マルティネッリはなぜ出場機会を得られていないのか
サカ、ラカゼット、ウーデゴール、ウィリアン、オーバメヤン、ペペ、ネルソン、エンケティア、スミス=ロウ、マルティネッリ。
アルテタは起用できる豊富な攻撃のタレントを抱えている。もちろん彼らが皆ワールドクラスだというつもりはないが、かといってこれはクオリティ、層の厚さ、タイプの多彩さに関して言えば、今のアーセナルの順位以上のものがあるはずだ。
アーセナルの鈍い攻撃は私のフラストレーションの源となっているが、単純に選手の質だけで見ると、むしろ中盤や最終ラインよりも前線の方が豊富であるという見方は出来る。
もちろん、だからと言ってアーセナルはより攻撃力の高いチームになるはずだと考えるのは少々短絡的過ぎる。
例えば、守備陣の選手より攻撃陣の選手の個の力をより信頼しているのであれば、監督はむしろ守備を整えることに注力したほうがいいという結論を出すかもしれない。
これは、アルテタが以前長い間3バックを採用していたことの部分的な説明にはなるだろう。
だが、最終的にはチームの他の部分から分離しがちだった攻撃陣をつなぎ合わせるためにはスミス=ロウと冬のウーデゴール獲得が必要となった。
今季前半の不調のおかげでアーセナルのプレミアリーグに関してはかなり見込みが厳しくヨーロッパリーグ優勝を優先すべきだ、という意見も散見されるが、私が思うに攻撃陣に関しては、クオリティを落とさずにローテーションを行えるだけの人員が揃っているはずだ。
例えば日曜日のレスター戦のフロントスリーは、今までと全く違う顔ぶれだったがうまく機能した。
彼らは皆実績のある選手たちだが、それぞれ不調の時期を経験している。ラカゼットは50m£で、ペペは72mポンドで獲得されてきた選手だし、ウィリアンは代表・クラブでの実績抜群の選手で、アーセナルで最も高給を得ている選手の一人だ。
ローテーションの結果彼らが登場するわけで、これによりアーセナルの前線のクオリティが落ちるとすれば、それは奇妙なことだ。
ただ、ベンフィカ戦とレスター戦では前線で完全にローテーションが行われたにもかかわらず、出場機会がなかったのがガブリエル・マルティネッリだ。
彼はどちらの試合でもベンチから登場することはなかった。
マルティネッリが12月に長期離脱から復帰した際には即座にエネルギーに満ちて見えたし、アーセナルの攻撃陣に勢いを注入した。
だが、まだ膝の怪我から回復途上だった彼は復帰後すぐにまた足首の怪我をしてしまった。そういった意味では、まだ19歳でもあることだし、マルティネッリを辛抱強く待っているだけという見方もできるかもしれない。
しかし、そもそも怪我をする前からマルティネッリはアルテタ体制でそこまで多く出場機会を得ていたわけではなかった。
今季に関して言えば最後にプレミアリーグで出場したのは1/30だし、直近の5週間で出場したのはベンフィカ戦の13分だけだ。
1年前の2月にアーセナルはアウェイでバーンリーと引き分けているが、この時はオーバメヤンが左、右にマルティネッリ、中央にラカゼットという布陣だった。
これは機能したとは言い難く、これ以降マルティネッリはメンバーを外れ、結局4試合出場がないまま、そのまま怪我をしてしまった。
オーバメヤンと同じようにマルティネッリも裏に抜ける走りを得意とするボールタッチ数が少ないタイプのFWで、現在のアーセナルにはこのタイプのFWを二人起用できるほどのクリエイティブなタレントが揃っていない。
マルティネッリがアーセナルで輝いた試合はほぼ全てでオーバメヤンがいない試合だ。
カラバオカップとヨーロッパリーグのグループステージで活躍すると、そのままプレミアリーグでも台頭し、シェフィールド戦で得点し、チェルシー戦で素晴らしいゴールを決めたりと続くわけだが、この両方の試合で出場停止のためオーバメヤンはメンバー外だった。
そしてオーバメヤンの復帰戦が上述のバーンリー戦だったわけだが、アルテタは即座にオーバメヤンとマルティネッリは共存できないと決断したのかもしれない。
だが、アーセナルのチャンス創出力が改善されれば、この状況がずっと続く必要はないだろう。例えば、サカとスミス=ロウあるいはウーデゴールを起用しているのであれば、二人裏に抜けるFWを起用するのは悪くない案に思える。
