にやれるようであれば、プレミアでもフィジカル面は問題なさそうですし、24歳とCBとしてはまだ若い選手です。
また、注目したいのが、トラスティが左利きであるという点です。アメリカ時代は前へのドリブルでの持ち上がりも持ち味だったようです。
まだまだプレミアリーグでプレイできる水準にまで成長を遂げるか未知数ではあるものの、パブロ・マリは退団が決定的ですし、もしかすると来季以降、左CBの控えとして、ポジションを掴む可能性はなくはないのかもしれません。
その他ユース組
スコットランドで出色の活躍を見せ、今季はイングランド2部のストークへとローンに出ているユースCBのハリー・クラークは残念ながら2試合先発フル出場を果たした所で怪我で離脱、途中出場がメインながら同じく2部のブラックプールで好スタートを切っていたチャーリー・パティーノも怪我となってしまいましたが、パティーノに関してはそこまで重傷ではなく、既に直近のロザラム戦で復帰を果たし、24分プレイしています。
また、昨季からやはり圧巻のパフォーマンスを見せているようなのがブルック・ノートン=カフィですが、昨季は英3部で高評価を得て、今季はそのロザラムへとローン移籍、移籍から既に4試合連続スタメンと、2部へのステップアップをものともしていません。パティーノとブラックプール戦では対戦相手としてピッチに立ちました。
今季は右ウイングバックでの起用となっているため、若干メイトランド=ナイルズのようになってしまわないか、タヴァレスと同じくアーセナルに帰ってきた際にポジションがあるのか不安ではありますが、この調子で行くとノートン=カフィは問題なく将来的にはプレミアリーグでプレイできそうです。
また、英三部クルー・アレクサンドラへとローンに出ているGKのオコンクォはきちんと出場機会を掴み9試合に出場しています。また同じく英三部イプスウィッチでプレイするジョン=ジュールズもサイドやセカンドストライカーのような位置で、得点は少ないながらも定期的に出場しています。
加えて、スペイン二部にローンに出ているミゲル・アズィーズとマルセロ・フローレスは出場機会を掴み始めているので、今後の本格的な活躍に期待です。
ユース組ではないですが、セインツにローンに出ているナイルズも、直近のウルブズ戦でベンチから初出場を果たしました。
まとめ
まだまだ今季も序盤で、ここから調子の浮き沈みや予期せぬサプライズなど、色々あるかとは思いますが、現時点では今季のローン組は比較的皆よくやっているように思えます。
この中からステップアップし来季のアーセナルでポジションを掴む選手が現れるのか、期待して見守りたいですね。
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