ついに一体となるアーセナルファン 前編

分析Tim Stillman,海外記事

二年前にアーセナルの監督に就任するにあたって、ミケル・アルテタはクラブは文化面での変革を必要としており、これが彼の優先事項だと明確にした。

これには、ファンが提供するエネルギーに関しても含まれていたのかもしれない。アルテタの監督就任が発表される直前、シティベンチからアルテタが見守ったアーセナルvsマンチェスター・シティ戦ではアーセナルはあまり熱意のない観衆の前で、エミレーツスタジアムで簡単に相手にやられてしまった。アーセナル監督就任後、"少しエネルギーを変える必要がある"とアルテタは語ったが。確かにこの日、ヴェンゲル監督時代最終盤を経て、アーセナルファンはもう怒る気力も残していなかった。

もちろん、これをアルテタは即座に改善できたわけではない。観客の無気力さがピークに達していたと言ってもいいのがウナイ・エメリ時代のホームのサウサンプトン戦だ。ラカゼットがアディショナルタイムに同点弾を決めたにもかかわらず、観客は立ち上がることもなく、ピッチに居た選手たちですら大してセレブレーションを行わなかった。

この得点でエメリの時代がもう少し続くことになってしまったかもしれないという残念さすら感じられた(実際の所、エメリはこのあともう一試合だけしか指揮をとれなかった)。

このような光景は、監督がその座に留まれないことを明確に意味していた。

上のシーンと、そこから23か月後、エミレーツスタジアムでクリスタル・パレス相手の2-2の引き分けとを比べてみよう。この試合でも同じようにラカゼットがアディショナルタイムに同点弾を決めたわけだし、結果が中位相手の引き分けに終わったという意味では状況は同じだ。だが、選手たちとサポーターのリアクションを見て欲しい。

より若く、よりハングリー若い新たなアーセナルとファンの間には再び絆が生まれており、その証は今季何度も見られている。

これにはいくつかの要因があるだろう。ワクチン接種を経て無観客試合が終わり再びスタジアムを訪れられることの喜び、そして以前とは一新したチームの顔ぶれも影響しているに違いない。

また、以下のスレッドでは先日のアンフィールドでの試合でいかにアーセナルファンが作り出した空気が素晴らしかったかがまとめられれている

もちろんこのスタジアムを訪れるファンの空気感、文化の違いがチームの変化と同じだけの影響を試合結果に与えているというのは言い過ぎかもしれない。だが、選手たちの姿勢が変わるのと時を同じくしてファンの空気も変わり、これがアルテタとアーセナルにとってアドバンテージとなっているのは間違いない。

監督は常に公の場でサポーターの貢献の大きさを語るし、クラブのスタッフも常にファンへのリップサービスを忘れない。アルテタにとって、ファンがいかに熱量をもって試合を応援してくれるかというのは実際に試合結果を左右しうる細かなファクターの一つなのだろう。

チェルシー戦で敗北を喫した後、スカイスポーツのインタビューで『ファンからのブーイングが試合を難しくしたか?』と聞かれたアルテタは質問を遮るようにサポーターのポジティブな影響を称え、これが悪影響を与えてはいないと否定した。

Tそして、これに関して非常に興味深いのは、アルテタ自身が先頭に立ったわけではないにもかかわらず、ファンとチームの関係性を修復することに成功したという点だ。

今もまだアルテタ自身はファンの間で意見が分かれる存在であり、試合では常に彼の名前のチャントが歌われるというわけではない。

これは監督に対する批判ではなく、チームと監督が一体となりすぎていたヴェンゲル時代と比べれば、このような出来事が監督とは独立して起きたというのは健全なことだろう。

(後編へ続きます)

source:

関連記事(広告含む)

Posted by gern3137