マルティネッリを発掘した敏腕スカウト、フランシス・カジガオとは?
お世辞にもあまりうまくいっているとは言い難いアーセナルの最近の補強戦略ですが、ブラジル4部からやってきた18歳、ガブリエル・マルティネッリの獲得は(もちろんまだ今後の活躍次第とはいえ)ここ何年かで最高の獲得になる可能性を大いに秘めているように見えます。
今回は、このマルティネッリ獲得を主導したアーセナルのチーフスカウト、フランシス・カジガオがどういう人物なのかに迫ってみたいと思います。
カジガオの経歴
カジガオは現在50歳ですが、現役時代にバルセロナBでプロとしてプレイを始める前にアーセナルのユースチームに5年程度在籍していました。その後も選手としてはトップレベルでの活躍は見せられなかったものの、スペインとイングランドを行ったり来たりしています。
その後、現役引退後にスカウトに転身し、ユース時代のアーセナルとの絆かアーセナルにやってきます。15年以上アーセナルにスカウトとして在籍している、という記述がありますが本人のLinkedinのアカウントによると22年前、1997年からどうやら在籍しているようです。
もともとはその経歴から、スペインと主に南米でのコネクションで知られるスカウトでしたが、昨年ミスリンタートがクラブを去ったのに伴って、アーセナルのチーフスカウト(Head of recruitment)に就任しています。
カジガオの実績
さて、そんな経緯で現在アーセナルのスカウティングを統括する立場にあるカジガオですが、過去にはいったいどのような選手を獲得してきたのでしょうか。
スペイン/南米系の主要な選手には基本的に何らかの形でかかわっていたようです。
具体的には、セスク・ファブレガスとベジェリン、そしてサンティ・カソルラの獲得をクラブに推薦したようですね。サンチェスの獲得交渉にも一役買ったという話もあります。
同じスペイン語系でもどうやらモンレアルとガブリエル(アーセナルが買収したデータ会社、スタッツDNA主導の獲得と言われている)の獲得には関与していないようなので、なんとなくベンゲル監督に重用されていた理由もわかるというか、ベンゲル監督好みの選手を見つけるのが上手い御用達スカウトだったのではないか、なんて想像もしてしまいます。
マルティネッリ獲得の経緯
もちろん今の時代にスカウティングは独力で行うものではありませんので、スカウト部門がチーム一丸となって綿密なスカウティングを行った結果、マルティネッリの獲得を決めたのだと思われますが、それでもバルセロナでも練習に参加し、ユナイテッドに至っては4度も練習に招きながらその獲得を見送ったといわれているこの才能をきちんと逃さず獲得したその働きは素晴らしいです。
GOALによると、まず、ロンドンで詳細なビデオ分析を行い、見込みがあると判断したのちに現地にスカウトを派遣、そして最終的にカジガオ本人がブラジルに飛び、何試合かマルティネッリを観戦し、最終的な獲得のゴーサインを出した、という流れだったようです。
流石にスヴェン・ミスリンタートと比べると発掘した選手の数という点では劣りますが、質だけ見れば、最近のアーセナルのスペイン/南米系の獲得はあたりが多い印象で、もしかするとチーフスカウトに昇格したことを受けて、今後その腕を発揮する機会が増えるかもしれません。
まとめ: マルティネッリの活躍の意味するもの
ただ、今回のマルティネッリの大活躍を受けて明らかになったのは、当然といえば当然なのですが、やはりきちんとしたスカウティングによる選手獲得は重要である、ということではないでしょうか。
コネクションベースでの選手獲得を是とするサンジェイがクラブに残り、権力闘争に敗れたような形でミスリンタートがクラブを去ったことで、アーセナルは代理人やコネクションをベースにした獲得が増えていますが、これらはお世辞にもうまくいっているとは言えません。
ミスリンタートが分析した結果獲得を決めたといわれるゲンドゥージやトレイラが結果を残している一方で、(真相は明らかではないものの)明らかにコネクションによる獲得のように感じるデニス・スアレスやセバージョスといった選手たちは非常に苦戦しています。
また、ペペにしても、良い選手だとは思いますが、スーパーエージェントのジョルジュ・メンデスに介入を依頼したおかげで獲得できたという側面はあるものの、恐らくその結果代理人に支払ったお金なども勘案すると市場価値を大幅に上回る額を恐らく支払ったはずです。
そういった点では、もちろんこれもペペの今後の活躍次第ではありますが、やはりこちらも賛否両論あるのではないでしょうか。
そんな中きちんとしたスカウティングの手順を踏んで獲得されたマルティネッリがセンセーショナルな活躍を見せているのは、少し皮肉ともいえるでしょう。
選手の発掘にかけては右に出るものがいないミスリンタートが既にクラブを去ってしまっているのは残念ではありますが、ただ、カジガオにはスペイン人であるという強みがあります。もしかすると、マルティネッリ獲得の実績を武器にサンジェイ・エドゥにより自身の権限を強め、分析ベースの獲得を増やすよう提言したり、などといったことももしかすると出来るかもしれません。
次の夏はアーセナルとアルテタにとって非常に重要なものになるはずです。もう夏に向けたスカウティングは始まっているはずですが、せっかくアルテタが上向きにしてくれたアーセナルですので、それをうまくサポートできるような選手獲得を期待したいものです。
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