ベジェリンとティアニーがアーセナルにもたらすもの
現代フットボールにおけるサイドバックの重要性は既によく知られている。エメリのチームは今季流れるようなサッカーを展開できているとは言い難く、守備面でも被シュート数は酷いもので、今季のアーセナルの試合は混沌としているかあるいは混乱しているかのどちらかだ。
ルイス、ソクラティス、ジャカの三人が時にだらしなくすら見えるチームの中心で汚名をかぶっており、アーセナルファンはそんな解読不可能なチームを解読しようと皆で眉間にしわを寄せている。
サポーターの多くは、ベジェリンとティアニーの復帰に多くの希望を乗せている。彼らのポジションを務めることが多かったナイルズとコラシナツは、二人とも4バックでのサイドバックに向いているとはあまり言えないからだ。
ウナイ・エメリも同じことを考えていたようで、最近はナイルズの代わりにチェンバースを起用し始めた。また、昨季の終盤にはサイドバックの抱える不安を解消するために5バックを用いることも多かった。この形なら、モンレアルがWBのコラシナツをカバーすることが出来る。
今季は3バックは採用されていないが、それでもコラシナツとナイルズの穴をカバーするための特別策は採られている。
今季のガナーズは3センターかダイヤモンド型の中盤を起用しており、ジャカ以外の二人がサイドによってカバーを担当することが多い。このため中央は空いてしまうことが多く、ジャカがルイスとソクラティスの前にぽっかり空いたスペースを一人でカバーしなくてはならないという事態が頻発している。
ジャカ、ルイス、ソクラティスの三人のパフォーマンスが悪いように見えるのは、彼らがカバーするべきスペースがあまりに広すぎることがその主要な原因だ。
エメリがよりティアニーとベジェリンを信頼できると判断すれば、中盤はより中央に絞ることが可能となり、中央はより守備的に安定するだろう。これにより、ジャカ、ルイス、ソクラティスの3人のパフォーマンスも安定するに違いない。
また、エメリが中盤の選手をサイドに張らせる傾向にあったのは、ペペのことをまだ完全に信頼していないからというのもあるだろう。彼はリバプール戦とワトフォード戦でより中央寄りのポジションで先発している。ペペは積極的な守備で知られている選手ではないのはもちろんだが、攻撃面でも今のところまだ目に見えた結果を残せていない。
ペペもまた、ベジェリンの復帰によって恩恵を受けることになるだろう。ベジェリンのオーバーラップはペペと対峙する相手DFを悩ませるだろうし、二人でプレイする時間が増えれば、連携も高まるはずだ。
理論上は、この二人の相性は抜群で、ペペが中に入ってドリブルしたがるのに対して、ベジェリンは相手DFの注意を外にひきつけつつ走りこむことが出来る。
サイドバックがエメリのスタイルにとって非常に重要であることは明白で、彼はウイングに中に入って中盤の選手と"ボックス"をつくり、CMFとウイングのコネクションを作ることを要求する。
このような戦術が上手くいくかどうかは、それによって空いたスペースをサイドバックが埋め、横幅を保てるかどうかにかかっている。コラシナツとナイルズにこれが出来ないわけではないが、問題は、エメリが彼ら二人がこの攻撃面でのタスクをこなしつつ、同時に守備に間に合うように戻ってこられる信頼していない点だ。
チェンバースはこの役割を比較的うまくこなしているが、やはり90分間上下動を続けるだけの肉体は備えていないように見える。コラシナツも同様だし、ナイルズはフィジカル的には問題はないが、自分自身で認めている通り、守備のセンスを欠いている。
だがこれは、ベジェリンとティアニーにとってはそこまで問題とならないはずで、結果としてアーセナル全体の構造がよりタイトになるだろう。
もちろん、ベジェリンは長期離脱から復帰したばかりであり、年末年始あたりまでは出場時間を制限しながら注意深く見守らなくてはならないし、ティアニーもセルティックではケガがちな選手だったため、慎重になる必要はあるのも忘れるべきではないが。
昨季我々は、よりクオリティの高いウイングが居ればチームはましになるだろうと考えていた。クラブは72Mをペペに投資し、サカやネルソンといった選手も良いプレイを見せている。だが、特にアーセナルがより安定している兆しは見えない。
ベジェリンとティアニーがチームの欠点を全て解決してくれるとはいかないだろうが、今季のエメリが抱えるチームの構造的な問題のいくつかは、彼ら2人の復帰と共に改善されるはずだ。
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