アーセナルのフロント紹介
スカウト長カジガオやラウール・サンジェイの解雇など、激震の時を迎えているアーセナル上層部ですが、現在のアーセナルフロントにはどのような人材がいて、どのような構造でクラブを運営しているのかおさらいしておきましょう。
まず、今まではどのような体制だったのか、こちらをどうぞ。
注目すべき点としては二つあり、一つはアーセナルが買収したデータ会社、スタッツDNAの社長でローゼンフェルドさんで、彼はあまり表に出てこないため知られていませんが、オーンスティン氏によると、ガジディス時代から非常に評価が高く、かつアーセナルに置いて重要な人物で、最終面接にこそ参加しなかったものの、ガジディス、ミスリンタート、サンジェイに加えてローゼンフェルドの4人で監督の選考を行ったと言われているほどのポジションにいたようです。
そんな彼も、少し前にアーセナルを去っています。
また、もう一つはボード/取締役会の形骸化で、本来であれば、クラブの運営には直接は関わらないものの重要な参考意見を提供したり、あるいはフロントが無茶をしないようににらみを利かせるような立場のはずですが、クロエンケが株主となったことで、実質的にボードはクロエンケの意向を無視することができず、存在感がなくなっていきます。
もちろんとはいえ本来はクロエンケやクラブの意向をくみ取るような役割を果たすはずですが、クロエンケが実質コンタクトを取るのはサンジェイのみだったということもあって、実質的にサンジェイの下につく立場となり、単なる象徴として以外の役目がなくなってしまいます。
現在のアーセナルの惨状にも関わらず、何も意見が聞き入れられず、かつそれに一役買っているように見られるのに嫌気がさしたチップス氏はボードを抜けたと言われています。スタン&ジョシュ・クロエンケを除けばボードメンバーはほとんど飾りのようなものになってしまいました。
アーセナルで歴代史上最多出場記録を持つレジェンドのデイビッド・オレアリーをサッカー面での知見を提供するためにボードに新たに加えようという動きがあったのですが、これはサンジェイに拒否されてしまいました。
しかし、これはあくまで推測でしかないのですが、サンジェイ一強体制とでもいうべきシステムが出来上がりつつあったところにクロエンケは危機感を抱いたのか、このボードに外部取締役として懇意の弁護士ティム・ルイス氏を送り込み、監査を行わせます。これが全ての始まりでした。
そして、こちらの新体制となるわけですが、アルテタは当然皆さん良く知っていると思うので、それ以外の人員を軽く紹介していきましょう。
ヴィナイ・ヴェンカテシャム
オックスフォード大卒、三井物産で石油取引に従事した後、デロイトで戦略コンサルといういかにもエリート!な経歴ののち10年前にアーセナル入りすると、そこでは主に海外の企業とのスポンサーを締結する仕事等を担当、とんでもないスピードで出世街道を駆け上がると、サンジェイと2頭体制でアーセナルの商業面を一手に引き受けていましたが、今回なんとアーセナルのトップに就任することになりました。
サッカー畑の人ではないものの、10年間アーセナルに努めた社員がトップに昇格、という事でなかなか生え抜き感があります。引き抜きが一般的な世界でこのような経緯でサッカークラブの長になる人材はなかなか珍しいのではないでしょうか。
一応ポジション的にはエドゥやアルテタよりも上、オーナーが直接コンタクトを取るのは彼、という感じでイメージとしてはかつてのイヴァン・ガジディスでしょうか。一応決定権はあるはずですが、サッカー面での決断は基本的にエドゥ&アルテタが担当するはずです。
エドゥ
今回の人事刷新でサッカー面を司る分野ではアーセナルのトップと言ってもいい位置に躍り出たのがエドゥです。恐らくアルテタにも非常に大きな権限は与えられるはずですが、エドゥよりアルテタ優先、ということになると結局ベンゲル監督時代とほぼ同じ監督が全てを行う体制に逆戻りしてしまうので、一応建前上はアルテタの意見を聞いて最終決定をエドゥが下す、という事になるのではないでしょうか(わかりませんが。)
もちろんまだわかりませんが、個人的に若干不安なのがこの立ち位置で、テクニカルディレクターは補強の方針からユースも含めたチームの大きな枠組みや哲学などについて責任を負うはずですが、スカウト長カジガオが去ったこともあり、この分野の経験を積んでいる人員が少し少ないような気がします。
