プレミアリーグ中止がアーセナルに与える金銭的影響
日本にも言えることですが、世界中で新型コロナウイルスの感染者が増え、日本でも世界でも、直接的な影響だけではなく、金銭的な影響がいろいろと表れています。
サッカークラブもこれは例外ではありません。
最近ではリバプールが自チームのスタッフに政府の休業中賃金補償スキームを適用すると発表し、凄まじい反発を招き、のちに撤回するという事態になっています。
トッテナムも同様の措置をとっています。まあリバプールとトッテナムはともかく、プレミアリーグの下位のクラブ、又は特に2部・3部のチームででは経営が苦しくなってくるところも大いにあるのではと思われます。
そのせいもあって、英国でもコロナウイルス終息の兆しが見えないにもかかわらず、シーズン再開の道をプレミアクラブは模索しているのでしょう。
今のところアーセナルは4/30まで非常勤スタッフへの給与支払いを続ける旨を発表していますが、その後もこれを継続してほしいものです。
今回は、もしこのままプレミアリーグが再開されず、シーズン終了となった場合アーセナルがどれくらいの損失を被ることになるのか見ていきたいと思います。
一応資料的なものは専門家っぽい人のものを引っ張ってきてますが、まとめているのがあくまで素人なので、まあ大体の目安くらいに考えてください。アーセナルとスポンサーとの契約がどうなっているのかよくわからないので、スポンサーとの違約金などは含めていません。
放映権料
What does a “rebate" scenario look like for each of the current 20 clubs? These are modelled results and are inherently imperfect, eg clubs may move up and down if season played. But this is PL TV cash situation if played to end VS annulled.
— Nick Harris (@sportingintel) April 4, 2020
6/n pic.twitter.com/xyILD1SKx4
ニック・ハリス氏によるTV放映権料の損失の概算。本筋とは関係ないのですが、少し意外だったのが、放映権料の半分以上がイギリス国内向けの契約から得られている、ということ。
プレミアクラブの主要な顧客はもうグローバルなのかな、と思っていましたが、収入に占める割合という観点で見れば、今もまだ母国イギリスの人々は非常に大きな存在のようですね。
肝心のアーセナルは、もともと148M£をゲットする予定でしたが、今の消化分だと108Mなので、40M程度のマイナス、ということになります。
ただ、ヨーロッパリーグですでに敗退しているので、どちらにしろヨーロッパ大会の放映権料はもう入ってきませんし、他のトップクラブとの比較という意味でいうと、そこまで深刻というわけでもなさそうです。
マッチデー収入
マッチデー収入というのは読んで字のごとく、試合の日の収入のこと。まあホットドッグとビールの売り上げ的なものも入るのでしょうが、実質はそのほとんどが試合のチケットの売り上げです。
昨シーズンのアーセナルのマッチデー収入はおよそ96M£です。まあ試合によって人の入りなどが微妙に違うとは思いますが、大体ホームのプレミアリーグ19試合+カップ戦(EL・決勝まで行ってるので、7試合くらい?+FA杯+カラバオ杯)で、正確には数えていませんが、まあ大体30試合くらいでしょう。
ということは、一試合平均で約3M程度の売り上げが出ていることになります。
今季残っているアーセナルホーム戦は、プレミアリーグが4試合で、FA杯は勝ち進んでいるものの、アウェイであり、また準決勝以降はウェンブリーで行われるので関係ありません。ということは、恐らく今季終了までにアーセナルが得る予定だったのは12M£位というあたりでしょう。
意外と少ないですね。
この2つを合計すると52M、ということになり、ペペの移籍金が72Mだったことを考えると、確かに痛いことは痛いですが、経営が傾くレベル、というわけでは恐らくなさそうです。
もちろん来季は通常通り開催できるのか、プレシーズンツアーは恐らくできないだろうからその分の収益減は、などいろいろ懸念はありますが、恐らく、他のクラブと比べると相対的にアーセナルは悪くない状態にあるのではないかと思います。
アーセナルの経営の状態
とはいえ、気になるのはアーセナルは実際ヤバいの?ということだと思いますので、"日本のSwissRamble"(勝手に命名しました、すみません笑)ことさけしさんの分析、というか計算を見てみましょう。
各クラブの流動比率と、固定費カバー月数を計算してみた。
— sake (@szakekovci) April 6, 2020
(*ボーンマスとパレスは2年前の数値なので参考。固定費は平仄が合わないので人件費のみ)
ブライトンはかなり心配になる水準。ファンサイトでは「絶対に政府スキーム使ってほしくない」という記事が出てるが、内部は大変だろう。 pic.twitter.com/DhSIpbpNns
僕も門外漢なのでよくわからないのですが、流動比率というのは、1年以内に使えるお金(=現金化できる資産)から一年以内に支払わなければいけない負債を引いたもの、らしいので、まあざっくりいえば企業の短期的な支払い能力を表す指標で、100%を上回っていれば、今の段階で向こう一年で使えるお金の方が1年で支払わなければいけない額より多い、ということのはずです。(もし間違っていたら誰か教えてください。)
プレミアのクラブで流動比率が100%を上回っているのは2クラブだけですが、アーセナルはバーンリーに次いでリーグ2位の水準ですね。
また、現金預金次人件費カバー月数、というのは読んで字のごとく、今ある貯金(という言い方が適切なのかはわかりませんが)でこれから収入が全く入ってこなかった場合に、どれだけの期間給与を支払い続けることが出来るか、という数字です。
こちらもユナイテッドに次いでアーセナルはリーグ2位、八か月分の人件費をカバーできるだけのキャッシュをアーセナルが蓄えているということですね。
実際にはここに固定費も乗ってくるはずですが、去年おととしの数字では、人件費以外の支出は人件費の1/3程度となっています。
これまた雑な計算ですが、これらを考慮すると、恐らく固定費を含めても、キャッシュ167Mに対して支出が300ちょいなので、6ヶ月分くらいはカバーできている計算になります。
それで今後が安泰なのかどうかは神のみぞ知るところではありますが、少なくとも、他のクラブが大分自転車操業気味なのと比べれば、アーセナルはすぐに大変なことになる、というわけではなさそうです。
ブライトンはむちゃくちゃヤバそう。
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