アーセナルの今季を四分割して振り返る③ 絶好調のクリスマス後-すべてを変えたスミスロウ
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だがここでクリスマス後に大きく風向きはわかった。
ここらほぼ常にアーセナルは4バックで試合に臨むようになり、このあと3バックを起用したのは1試合だけだった(先日のチェルシーアウェイだ)
勝なしの期間中にもアルテタはジョー・ウィロック起用し、ラカゼットをトップ下に置く形での4-2-3-1というのを試してはいたが、その後セインツ戦とエヴァートン戦では3バックに戻していた。
しかし、12/26のチェルシー戦は今までとは全く異なる形で、エミール・スミスロウが初先発し、ブカヨ・サカは右で登場、中に滑り込んで試合に影響を与えることが出来ていた。
そして、これはうまくいった。
スミスロウがアーセナルを流動的にしたのだ。
彼は隙間を埋めた。スローだったチームを素早く変えた。これまでのアーセナルがぽっかりと空けてしまうことが多かった中央のエリアにロウは即座に入り込み、彼は相手選手の間に位置取って彼らを引き付けることで他の場所にスペースを作り出した。
突然アーセナルは相手のライン間に選手がいる状態になった。
スミスロウがボールを受けると、プレイは加速した。彼はいつもコーナーフラッグに斜めに抜けるようなボールを狙っていたし、ハーフターンでボールを受け手、相手のバックラインにドリブルを仕掛けることも出来た。
彼はタイトなエリアでも臆さずボールを受けようとしたし、そこでボールを受ければチームメイトにボールを預け、そして再びボールを受けられる位置に向かって走り出した。
彼のこのようなプレイはチームに広がり、サカもここに加わった。
スミスロウは1人でチームのプレイスピードを変え、その結果アーセナルはチェルシー戦とウエストブロム戦で素晴らしいパフォーマンスを見せた。
例えば、下の画像の場面でアーセナルは特にゴールに迫っているようには見えない。ここから何かを生み出すには、選手たちが推進力を自力で作り出さなくてはならない。
前線からサカが下りてきているのが既に数週間前と比べれば改善点だが、他の選手のサポートなしにここから一人で事態を打開するのは簡単ではない。
だが、それこそまさにスミスロウがチームにもたらしたものだ。
彼は一瞬もためらうことなくサカにボールを弾くと、サカが下りてきたことによって空いたスペースに外側から全速力で走りこんだ。
そして、その後2本の素早いパスが続き、彼は縦に抜けていた。
また、最前線での貢献だけではなく、スミスロウがチームに加わったことによりアーセナルはボールを前に運ぶのも楽になった。
DFを一枚削り、中盤の選手が1人増えたことで、アルテタのチームは選手を押し上げ、相手を押し込むことが出来るようになった。ストライカーが中盤へのパスを遮断するのではなく、ラカゼットがチェルシー戦で行ったように、CBや相手のGKにプレスをかけられるようになった。
アーセナルの成績は劇的に改善したが、それよりも重要なのは、それに内容が伴っていたという事だ。勝つべくして勝利を収められるようになり、この頃のサッカーはアルテタ体制のアーセナルで最高のものだったと言っていいだろう。
もちろん、全てが完ぺきだったというわけではないし、改善の余地はあった。ヴィラ戦やシティ戦のように早い時間に知ってしまう事もあり、チャンス創出に苦戦する傾向はまだ続いていた。
だが、パフォーマンスの改善は明らかで、ついにアーセナルは逆転勝利も収められるようになった(サウサンプトン、レスター、トッテナム)。
特に目立ったのはノースロンドンダービーで、アーセナルの攻撃は最高とは言えなかったかもしれないが、もう酷いわけではなかった。
また、アーセナルがリードを奪えるようになったというのは非常に大きかった。その前の7試合ではアーセナルが先行したことは一度もなかったが、この後14試合のうち11試合でアーセナルどこかの時点では試合をリードしていた。アーセナルがリードし出来んなかった3試合は試合開始直後に失点したシティ戦とヴィラ戦、そして0-0に終わったマンチェスターユナイテッド戦だけだ。
アルテタは一貫して創造性を犠牲にしつつ守備を固め、試合をタイトに保つというアプローチを好んできたが、このやり方は、アーセナルがビハインドに陥る頻度が減り、しかもそれをひっくり返せるようになったことで、かなり機能するようになった。
(④シーズン終盤の失速に続きます)
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