中断期間がプラスに働くかもしれないアーセナルの4人の選手
ヘクター・ベジェリン
アーセナルフロント陣と選手たちの間に亀裂を生じさせかねない難しい給与カット交渉に臨む選手側の代表として、彼らが選んだのがヘクター・ベジェリンだったというのは興味深い。
キャプテンのオーバメヤンでもなく、より年長のベテランでもなかったわけだ。これは、ヘクターはまだ25歳だが、アーセナル在籍8年目であり、チーム内での立場を示しているといえる。
だがここまでのところ、ピッチ上では彼も苦戦が続いている。彼の怪我は酷いものだったことに疑いの余地はないが、それだけではなく、そのおかげでそれ以後も筋肉系の怪我に悩まされることとなった。
これらの怪我によりチームを外れたり復帰したりを繰り返しており、このせいで、かつてのほどの力強さと爆発的なスピードは失われてしまったように見える。
今後ベジェリンがかつての水準のスピードを取り戻せるかに関しては不明だが、現状できる限りの調子を整えるという意味では、今回の数か月間の休息は彼にとって間違いなくプラスに作用するはずだ。
ロブ・ホールディング
ホールディングもまた、前十字靭帯損傷がキャリアに大きな影を落としている選手の一人だ。ケガの前はエメリのもとレギュラーといってもいい出場機会を得ていたが、それ以降は苦しい時間が続いている。
ベジェリンのケースと同じように、一応は靭帯の怪我自体が治ってからもその他の怪我を繰り返しており、今季はプレミアリーグの先発は一度のみ、合計で9試合しか出場できていない。
彼が試合に出場できた時でも、かつてのホールディングからは程遠い姿しか見られなかった。
彼もまた、かつてのレベルにまで今後戻れるのかは慎重に見極める必要があるが、24歳というのはCBとしてはまだまだ若い。
特に、今のアーセナルの金銭面での苦境を考えると、ルイスやソクラティスといった選手の年齢と比べれば、十分に将来性がある存在だ。
ホールディングはフィットネスが整わなかったのももちろんだが、少し自信喪失状態にあったように見えた。もちろんそれは身体的な調子と密接に関連しているのだろうが、まだまだ彼は自分の体がかつては出来たことが出来ると信じ切れていないようで、毎週のように試合をこなすには程遠かった。
しかし、フィジカルコンディションという面では、ロックダウンのおかげで他のチャンスと同じくらいのレベルにあるといえるはずだ。
もちろんまずアルテタを納得させる必要があるが、今季はまだその可能性は閉ざされていないだろう。
キーラン・ティアニー
ティアニーのアーセナルでの1シーズン目はあまり良い思いではないだろう。25m£で移籍期間最終日に到着したのはいいものの、怪我をした状態で、9月末までプレイすることが出来なかった。
エメリに同情の余地は全くないものの、エメリが漏らした不平のうち、確かにベジェリンとティアニーを同時に起用できなかったのは残念だったというのは理解できる。(もちろんそれが出来ていたとしても全てうまく行っていたというわけではないだろうが)
またしてもティアニーは肩の怪我に見舞われ、そのおかげでサカが台頭したが、やはり将来的にはアーセナルの左サイドバックはティアニーの方が可能性があるだろう。
中断時点でティアニー既に復帰間近だったことだし、今はもうアーセナルの4バックの中心的なメンバーとして立場を確立できるよう準備しているはずだ。
ルーカス・トレイラ
この4人の中で一番分かり易いのがトレイラだろう。トレイラは本来今季の復帰は絶望のはずだったが、シーズンが中断されたことで、怪我を癒し、リハビリを行う時間をとることが出来た。
どうやら怪我の間にジム通いを行っていたようで、以前よりも一回り大きくなったように見える。これは、プレミアリーグでは役に立つことだろう。
中盤はアーセナルにとって不安定なエリアの一つで、トレイラのクオリティは中盤を構成する3人のうちの有用な一人となれるはずだ。
ボランチ、トップ下、どこをとっても若干不安が残るが、それは一方で、どの選手にも絶対的なスタメンとなるチャンスが与えられるということの裏返しでもある。
トレイラには長期契約があるし、現状のアーセナルにおいて唯一の守備を専門とするMFでもある。アルテタの下、彼は輝けるだろう。
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