AONでは放送されなかった部分とウーデゴール: 静かなるキャプテン

語ってみた

オールオアナッシングを視聴した方は気づいたかもしれないが、番組内でウーデゴールはロッカールームでも非常に静かであるように見え、その彼がキャプテンで大丈夫なのか、と心配するアーセナルファンもいるようだ。

だがまず第一に、当然ながら我々がこのドキュメンタリー番組を通して目撃したのは、製作者側が我々に見せようと思った部分のみであるということ、そして、アーセナル側が許可を出した映像のみであるということには留意する必要がある。

番組内で、試合後ウーデゴールが静かだった姿しか映らなかったからと言って、実際に彼が何も言っていなかったというわけではないだろう。

そして第二に、ウーデゴール自身が、カメラがチーム内に入るという状況を好ましく思っていなかった、と語っている。

カメラに撮影されている状態で話す必要があるとは思わなかったね。僕は撮影されていると思うと少しシャイになってしまうタイプだ。ドキュメンタリーで流れたよりもはるかに多くのことが実際には昨季起こっていたよ。

『ロッカールームの話はロッカールームに留まる』とは昔からよく言ったもので、本来であれば、選手たちにとってこれは非常にプライベートな空間である、ということは思い出す必要があるだろう。

通常監督も選手間のやり取りについて公の場で語ったりはしないし、それが敗戦後など、難しいタイミングであればなおさらだ。

基本的には、ロッカールームのドアは閉じられ、選手自身もここから情報が出ていくことはないと認識しているものなのだ(もちろん、どこかにリーク屋が居れば別だが、どうやらアーセナルにはもうそのような存在はいないようだ)

したがって、アーセナルのロッカールームでは選手たちの気概が見られなかった、といったような話は全ての選手がそこにカメラがあることを知っていた、という前提で議論されるべきであるように思われる。彼らはどの部分がドキュメンタリーで切り取られてもおかしくない、と感じていただろう。

もしあなたが務める会社で、突然社長が『これから9か月間、君たちが働く様子を全てカメラで撮影することにした!』と宣言したらどうだろうか?

これにより、あなたの職場での態度、発言や行動は変わるのではないだろうか?

非常に奇妙で、心地悪く感じられるに違いない。満足のいかない結果となった試合の後のロッカールームがほぼ常に無言だったというのは、まさにこのことを示しているように見える。

選手たちに何も言うことがなかったからではなく、言うことはあったが、その多くはカメラの前で語られるべきものではなかった、ということだろう。一応はクラブに編集をチェックする権限が与えられていたとしてもだ。

ウーデゴールが示した忌避感は至極当然のことだし、そしてこれは彼の賢さを示している。

特にドキュメンタリー制作チームを批判する意図などはないが、リアリティTVショーのように撮影され続け、どの部分が公開されるかわからない、という状況では、発言に関して少々注意深くのは当然のことだ。

そういった状況では、口を閉じておくのは賢い事であるに違いない。

実際に、番組内でチーム運営のテクニカルな部分や、戦術面に触れられた場面は一切なく、これは恐らくミケル・アルテタの意向に違いない。チームのミーティングが映った際も実際に監督が戦術面での指示を出す場面などは映っておらず『やるべきことはわかっているな?』のような当たり障りのない部分のみが公開されていた。

アルテタが非常に戦術的な監督であることを考えると、恐らく公開されなかっただけで、監督がチームにかけた言葉の中には戦術的なものも多くあったと考えるのが自然だし、ウーデゴールがピッチ上の戦術リーダーとみなされていることを考えれば、彼も同じように戦術に関して話しているはずだ。

アルテタ(当然ながら彼自身が現役時代にキャプテンであり、キャプテンの仕事に関してはよく知っているはずだ)はウーデゴールのキャプテン任命に関して以下のように語っている。

マルティンはチームの全員からリスペクトされているし、クラブスタッフからも賞賛されている。彼はまだ23だが経験豊富だし、ノルウェー代表でもキャプテンを務めている。サッカーへの情熱があり、それをアーセナルで毎日示している。彼のプレースタイルにもそれは現れているね。

オールオアナッシング内で見られたウーデゴールが彼の本当の姿ではないのは明らかで、これを基にウーデゴールがキャプテンとして適正なのかを判断しようとするのは筋が通らない。

彼をサポートする選手としてジャカとジェズスの二人を任命したのはスマートな策だとは思うし、ウーデゴールはイングランドで想像されるような典型的なトニー・アダムズタイプのキャプテンではないかもしれない。

だがそもそもそのような性格の持ち主は非常にレアで、もはや過去のものだといっても過言ではないだろう。

チームを率いるのには様々なやり方があるが、一試合で二得点を挙げ、チームに勝ち点3をもたらすというのがその最高のやり方の一つであることは間違いない。

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Posted by gern3137