アーセナルのスカッドの層の厚さ/薄さに関して 前編
アーセナルがFA杯のノッティンガムフォレスト戦で敗北を喫したことを受けて、アーセナルのローテーション要員の選手たちの質に関してファンの間で議論になった。
控え選手たちのクオリティを判断するのはいつだって難しいものだ。彼らはたまにしかプレイしないし、実際に出場するときにはほとんど一緒にプレイする機会がない選手たちと、連携が整っていないシステムでプレイすることになる。
アーセナルが中盤にフォレスト戦で起用したのはアルベール・サンビ・ロコンガとチャーリー・パティーノのペアで、これがいきなり機能する可能性は低いことは試合前から分かっていた。もしこの試合でアーセナルがエルネニー+ナイルズあるいはロコンガ、というペアを起用できていれば試合結果は異なるものになっていただろう。
カップ戦では経験不足の若手選手を起用しても何とかなることも多いが、チームの中心となるポジションではそれは難しい。片方の足首や足の甲を怪我していてもなんとか足を引きずって歩けるかもしれないが、背骨や腰を負傷してはソファに辿り着くのが精一杯であるように。
さらに、ローテーション要員の選手たちとは悪循環に陥りがちだ。彼らは数週間に一度しか試合に出ないためコンディションを整えるのが難しく、そして、その数少ない機会で印象的な活躍を見せられなければまたしてもベンチコートを着込み、数週間の控え生活に戻ることになる。
このようなシチュエーションでチャンスを掴むのは非常に難しく、ここから自力で脱出する選手は非常に少ない。たいていの場合は、怪我などでファーストチームの先発の11人の誰かが欠けた際に機会を得て台頭するというパターンの方が多い。
今季ヌーノ・タヴァレスがキーラン・ティアニーから11月から12月にかけてポジションを奪ったのがその良い例だろう。
だがそのタヴァレスもフォレスト戦では前半に交代するという憂き目にあった。どのように出場機会の少ない選手のモチベーションとコンディションを保ち、実際に出番が訪れた際に良いパフォーマンスが出せる状態を維持するか、控え選手のマネージメントは現代の監督が直面する最もデリケートな問題の一つだ。
直近の2回の夏の移籍市場でアルテタとエドゥは大刷新に打って出ており、そこで加わったラムズデール、ガブリエル、パーティ、ホワイト、ウーデゴール、冨安といった選手たちがチームの核となっているし、この時期にスミスロウとサカも台頭している。
チームの再建において、層の厚さよりもアーセナルのファーストイレブンが喫緊の課題であったことは間違いない。
チーム作りの次のステップはアーセナルの前線を長期的に任せられるストライカーの獲得と、グラニト・ジャカの代役だろう。現状のアーセナルのイレブンで、アルテタが獲得したのではない選手で残っているのはジャカ、ラカゼット、そしてティアニーのみだ。
同時に、アルテタが望んだ獲得ではなく、監督就任時に受け継いだチームの控え選手の刷新も行われるだろう。
何度か他の場でも書いているが、控え選手に理想的なのはロコンガやタヴァレスのような将来性のある若手だ。まず第一に、彼らは一旦控えの役割を担うことをそこまで苦にしない。
キャリアの初期にはチャンスを待ち、ファーストチームでのプレイのチャンスを得るために成長しないこともあると理解しているからだ。
過去にアーセナルは控えとしてベテランを獲得したことも多かったが、これは軒並みあまり機能せず、かつコストパフォーマンスも良いとは言えない。
キャリアのピークを過ぎて控えを受け入れるつもりで移籍してくる選手というのは給与に惹かれているという場合が多いからだ(もちろん、彼らにはその権利がある)。
若い選手たちの方がよりハングリーな傾向にあり、かつ数年控えが続けば移籍を望む場合が多いため、スカッドの再生も容易だ。セドリックとナイルズの現状を見てもそれはわかる。
アーセナルはジョー・ウィロックやアレックス・イウォビの売却から多額の移籍金を獲得することが出来た。
(後編に続きます)
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