ギアを一段上げるマルティネッリ

分析Tim Stillman,海外記事

以前、私はオーバメヤンの退団前に、オーバメヤンのメンバー外によりマルティネッリの出場機会が増える可能性があるという旨の記事を書いた。

彼ら2人は似た素質を持っており、同じシステムで共存させるのは難しいのではないかと思われたからだ。彼らは二人ともビルドアップに関与するよりも攻撃の最終局面で輝く選手であり、かつ、左サイドでのプレイを得意としている。違いはオーバメヤンは中央んに開始ポジションを取って左に流れることが多かったのに対し、マルティネッリは左からスタートして中に入っていくというプレイが多い点くらいだ。

このような選手を二人前線に抱えるのは難しく、ニコラ・ペペの存在も考えるとなおさらだ。実際に、マルティネッリが最初に2020年にプレミアリーグで活躍を見せ、シェフィールドやチェルシー相手に得点を記録した際は、オーバメヤンが出場停止でチームを外れていた期間中だった。

その後、一瞬ラカゼットを中央において左にオーバメヤン、右にマルティネッリという形も試されたが、結果バーンリー戦はシュート2本の無得点に終わってしまった。

だが現在は、オーバメヤンはバルセロナへと去り、ペペはアルテタの元スーパーサブに留まっている。結果として、ついにマルティネッリが先発メンバーとして輝きを放ち始めた。

昨季は怪我にも悩まされていたというのもあるにせよ、今季すでにマルティネッリは昨季の倍以上の分数のプレミアリーグに出場している。

ラカゼットがフォーメーション上はストライカーながら、彼の主要な役割は得点を挙げるよりも他の攻撃陣の選手を輝かせることとなっており、マルティネッリが実質的にチームのストライカーのようになっている。

この形は、リバプールのサラーやシティのスターリングと少し似ている。

もちろん、マルティネッリもチャンスが訪れるまでの間、ただ座して待っていたわけではない。裏で彼に多くのことをコーチングしようという取り組みが見て取れた。何度かこれにアルテタも触れているが、特に12月のウエストハム戦で、マルティネッリがマンオブザマッチの後に以下のようにコメントしている。

彼はいくつかのギアに分けたプレイが出来るようになっている。まだ常に全てのプレイを時速100kmで行おうとしてしまうような時も見られるものの、彼が見せるクオリティはトップレベルだ。

FBrefでスタッツを見てみると、今季のマルティネッリは90分当たりのゴール数とアシスト数共に増加している一方で、90分当たりのシュート数は0.5本ほど減少している。

彼はより良いシュートを選択できるようになっていることだろう。アルテタの『まだ常に全てのプレイを時速100kmで行おうとしてしまうような時も見られる』というのは、単にフィジカル面だけを指した言葉ではないようだ。

確かに、常にトップスピードでプレイしていては状況判断が難しい場合もある。シュート数と同じく今季のマルティネッリはプレス数も昨季よりも減少しているのだが、プレスからのボール奪取数は増えている。これも、全てを追い回すのではなく、きちんとタイミングを選んでプレスをかけられるようになっているという証だろう。

これを選手全員が理解するのはポジショナルプレイの重要なポイントで、アルテタは各ゾーンの選手の役割を全選手に把握することを求めているはずだ。

いずれジャカに代わる左の8番を担当する選手が獲得されてくることになれば、マルティネッリは更に輝くだろう。

これはジャカへの批判というわけではなく、彼は悪くないレベルでこの役割をこなしていると思う。だが、アーセナルが次のステップに進むためには、恐らく各ポジションの選手を『悪くない』から『素晴らしい』に引き上げていくべきなのだ。右サイドでウーデゴールが示した通り。

そのような存在が左サイドに居ればティアニーとマルティネッリの攻撃は更に実り多いものになるだろう。

マルティネッリのシュートとプレスの状況判断に関しては既に述べたが、アーセナルは現状左右両サイドで逆足の中に入るタイプのウイングを採用しており、恐らくアルテタは次のステップとして彼にいつその場にとどまり、いつ中に入るべきかのコーチングを行おうとしているのではないかと思う。マルティネッリが外に張って相手陣を引き延ばすべきタイミングと、中に入り込むべきタイミングの判断だ。

最近のマルティネッリはドリブル突破力が目覚ましく向上しており、大外で相手サイドバックとの1対1に打ち勝てる場面も増えている。彼は華麗なドリブラーというタイプではないが、力強く相手を突破することが出来る。

ポジショナルプレイにおける良い攻撃というのはアコーディオンのようなものだ。広がっては縮むことを自由自在に繰り返す。例えば、サカの大外と中の使い分けの判断は素晴らしい。彼はよく一瞬でサイドからペナルティエリアまでボールを運んでいる。

この面でマルティネッリが成長を続け、どのタイミングでウイングになるべきでどのタイミングでストライカーになるべきかの判断の精度が上がれば(すでに後者に関しては彼はほぼ完ぺきにできているが)、彼の選手としてのレベルは一段上がることだろう。

マルティネッリとサカの2人はマンチェスター・シティでアルテタが指導したスターリングとサネの二人を彷彿とさせる。アルテタの言う通り、マルティネッリは"ギアの使い分け"が出来るようになりつつある。彼はもうすぐスーパーカーのようなFWになれることだろう。

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Posted by gern3137