二コラ・ペペの上昇気流 後編
この記事は前編の続きとなっています
アーセナルの攻撃の改善のはスミス=ロウによるものが大きい。彼は攻撃時にウイングの方に寄っていきパスの受け手となれるようなポジショニングをとり、アーセナルの攻撃をつなぎ合わせている。
スミス=ロウの台頭以降サカが絶好調なのは無関係ではないだろう。彼がいてくれることでサカはボールを受けて前に進むために2人も3人も独力でかわす必要はない。
同じように、すぐ横のボールを受けられる位置にスミス=ロウがいるときに、ペペに対処するのはより難しい。
また、ロウはサイドでもプレイできるため、サカやペペと内外を入れ替えるポジションチェンジも効果的だ。これが最近ペペが輝けている大きな要因の一つだ。
さらに、トーマス・パーティが中盤に加わり、サイドにボールを効果的に散らせるようになったことも影響を与えている。これにより、単純にペペはより危険な位置をとれるようになっている。
下の画像は、クリスマス前のアストン・ヴィラ戦とエヴァートン戦のペペのヒートマップだが、これらの試合ではペペはあまり効果的ではなく、ほとんどタッチラインに張り付いて過ごしあまり試合に関われなかった。
逆に今度は、直近の三試合のペペのヒートマップを見てみよう。彼が中に入る頻度が増えており、これによりマークするのが難しくなるだけでなく、相手にとってより危険な位置でプレイできた。
ペペのリールでの名声はカウンター向きのFWとして築かれたものだ。彼が得意だったのはサイドで相手をドリブルで突破することではなく、スペースがある際に外から中に素早く走りこむことだった。
モウ・サラーを考えればいいが、彼はタッチライン際でプレイすることで毎シーズン20得点しているわけではない。アーセナルもペペがより活きるエリアでプレイさせる術を見つけ出しつつあるようだ。
もちろん、ペペがチームの攻撃により絡めるようになっているのは、アーセナルの攻撃の全体の好調によるものなのか、それともペペの個人的な魂を探す旅の結果なのかは議論の余地があるが、前者がポジティブな影響を与えているのは間違いない。もちろん、今のところは、ということだが。
アーセナルは今のようなスタイルでプレイするのはずいぶん久しぶりのことだ。そろそろ相手チームもサカやスミス=ロウたちを研究し、対策を打ち始めるだろう。恐らくアストン・ヴィラは土曜の試合に向けてペペの最近のプレイのビデオも見るに違いない。
ここからがペペの本当の挑戦の始まりだ。彼が対策を打ってきた相手に対しても対処できるかを示せるかどうか。
我々は皆かれが試合を決める瞬間を作り出せることを知っている。彼はこのまま基本的な部分を怠らず酋長を保たなくてはならない。不調の時でも6-70%のパフォーマンスを安定して出せるようになれば、彼の得意分野がより輝くようになるだろう。
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