コロナのアーセナルの経営への影響は我々が思っているよりも遥かに深刻なのかもしれない、という話。

分析

最近立て続けにアーセナルの選手たちに移籍の噂、というよりむしろ、クラブ側に放出の用意がある、といったニュアンスの報道が出ている。

まずアーセナルファン御用達のデイビッド・オーンスティン氏がアーセナルはソクラティス、ホールディング、そしてムスタフィへのオファーに耳を傾ける用意があると報じた。

そして、昨日スカイスポーツがダビド・ルイスのアーセナルとの契約は当初報じられたような2年契約ではなく1年+1年の契約延長オプションであり、クラブがこれを行使しないかもしれず、ルイスに退団の可能性がある、と報じた。

その後各紙も追随してこれを報道していたので、これが事実であることは間違いないようだ。そしてもちろん、ずいぶん前からオーバメヤンにも移籍の噂は出ている。

ある程度の売却益が期待できるオーバメヤンや、アルテタ体制になって出番の減っているソクラティスとホールディング、また輝かしい大ポカの数々の実績があるムスタフィはともかくとして、ダビド・ルイスはここまでアルテタのチームの守備の中心といってもよく、彼をフリーでこの夏手放すかもしれない、というのは一見非常に奇妙に思える。

また、これはつまり、新加入のサリバとマリ、怪我をしているチェンバースを除いたCB全員に退団の可能性があるということだ。

確かにここの選手を見てみると、アルテタのおめがねに適うワールドクラスのCBとは言えないかもしれないが、それでも一応は今季のチームで守備の要を担ってきた選手たちではある。

そんな彼らを誰でもいいから売却!という方針にクラブが打って出ているということは、もしかすると、今回の新型コロナウイルスのアーセナルの経営への影響は我々が思っているよりも深刻なのかもしれない。

アーセナル・サポーターズトラストの試算によると、これまでの選手獲得の移籍金のうち、未払い分がまだ120m£ほどあるらしく、これを大幅に収益が減少した状態で支払うのは大きな負担だ。

この夏もトーマス・パーティやCBなどの獲得の噂も出ているが、もしかすると、選手獲得に予算を費やすためにはそれとトントンくらいの金額を売却あるいは給与カットで捻出しなければならない、というような状況である可能性すらある。

今季ここまでの出場機会を考えれば、もしコロナの存在していなかった世界線であれば、CBは4人+万が一枠1人が必要だと仮定すると

ルイス
ムスタフィあるいは売却して代役の選手
サリバ
マリ

+マヴロパノス/チェンバース

あたりが現実的な想定だったように思われる。仮にルイスを放出するにしても契約は延長したうえで数m£程度の移籍金を得ることはできただろう。

しかし、今回問題なのは経営にダメージを受けているのがアーセナルだけではなく欧州のほぼ全クラブであるという点である。

来季の収益の見込みも怪しいし、国内二位の現金準備額を誇るアーセナルの経営ですら傾きかけているのだとすれば、他クラブのことは推して知るべし、である。

この状況下である程度の額の移籍金をねん出できるクラブは非常に限られてくることが予想され、したがって、売却で資金を捻出しようにも買い手が見つからない可能性がある。

いくらクラブがホールディング、ソクラティス、ムスタフィを売却しようとしても、買う余裕のあるクラブが出てこないことも考慮しなくてはならない。だからこそ、フリーとはいえ確実に削減できるコストとしてルイスの給与削減をアーセナルは検討せざるを得ない状況に追い込まれているのかもしれない。

また、arseblog氏が指摘している通り、残り契約が一年の選手にとっても、今移籍するのは得ではない。移籍先のクラブが以前のような規模の週給を用意できないのは確実で、なのであれば、今の好待遇のアーセナルとの契約を全うし、来季位は状況が改善されていることを願ってフリーでの移籍を目指す方が得策だと考えても不思議はない。

したがって、クラブ側の都合選手側の都合双方が合わさり、今夏の選手売却は難しいものになり、それにともなってアーセナルの移籍市場も非常に難しいものになりそうだ。

かつてアーセン・ベンゲル監督が今後の移籍市場はフリーでの移籍やレンタルが増えるだろう、と予測していたが、もしかするとそれが現実になりつつあるのかもしれない。

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Posted by gern3137