サカが右サイドで輝いた理由【戦術コラム】
ブカヨ・サカがアーセナルのトップチームに台頭した際、彼は左ウイングだった。その後キーラン・ティアニーがけがをした時には、問題なく左サイドバックも務めた。そして、中盤3枚の一角としてよいプレイを見せた時期もある。
だが、彼は単なる穴を埋めるための"便利屋"ではない。度のポジションでプレイした時も、彼のクオリティは明らかだった。そして、ごく最近、ついにサカは右ウイングという彼の天職を見つけたのだ。
サカの右サイド起用がなぜここまでうまく行ったのか、彼の能力を分析してみよう。
サカの躍進の理由①両利き
多くの強みを持つサカだが、"サカはなぜスペシャルな右ウイングになれたのか"という問いの答えとして一つ選ぶとすれば、それは彼の逆足である右足の精度かもしれない。
左利きながらサカは右足も十分に使うことが出来る。
右サイドでプレイする左利きのウイングは逆足でのプレイがあまり得意でないことが多く、そのデメリットは二コラ・ペペを見れば明らかだろう。
彼の左足の精度は恐らくリーグ屈指だが、彼は右足を使うことをためらう。右足でボールをけることを強いられる際には少しバランスが崩れているように見えるし、あまり良いボールにはつながらない。
これにより、ドリブル時のオプションが非常に制限されてしまう。彼は常に中に入ってクロスを上げるかシュートを打つことを狙っているため、相手にとっては動きの予測が比較的簡単になってしまうのだ。
一方で、サカが右サイドでなぜこれほど危険な選手になれたかというと、彼は例えば斜めへのパスに対してクロスやカットバックを行うことを厭わないからだ。
一対一の時も、対応するサイドバックは常にサカの縦への突破と中への切込みの両方の間で頭を悩まされることになる。
もちろん、中に入っての利き足の左足でミドルシュートや、危険なクロスを上げることもできることは言うまでもない。これにより、彼はファイナルサードでよりダイナミックなプレイが出来るのだ。
サカの躍進の理由②ポジション面での認識力とバランス
また、サカのポジション面での認識力、自分がボールを受けられる所に位置取る能力も素晴らしい。人々はペペのボールタッチが少ないのをベジェリンが理由の一部だと責めたが、私が思うにニコはこの点で改善の余地がある。
サカは常にボールに関わろうとする。ビルドアップから最後のシュートまで。この積極的な姿勢がアーセナルの右サイドを一段上のレベルに引き上げた。
左サイドにはすでにティアニーがおり、彼らの長所は少し被っている。二人とも良い上がりを見せるし、1対1を仕掛けられ、そしてクロスの精度も高い。
だが、彼らは二人とも左利きなので、少しお互いのエリアが被ってしまう場面があった。角度的にも少し連携しづらい。
アルテタ自身が言っていた通り、サッカーは習慣と角度のスポーツなのだ。ベジェリンとサカのコンビネーションは見ていて楽しいものだ。
サカの躍進の理由③ボール非保持時の献身性
また、サカが右サイドにいることで、チームの守備時のバランスも改善されている。アルテタがマンチェスター・シティのコーチだった時代に、彼らはオーバメヤン、エジル、ペペの3人の前線での守備の少なさに注目したそうだ。
彼らは前線4人のうち相手DFを積極的に追いかけるのはガブリエル・マルティネッリただ一人であることに気づき、結果としてアーセナルを攻略、前半だけで3-0にして試合を決めてしまった。
この時サカは左サイドバックを務めていたが、これにより彼はよりオールラウンドな選手に成長できたという側面があるのは間違いない。
ベジェリンは今季チーム2位のチャンス創出数を誇るが、時折守備が怪しい場面があるが、サカの献身性はその部分で右サイドのバランスを保つのに役立つ。
サカは今季すでに右サイドで先発した直近の6試合で3ゴール3アシストを記録している。当初は左サイドとの勝手の違いに戸惑うこともあったはずだが、彼は非常に高いサッカーIQのおかげで難なく適応して見せ、素晴らしい活躍を見せている。
なかなか難しいものになっているアーセナルの今季だが、リトル・チリ(訳注: サカの愛称)の躍進は大きなポジティブの一つだ。
右サイドでのプレイは彼にあっており、アーセナルがどん底を抜けるのに彼のパフォーマンスが大きな役割を果たしたことは間違いない。
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