トーマス・パーティのアンカー適性がアーセナルの夏の補強方針に与える影響 後編

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もしアーセナルが前者のより攻撃的なタイプのMF獲得を目指すのであれば、オプションはかなり豊富だ。アーセナルが長く興味を示していたと言われるフセム・アワールもこのタイプに当てはまるだろうし、エミール・スミスロウをコンバートするという手もある。

これが実現すれば、スミスロウは左サイドで得点とアシスト面で非常に大きな脅威をもたらしつつ、マルティネッリやティアニーといった左サイドでプレイするであろう選手とのポジションチェンジも上手くやってくれるはずだ。

ただし、この場合、現在ボール非保持時には4-4-2になり、ジャカと共同で守備を行っているパーティの守備面の責任はさらに増すことになる。

左サイドの攻撃力を増すために、中盤の守備を薄くしても一人で対応できるだけの守備能力をパーティが備えているかどうかは、まだ不透明だ。

もちろん、守備力はパーティの強みの一つであり、彼は棄権に繋がりそうな場面を敏感に察知することが出来る。だが、パトリック・ヴィエラのように独力で中盤を制圧できるような選手、あるいはカンテのようにボール奪取が非常に得意な選手というわけではない。

もしも、より攻撃的な8番を起用してパーティ一人に中盤を任せるのはリスクが高すぎるということであれば、アーセナルは代わりに守備的MFが務まるような6番タイプの選手の獲得に動くのも一つの手だ。

ただし、このような役割が務まる選手の候補はかなり限られてくる。これまでのアーセナルの選手獲得方針を考慮して、23歳以下の選手にターゲットを絞ると、明らかにアーセナルの中盤を次のレベルへと引き上げてくれ、二人攻撃的なMFを起用しても一人で中盤を支え破綻を防ぐことが出来ると思わせるような選手はウエストハムのデクラン・ライス、あるいはモナコのチュアメニくらいのものだ。

だが、彼らは二人ともアーセナルにとって獲得は非常に難しいだろう。移籍金は非常に高額になることが予想されるし、ライスはチェルシーあるいはマンチェスター・ユナイテッド行きが噂されており、チュアメニにも同じくチェルシーやリバプール、レアルマドリードといったクラブが興味を示しているようだ。

彼ら以外の候補として考えられるのはブライトンのイヴ・ビスマだが、彼は現在裁判沙汰になっており状況がかなり不透明だ。

したがって、やはり今季の残り試合を活用してパーティをアンカーへと適応させていくのが、移籍市場のオプションも考慮したうえで一番現実的な解決策かもしれない。ライス/チュアメニの獲得に動くよりもこちらの方が見込みがありそうだ。

もう一つの案としては、攻撃的なボランチではなく、もう少し能力的に攻守のバランスが取れ、前線の5人の一部となることも出来れば守備陣の前でダブルボランチの一角を務めることが出来るような選手の獲得を目指すという手もある。

このような役割にぴったりとフィットしそうな選手がナポリのファビアン・ルイスだ。彼はボール保持時のスキルは素晴らしく、ボール前進と得点への貢献のスタッツは欧州トップレベルだ。彼はドリブルが多いわけではないし、華やかなタイプではないが、素晴らしいクリエイターで、守備陣を切り裂くようなパスと中距離からのシュートを持ち合わせている。

守備面で彼はナポリの中心というわけではないが、彼はナポリのメインの守備的であるロボツカに良いサポートを提供している。

ルイスは背が高いものの空中戦に強いわけではなく、かつ素早いカバーが出来るような足の速さもないが、ポジショニングは素晴らしく、正しいタイミングで正しいタイミングに現れる。彼のような選手が居ればアーセナルの戦術面での柔軟性は大きく向上するはずで、対戦相手に応じて4-2-3-1と4-3-3を使い分けることが出来るようになるはずだ。アーセナルにとってルイスは創造性と守備力、そしてボール保持力のバランスが適した選手だと言える。

もちろん、アーセナルがもしライスやチュアメニといった選手を獲得できるのであれば、彼らは世代に一人といってもいいタレントで、獲得に動くべきだ。この二人は単独で中盤を支え、かつ灯台のようにチームを導き、ボール保持時のテンポを定められる存在だ。マンチェスター・シティやリバプールにおけるロドリやふぁびーにょのような選手になれるだろう。

このような選手がいれば、アーセナルはマンチェスター・シティがデブライネとベルナルド・シウバあるいはギュンドアンを共存させることが出来るように、攻撃的な8番二人を同時にピッチに送り出せるかもしれない。

だが、もしこのような選手が獲得が難しいようであれば、ファビアン・ルイスのようなタイプの選手はアーセナルにとって素晴らしいオプションとなるだろう。ルイスは契約延長交渉が進んでおらず、16m£程度で獲得できるのではないかという報道が事実であればなおさらだ。

究極的には、今季の残り、移籍市場開幕までの間にパーティがアンカーでどのようなパフォーマンスを見せるか次第で、夏にアルテタのアーセナルがどんなタイプのMF獲得に動くべきか、より明確になっていくだろう。

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Posted by gern3137