続くアーセナルのユースアカデミー改革
昨年アーセナルのアカデミーへのアプローチは明確な路線変更が見え、これは21/22シーズンも続きそうだ。
変わった点
昨夏アーセナルが何人もユース選手を獲得したのは驚きだった。
ティム・アキノラ、ジョナサン・ディンゼイ、ジョエル・イデホ、ジョージ・ルイス、ニコライ・モラー、サラー=エディーといった選手がほぼフリーで加わった。さらに1月にはオマー・レキクもここに加わった。
例年であれば、U-23選手はU-18から引き上げられるのが普通だ。だが2020年には外部からの加入の選手が多かった。これでU-23に選手が溢れたのかというとそういうわけではなく、外部選手の加入と並行して多くの選手がローンに出された。
ゲンドゥージやサリバといったファーストチームの選手を除いて15人ものユース選手が昨季ローンに出た。
一年前にアーセナルは専任のポストとしてローンマネージャーを設立してこのポジションにベン・ナッパーを充てているので、ローンが活発化したのは驚きではない。この事実だけをとってみても、クラブがよりローンマーケットがもたらす利益を最大化しようという姿勢を強めているのが見て取れる。
さて、興味深いのはクラブの次の方針がどのようなものかだ。昨夏は一度限りのものだったのだろうか、ローンに出されていた選手たちはファーストチームの座をかけて戦うのか、再びローンに出るのか、それとも完全移籍で放出となるのか?
この数週間でその答えが見えつつある。
まず、アーセナルはユース選手をローンに出す方針を今年も継続するようだ。アーセナルは既に8人の選手が含まれているローンリストを多くのクラブに伝えており、ダニエル・バラードはミルウォールへの移籍が決まった。
さらに、アーセナルは完全移籍についてもより厳しい判断を下しているようだ。ガナーズは既にオロウと契約延長をしない判断を下し、メドリー、マクギネス、コイルを完全移籍で放出した。これで昨年ローンに出ていた15人のうち4人がクラブを去ることになる。さらに多くの放出が続くだろう。
メドリー、マクギネス、コイルに関してはアーセナルは移籍金は無料だが再売却条項を含んでの放出、という形を選択した。現在の世界中のサッカークラブの経営状況を考えればどちらにせよ大きな利益は見込めないだおるが、それでも将来的に少しは移籍金が入ってくるかもしれない。
ファーストチームへの合流が遅れる選手もいる関係で、何人かの選手はプレシーズンに帯同するだろう。プレシーズン開始時点でCBが揃わないのでハリー・クラークが参加するかもしれないし、レノがユーロに参加しているのでGKも加わるはずだ。既にシニアチームでの練習参加が多いジョン=ジュールズも加わるかもしれない。
だが彼らに関しても、どうやらアーセナルは将来を出来るだけ早く解決したいと考えているようだ。
新方針のメリットとデメリット
新方針の最大のメリットは、よりファーストチームの資金源となる可能性が高まるという事だろう。ユース選手の全員が成功を収めるわけではなく、当然フリーで放出となる選手もいるかもしれないが、そのうちの一人か二人が少し良いプレイを見せ、他のクラブの興味を引けば、彼らの獲得にかかるコストのもとは取れる。
さらに、多くの選手をローンに出せば、そのような選手が現れる可能性は高まる。もし将来的に移籍するとしたら、バラードはそのような選手になる可能性がなりそうだし、それは彼一人ではないだろう。
そして、これはローンに出される選手たち自身にとっても悪い話ではないはずだ。シーズンほとんどをU-23でチャンスを待ちながらプレイするよりも、毎週ファーストチームで試合に出られる方が良い経験だろう。
そして、アーセナルはより若い選手にU-23でのプレイ機会を与えることがd切る。
一方でデメリットとなりうるのは、彼らの多くがローンの輪から抜け出せなくなってしまう可能性があることだ。チェルシーを見ればわかるが、確かにこの方針はクラブに資金をもたらすかもしれないが、何人かの選手はローンを繰り返すばかりでキャリアを本格的に始動できない、ということになってしまうかもしれない。
また、ローンに出られなかったより年長のU-23の選手たちはあまり経験がない非常に若い選手に囲まれてプレイすることになり、苦労することになるかもしれない。
昨季我々が見た通り、スティーブ・ボールドのU-23のチームは危うく降格するところだった。
アーセナルが選択するローンに出す選手たちが正しいのかどうか、U-23の環境をプレイする選手にとって良いものに保ちつつ、同時にローンに選手を送り出す良いバランスを見つけることが出来るか、そしてより多くの選手をアカデミーにかかえることができるかは、時間が経てば答えがわかるだろう。
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