アーセナルのCBを巡るジレンマ
この5,6年、アーセナルには選出に迷うほどのCBの選択肢は多くなかった。コシェルニーとメルテザッカーのコンビ以外は、基本的には最近のアーセナルで上手くいったCBのペアというのはいない。
だが、アルテタは監督就任後アーセナルの守備を整えることに成功し、いくつか見込みがありそうなCBのパートナーシップが生まれつつある。むしろ、誰を選ぶのかが難しいくらいで、どの2人をセレクトするのか正しい選択をするのはアルテタにとって今季の残りにおいて最も重要な仕事の一つだといってもいい。
ガブリエル・マガリャンイス
アーセナルに23m£でやってきた新加入のガブリエルは、今季複雑なシーズンを送っている。デビュー戦で得点を挙げ華々しくアーセナルでのキャリアを始め、チームが不調な中で彼個人としては良いパフォーマンスを見せていた。
連続で月間最優秀選手に選ばれるなどもした。
だが、アーセナル自体の調子が上がるにつれてガブリエルはその絶対的な一員ではなくなっていった。特に新型コロナウイルス感染による離脱以降は、シーズン序盤の好調を取り戻すのに苦戦している。
ガブリエルは身長がある割にかなりアグレッシブで、これが彼の強みでもあり弱みでもある。ポジション外につり出されたスキを突かれることもあり、それはセインツ戦での(判定は厳しかったとはいえ)退場や、フラム戦でのPK献上に表れている。
だがそれを考慮しても、彼は現状アーセナル最高のCBだと信じるファンも多いし、彼はまだ23歳で、今後の成長の余地は大いにある。
パブロ・マリ
パブロ・マリは8m£程度の移籍金で獲得されたといわれており、怪我のおかげで当初はほとんど出場機会がなかった。
だが、復帰後は落ち着いて自信を持ったプレイを見せている。確かに足は速くないが、試合を読む力が素晴らしく、それがそこまで問題にならない。この点では、メルテザッカーを思わせるところがある。
将来性という点ではガブリエルに分があるだろうが、既にマリは英語が話せ、コミュニケーションに難がないというアドバンテージはある。
ダビド・ルイス
アーセナルのもう一人のブラジル人CBであるダビド・ルイスはミスもあったものの、最近に関して言えばピッチ内外でチームを引っ張り、現状アーセナルのCBで最もソリッドな1人と言ってもいいくらいだ。
最近は怪我もあったが、復帰すればアーセナルのレギュラーCBの第一候補の一人だろう
ロブ・ホールディング
多くの他のアーセナルの選手と同じく、ホールディングもまたファンの間で非常に意見が割れる選手だ。ボルトンから加入して以降2度のFA杯優勝を経験しており、2度とも決勝に出場し、チェルシーを打ち破っている。
ホールディングに関しては、2018年のACLの怪我無ければトップレベルのCBになっていたかもしれない。彼はエメリの連続無敗の中心におり、23歳としては素晴らしいレベルのパフォーマンスを見せていた。
だが不運なことに、このような大けがを経験した選手にはよくあることだが、彼は以前の調子を取り戻すのに長い間苦戦していた。
だが今季は少しずつ良くなってきているように見え、アルテタも彼のローン移籍をストップし、彼に新契約をオファーすることでホールディングへの信頼を示した。
今季ホールディングはアーセナルのCBで最も多い試合数をプレミアリーグで先発している。
ただし、そこまで頻繁にではないものの、時折ミスを見せるのがファンの支持を100%得られない理由で、アルテタがホールディングのことを将来的な戦力と見ているのかどうかは少し不透明だ。
だが、ビッグゲームで活躍を見せることも多く、間違いなくアルテタがCBを選ぶうえでの有力候補の一人だ。
最適な組み合わせは?
CBを一人一人見ていくのはそこまで難しくないが、より難しいのは、どの組み合わせが最適なのかという点だ。
結果という意味では、マリとホールディングのペアは6度の先発しか実現していないが、このうち4度はクリーンシートを記録している。またシティ戦で敗れた以外は5勝を挙げている。この勝利の中にはチェルシー戦やプラハのアウェイ戦も含まれており、やはりアルテタが重要な試合で起用する可能性が最も高いのはこのペアではないだろうか。
もちろん他の組み合わせも可能性はあり、ここまでもっとも回数が多いのはホールディングとガブリエルのコンビで、この2人が同時に先発した試合は12ある。
だが、これはアーセナルが絶不調だった時期と重なっており、結果が出たとはいいがたい。この組み合わせではアーセナルのビルドアップに少し難がある。
だが、恐らく今季アーセナルの守備陣が最も輝いたといってもいいオールドトラフォードでの試合はこの2人の先発だった。
恐らく、この2つの組み合わせのどちらかが最もアルテタが選択する可能性があるのではないだろうか。ガブリエルとマリは左利きなのでどちらか一人しか基本的には起用できないと思うが、パス能力を重視するのであれば、ルイスの起用は十分に考えうる。
ミケル・アルテタがチームの最終ラインを守る選手として誰を送り出すのか、興味深く見守りたいと思う。
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コメント一覧
プレミアに限らないが、フェアな条件で外国人選手とその国の選手が争った場合、外国人選手が勝つ。アーセナルだとモンレアルが解りやすい。カソルラ(エジル、サンチェスの加入後も、ポジションを下げしぶとく残った。守備力など、他の要因で英国人選手に譲ってもよさそうだったが、劣ってない、むしろ優れてると証明した)も。
不利な方が勝つ。人間の生きようとする力はそれほど強い。私はこの法則をアーセナルから学んだ。それをどう潰すか、という事を他から学んだ。そして、
センターバックは特に難しい。実は私は、コシェルニーがなぜ、あのような事をしたか理解できる。彼は命がけで守った。頭部にいつもアンフェアな打撃を受けていた(ジルーも)。
ホールディングの問題は英国人であることを甘受してること。しかしそれを指摘するのは度を超えてると、流石に思う。ただ願うだけしかない。どう、という手本もないですが。