アーセナルのこの夏の移籍市場の総括 前編
新加入選手が出場機会を得る前に移籍市場に関する評価を下すというのはなかなか難しいタスクだ。
現段階では、ピッチ上の成績ではなく、手続きや経営的な目線で見ることしかできない。アーセナルはどのようなポジションをターゲットとし、そしてそれらのエリアでどのような補強を行ったか?などといった形でだ。
これ以上の結論を引き出そうとすると、正確な判断を下せないことが多い。
例えば昨夏アーセナルは得点アシストを重ねられるウイングが必要で、非常に高価な移籍金を支払ってペペの獲得を行った。
だが、だからといってチームが前年度以上の成績を収められたかというとそうではなかった。(もちろんこれはペペ個人の問題というわけではない。)
選手補強の成否を測るには時間をかけて彼らがチームでどのようにフィットするか見極める必要があるのだ。
この夏に関して言えば、大部分の獲得はアーセナルは迅速に行った。
マリ、セドリック、ウィリアンはいわゆる『低い位置になった果実』というやつで、実現するのは容易で、リールからのガブリエルの獲得も、そこまで込み入ったオペレーションではなかった。
左利きのCBがチームに二人必要なのかという意見もあるが、先日ポッドキャストでマイケル・コックスも語っていた通り、現在のサッカー界では左利きのCBは希少価値の高い存在で、アルテタの師であるグアルディオラは彼らをチームに絶対に必要な存在とみなし、アケにラポルテの控えを務めさせるため40m£支払う決断をした。
(訳注: こちらももしよかったらどうぞ)
利き足側のサイドで起用することでサイドチェンジ時も利点があるし、サリバ、ガブリエル、ウィリアン、パーティ、マリは皆このようなダイアゴナルなパスを放つことが出来る。これはアルテタのスタイルにとってとても重要なのだろう。
だとすれば、アーセナルが移籍市場で左利きのCB を二人揃えようという動きに出たことは理解できる。移籍金から見て、恐らくガブリエルがファーストチョイスで、マリがその控えという扱いなのだろう。
今もまだかつてのアーセナルの守備の脆さは顔を見せるが、そろそろ将来の顔ぶれが決まりつつある。
全てが上手くいけば、サリバとガブリエルの二人がアーセナルの将来のバックラインを支え、マリがその控えとなる。右CBに関して言えば、今季はサリバが経験を積む間にルイスとムスタフィに多く出場機会があるだろう。
そして、来夏にはソクラティス・ムスタフィ・ルイスが皆契約切れとなり、恐らく右CBのもう一枠をホールディング、チェンバース、マヴロパノスの3人で争うことになるのだろう。
もちろんアルテタがこの3人のうちの誰も気に入らず、ムスタフィやルイスに契約延長をオファーしたり、あるいは来夏さらにCBの獲得に動くという可能性もなくはないが。
より不可解なのは右SBを巡る状況だ。振り返ってみると、ベジェリンが復調しつつあり、ナイルズが素晴らしいパフォーマンスを見せている今、セドリックの獲得は必要がなかった。
だがもちろん、一月の時点ではナイルズの移籍の可能性があったので、その点は考慮する必要がある。
アーセナルは1月の時点で主力の流出に備えて経験豊富な右サイドバックの控えを獲得し、結果的に3番手となったがそれは冒す価値のあるリスクだった、という見方も出来る。
あるいは、アーセナルはパニックになりフリー移籍で高額の給与を得るチームにとって必要不可欠ではないセンスを獲得することになった、という見方も出来るだろう。
私が思うに、セドリックの獲得自体は正当化できる余地があると思うが、彼に4年契約をオファーしたというのは不可解だと感じる
だがもしかすると、ナイルズは右サイドバックよりむしろ左サイドバックに適していると主張する人もいるかもしれない。これにより、アーセナルは右にベジェリンとセドリック、左にティアニーとナイルズという2人ずつを抱えることになる。
夏にアーセナルはコラシナツを放出しようとしており、彼は将来のプランには含まれていないだろう。
ナイルズにはウルブズからのオファーが届いており、もしこれを受け入れていればアーセナルはパーティだけではなくフセム・アワールの獲得も可能だったかもしれない。
しかし、個人的にはナイルズの市場価値が今年下がることはないだろうし、20m£というのは十分な額ではなかったと思う。
また、アーセナルはHG枠の問題にも苦戦しており、これがホールディングとナイルズを残すという決断に影響を与えたかもしれない。
とはいえ、最終的にはナイルズはアーセナルから移籍してしまうのではないかという気はする。右でも左でもアーセナルで正サイドバックの座を掴めるとは思えず、最終的に安定したファーストチームでの機会をナイルズは欲しがるのではないかと思うからだ。
サカの将来がより前にあるのであれば、来夏アルテタは控え左SBの獲得に動くかもしれない。
(後編に続きます)
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