ダニ・セバージョスがアーセナルにもたらすもの
ダニ・セバージョスのレンタルでのレアルマドリードからのアーセナル加入がついに発表された。ベルナベウではあまり出場機会が得られなかったが、彼は、エメリのチームに新たな一面を加えるエキサイティングなタレントだ。
先日のユーロU-21でも、彼はその能力を余すことなく披露していた。長距離からのシュート、素晴らしいアシスト、きらりと輝く足技を見せ、中盤をコントロールしていた。彼はスペインのキャプテンを務めてトロフィーへと導き、これは、彼の獲得レースを巻き起こすこととなった。
そして、トッテナムからの興味も報じられていたが、獲得レースを制したのはアーセナルだった。資金不足のアーセナルにとっても相応しいだけでなく、セバージョスはレアルで得られなかった出場機会を与えられるだろう。さらに、彼はアーセナルに中盤に欠けているクオリティを備えている。
マドリードでの苦境
Embed from Getty Imagesだがその前に、セバージョスはマドリードでの苦い思い出を振り払わなくてはならない。2年前のU-21大会でも素晴らしいパフォーマンスを見せ、大バーゲンと見られた15Mで、レアルベティスからバルサやアトレティコ、ユベントスとの競争を制してマドリードへ移籍した当時はスペイン屈指のタレントと見られていたが、そこから2年が既にたった。
もちろんレアルの層の厚さを考えれば彼は忍耐強くなければならないことはわかっていたはずだ。だが、2017年九月のアラベス戦で初先発した際には二得点を挙げ、マンオブザマッチに選ばれている。
ジダンは彼は多くの機会を得るだろうと語っていたが、その後もそのシーズンは年間9試合の先発出場にとどまった。セバージョスはそのシーズンを『失われたシーズン』と語り、『ハードワークをしたけれど、不可能だと悟る瞬間みたいなものがあった。もしジダンが留まっていたら、恐らく移籍を希望していたと思う』と加えた。
セバージョスはロペテギやソラーリ体制下でより多くの出場機会を得たが、ジダンが3月に監督に復帰し、その直後に彼の移籍が決まったのはまったく驚きではない。買い取りオプションがついていないことを考えれば、選手自身はまだレアルに将来があると考えているのかもしれないが、一年後にレアルの監督が誰であるかにそれは大きく左右されるかもしれない。
サッカー選手にはつきものだが、ジダンとの関係の悪化はセバージョスの性格面に関して疑問符がつけられたことが原因だ。彼はとても気性が激しく、過去にその性格は何度か問題となっている。
かつては降格が決まった相手チームに対する挑発で罰せられたこともあるし、ツイッター上での問題発言で謝罪を強いられたこともある。過去に彼の監督だったメリノはよりプロフェッショナルになり、一人の人間として成長することを求めたし、ポジェは彼の姿勢に批判的だった。
とはいえ、それは昔の話で、今となっては彼は成長したという見方もある。スペインU-21監督のカスティーヨは彼をキャプテンに任命した。MARCA紙にセバージョス自身が語ったところによれば、『選手として、そして一人の人間として大きく成長したと感じる。これが、僕が今回素晴らしい大会を過ごせた大きな理由の一つだ。』そうだ。
華麗なスキル
Embed from Getty Imagesジダンはセバージョスの性格面に難があるというかもしれないが、彼の才能に関しては疑いの余地はない。環境さえ整えば、彼はそのクリエイティビティとスキル、視野で試合を変える力を持つ。
今回のU-21ユーロで2ゴール2アシストを挙げただけでなく、大会中最多のドリブル数とチャンス創出数を記録し、そしてパス数も最多だった。彼はすでにスペインA代表でも6試合出場経験があり、その数は今後増えていくだろう。
確かに今のところレアルでは本来の姿を見せられていないかもしれないが、レアル・ベティス時代の彼は素晴らしく、特に最終シーズンではバルサとアトレティコ両方に引き分けた試合のパフォーマンスは圧巻だった。この2クラブが彼を獲得しようとしたのも全く驚きではない。
このシーズン、成功ドリブル数で彼を上回ったのはネイマールとメッシだけだ。しかも、この時彼は最初の3か月間監督のポジェの評価を得られず、ほとんど出場機会がなかったにもかかわらずだ。当時、チームメイトのカストロは『このチームはダニ・セバージョスと残り10人のチームだよ』とコメントすらしていたほどだ。
アーセナルに欠けているピース
Embed from Getty Imagesアーセナルは、同じような活躍を彼が今季見せてくれることを願っているだろう。セバージョスはトップ下としてもプレイ出来るが、キャリアの多くを通じてより深い位置でプレイしてきた。恐らく、このポジションこそアーセナルが最も彼を必要とする場所だろう。
サンティ・カソルラが去って以降、パスとドリブル両方を駆使して相手チームのラインを破れる選手がアーセナルにはいない。その結果、アーロン・ラムジーが居た状態でさえも、アーセナルはチームを動かしてスキを突いたり、プレスをかわすのが苦手になった。
これは、数字に如実に表れており、今季のアーセナルはチャンス創出数が11位、ドリブル数が12位だった。2014/15シーズンにはアーセナルはリーグトップのドリブル数を記録していたことを考えると後者は特に衝撃的だ。当時アーセナルは一試合当たり16と今のアーセナルの倍のドリブル数を記録していた。
セバージョスは、今のアーセナルに欠けている閃きを提供してくれるだろう。アーセナルは昨季ゲンドゥージとトレイラといった選手で中盤を補強したが、彼は全く違う側面を持っている、彼の多彩なスキルは、すぐにエミレーツスタジアムとプレミアリーグをライトアップしてくれるに違いない。
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