デイビッド・ローカッスル没後20年に寄せて by イアン・ライト
デイビッドへ
もう20年も経ったんだな、ブラザー。いつもこの日が来るのが少し怖いんだ。いつだってお前のことは忘れたことはないけど、だけど、この日のことは思い出さないようにしているから。こういう気持ち、わかるだろ?
俺とお前がどれだけ近い存在だったかはみんなが知ってる。二人ともブロックリーの出身で、お前はターナムに居たけど、俺はその道のすぐ向こう側に住んでたな。
お前の方が俺より年下だったけど、いつも学校で会っていた。
お前にとってはサッカーが全てだったな。お前に連れられて皆で試合開始の数分前にトーナメントに参加したの、覚えてるか?誰も俺たちには敵わなかった。
人数が足りなくてラグビーをやってる友達まで連れて行ったな。
他のチームには応援する人たちや両親が居た。俺たちには俺たちだけしかいなかった。でも、俺たちにはいつだってお互いが居た。
15歳でお前はもう格が違うのが明らかだった。俺たちにはわからないようなプロフェッショナルな意識を持っていたな。
お前はこの頃もうポール・デイビスに乗せてもらってトレーニングに参加するためだけにわざわざブロックリーからストーク・ニューウィントンまで行っていた。
そして、その帰りに俺たちのグランドによって、俺にも『どういうやり方でもいい、お前もプロになるんだ』って言っていたな。
今でも、『これはお前に合ったレベルじゃないよ』というフラストレーションを浮かべて俺の練習の話を聞いていたのを覚えている。
そういえば、お前はクラブから、公園やグランドで俺たちとプレイしてはダメだといっていたな。だけど、お前はそんなの気にせずサッカーしていた。みんなお前にタックルしたり触れてはダメだ、って言うのがルールだとわかっていたな。
なんてったって俺たちはデイビッド・ローカッスルと一緒にサッカーをしていたんだ!とんでもないことだよ、お前は俺たちのヒーローだった。
だけど、お前は俺が自分でも見えていなかった俺の中の何かを見抜いていた。あまりにお前が俺ならもっとできるとしつこいものだから、お前がいるとわかっていた練習には行けなかった時もあったよ。
正直言って、自分が恥ずかしかったんだ。
より年を取って、俺は逆に若い選手や彼らの両親と話をするような立場になったけど、おれはこれを軽いことだとは考えていない。
何時だってお前が俺にくれたアドバイス、どうやってより改善しすればいいかの話を思い出しながら、お前ならどうやって彼らにアドバイスしただろうな?って考えるんだ。
サッカーは昔と変わったけど、それは変わってないよ。
俺たちはただの友達じゃなかった。兄弟みたいなものだった。俺がクリスタル・パレスでプレイを始めてからも、いつもお前は試合を観に来てくれたな。
そして、アーセナルへの移籍が実現した。
子供のころ、サッカーをしながら、何度二人で同じプロチームでプレイするところを想像しただろうな?ライトからローカッスルへ、そして再びローカッスルからライトへ!2人のブロックリー・ボーイズ!
俺たち二人が初めてチームメイトとして試合に出る日の前の夜、俺たちは5時間は話をしただろうな。
その時でもまだ、俺は自分に100%の自信が持てないでいた。でもお前はいつも通り『アーセナルにすぐ慣れられるように、俺がチームの皆とお前になんとか得点を決めさせるようにするか大丈夫だ』って安心させてくれた。
そして、お前がリーズに売却されることになったと聞かされた日のこと、忘れることはないだろうな。
全てが凍り付いた。
どんなふうに受け止めればいいのかわからなかったし、今だってこのことを考えるのは嫌になる。お前がいないアーセナルなんてアーセナルじゃなかった。
だって、俺はお前がいたからアーセナルでプレイすることを決めたんだからな。
これは俺の個人的な問題だった。答えを求めて俺はアーセナルの監督やフロントと話をしに行ったよ。
子供のころから考えると、俺たちはずいぶん遠くまで来たよな。
今でもレスター戦でアーセナルでの初ゴールを決めてお前やポール・デイビス、マイケル・トマス、ケビン・キャンベルが駆け寄ってきてくれた時のことを忘れられないよ。
家族で一緒に過ごした休暇のこともよく思い出す。写真も残ってるしな。
メルは父の日に絶対に電話をくれるし、今もう俺はイアンおじさんになっちまったよ。ライアン、モニーク、メルとジャネットのこと、お前なら誇りに思ってくれただろうな。
あいつらはクラブと連携して、お前の残したものがこれからも残り続けてくれるよう手を尽くしてくれている。
こっちは今年は凄いクレイジーな一年だったんだぜ(話すと長くなるんだ!)、だけど、またファンがスタジアムに戻ってきてお前のチャントを歌う時が来るのが待ちきれないよ。
いつまでも愛してる
お前のブラザーより
イアン
ディスカッション
コメント一覧
こんなことが現実にあるんですね
大切な思い出に励まされて生きていくんすね