アーセナルに得点が必要だったヨーロッパリーグのベンフィカ戦でアルテタが選んだのはペペ/マルティネッリではなく、ウィリアンだったわけだが、何故最近全くマルティネッリが出番を得られていないのかと会見で聞かれたアルテタは以下のようにコメントした。
『オプションが多くあるし、それぞれの試合の特定の場面には必要なクオリティがあるので難しい。彼らはかなり低いブロックだったからね、相手がペナルティエリアの位置に最終ラインを設定していたのでそこから離れて走るスペースがあまりなかった。
このような相手を攻略するにはタイトなスペースでプレイできるクオリティが必要で、これに関してウィリアンは大いに助けてくれた。何度も彼が落ち着き払ってプレイしていた場面があったね。』
もちろんこの説明は一定の筋が通っている。キーワードは"落ち着き"だろう。マルティネッリはむしろ直感的でエネルギッシュな選手だからだ。
技術面でもマルティネッリは正確無比というわけではない。
実際のところチェルシー戦のゴールが彼の強みと弱みをよく表している。彼はチェルシーゴールに向かって突き進んでいたが、彼のボールコントロールは少しミスがあり、カンテのスリップに救われることとなった。だが同時に彼の推進力とポジティブな走りが彼をゴール前まで連れて行ったわけだ。
彼がウィリアンを投入した理由を答えるにあたって、ペペとマルティネッリを同じ説明に含めた(もちろん、同じ質問だったからというのはあると思うが)というのも興味深い。
ペペもまた直感的で、フラストレーションがたまるプレイを見せることもあるが、一瞬のきらめきでゴールをもたらせるような選手だ。
ここまでのアルテタを見る限り、彼は攻撃時に完全にコントロールを握ることを好む監督であるように思われる。
オーバメヤンを本格的に中央で起用するのにも1年以上かかかったくらいで、アルテタはラカゼットというより技術面でクリーンなオプションをずっと好んでいた。
アルテタがずっとウィリアンを使い続けていたのも、ペペやマルティネッリほど攻撃時に迫力はもたらせないが、技術面で計算が立ちやすい選手だからだろう。彼らほどボールロストの心配はしなくていいはずだ。
個人的には、アタッカーは少しくらいボールロストがあっても良いと思う。オーバメヤンのトップの方がラカゼットよりも良いと思うし、エジルよりもサンチェスの方がチームにとって重要だと考えていたし、同じ理屈でウィルシャーよりもラムジー派だった。
チームには、正確さと即興性の両方が必要だと思う。
もちろん多くの人が私とは違う好みを持ち、全てにおいて正確無比なプレイを好むという人もいるだろう。アルテタもどうやらその一人のようだ。
だからこそ、ペペがあまり出番を得られていなかったのと同じ理由でアルテタはマルティネッリをチームに組み込むことに苦戦しているのだと思う。
彼はチームにコントロールとパターン化された動きを求める。
確かにこれはローテーションという意味でも効果的で、理論上は、選手が割り当てられた動きをうまくこなせるのであれば、そのパーツを誰がこなそうが大きな違いは出ないはずだ。
アルテタはマンチェスター・シティ時代にラヒーム・スターリングとリロイ・サネを大きく改善させたという評価を得たが、これはまさに、彼らの荒い部分を削り、グアルディオラの構造的なビジョンに組み込むことをおこなったのだ。
現時点で既に、ペペが同じようにアルテタの要求を受け入れつつあるのではないか、という兆しが見えている。
正直に告白すると、マルティネッリのようなタイプの選手がアルテタの構想に本当にフィットするか少し私は不安を感じている。
だが、怪我から復帰してまだ時間がそこまでたっていないことと、ペペとウィリアンが好調であることを考慮すると、アルテタがマルティネッリを評価していないとパニックになる必要はないとは思う。今のところはまだ。
source(当該サイトの許可を得て翻訳しています):
ディスカッション
コメント一覧
アルテタはガビエルネニーとか
約束事守らないと、スパッと交代するんすかね
ユナイテッド戦一見スーパークリアのようで前半交代ですから
理解をより深めるのとケガに細心の注意を払っていく
優先順位は一義的には勝利、それからチームや将来性
ウィリはある程度自信回復できればチーム的には良し
そこまでの上積みは見込めない
サイドでもボックスに侵入するセンスや得意の速い仕掛けは活かせるはずです