エドゥはコリンチャンス時代はスポーツディレクターでサンジェイのような立場だったようですし、ブラジルサッカー協会でもマネージャー(二重国籍を持つブラジル人の若者にブラジル代表を選んでもらえるよう彼らと関係を築いたり、トレーニングキャンプに呼んだりするのが主な役目だったと言われている)的なポジションだったので、どれくらいテクニカルな面での知見があるのかは未知数です。
また、もし選手獲得に代理人を重用する方針などがクロエンケファミリーが問題視した点であるとするならば、キア・ジューラブシャンと非常に近い関係にあるエドゥは相変わらず少し懸念されている可能性はなくもありません。
とはいえ、アルテタはエドゥを篤く信頼しているようなので、それだけの実力があることなのでしょう。
ティム・ルイス
上でも少し触れましたが、今回の人事刷新のカギを握った人物がこのルイスです。世界最大の弁護士事務所の一つであるクリフォード・チャンスに所属しているイギリス人弁護士で、M&Aの専門家で、クロエンケがアーセナルを買収した際に助言を送り続けたのから始まり、ここまで縁が続いているようです。
ロンドンを拠点に置いているという事もあり、今回外部監査役的な形で1か月半程度前にアーセナルに送り込まれてきました。
これにより実質あってないようなものだったボードが復活し、サンジェイ以外にクロエンケの目となり耳となる立場が増えることとなりました。
これが一時的なものなのか、それともヴィナイ体制となった後もルイスが留まるのかはよくわかりませんが、ボードは今人がほとんどいないので、そのうちに誰か(アーセナルレジェンドという噂?)が加わるのではないか、とも言われています。
ハス・ファーミー
ガジディス、ローゼンフェルド、ミスリンタート、サンジェイとかつての上層部は軒並み誰も居なくなってしまいましたが、残った唯一の人物といってもいいのがこのハス・ファーミーです。もともとはスカイのサイクリングチーム出身で、アーセナルの選手たちと契約交渉に当たったり、法律面を整備する役割を担っています。
あくまで個人的な印象ですが、もともとサッカー界出身ではないという事もあって、どちらかというと専門職といった感じで、クラブの運営方針に積極的にかかわっている、という感じではないですね。
ただし、サンジェイ体制下ではオーバメヤンとの交渉や、トーマス・パーティ獲得交渉などはサンジェイが直々に担当したりと、全てを任されていたわけではないようなので、今回の刷新でより前面に出て、交渉を一手に担うようになるでしょう。そういった意味では、ついにその真価が測られる時が訪れそうです。
スカウト陣
今回多くのスカウトが解雇されましたが、それでもまだ多く残っているはずで、今回の刷新でスカウトのトップが居なくなってしまいましたので、新たにHead of Recruitment(スカウト長)が雇われることになるのか、それともスカウトたちは直接エドゥにリポートする形になるのかは、興味深い所です。
ユースアカデミー
図には載っていませんが、こちらはメルテザッカーがアカデミー長として統括しています。恐らく、上司とでもいうのか、その上はエドゥという事になるでしょう。
アカデミーのディレクター陣はメルテザッカーに加えて、副アカデミー長のルーク・ホッブズ、リー・ヘロン(選手発掘長?)、そして選手育成長(?)のマルセル・ルカッセンという顔ぶれになっています。
コーチ陣
コーチ陣はまたいずれ記事にします!!
ディスカッション
コメント一覧
なんかすっからかんですね、、
エドゥは現役時代クラブに尽くしたイメージが正直薄いんすよね。良い仕事して貢献は大きい、メインキャストだけどあまり認知されないというか
実際ジウボより優先順位高いときも多かったし、ベンゲルはヴィエラと同時に抜けるの嫌がったけど自分の意思でバレンシア行ってその後イマイチみたいな
サンジェイの息のかかった人選の印象があって、当時まとまらない選手たちとの調整役、コントロール効く範ちゅうのOB招聘で取り繕った形だけの印象なんすよねぇ
んでヴィナイにリーダーシップあるとは思えない、あったらこんな状況じゃないはずですし、、これではさすがに脆弱に見えます
次の人選で見えてくると思うんですよ、クロエンケが本当にどういうクラブにしたいのか、もしくは本当にノープランなのかが