グラニト・ジャカ大躍進の理由

分析Tim Stillman,海外記事

1ヶ月前に、この18か月間のアーセナルにおいて、ジャカの役割がいかに進化してきたかに関する記事を書いた。

これは監督のアイディアという時点で非常に興味深いものだったが、ジャカが今季ここまでこの役割をどれほどうまくこなしているかを考慮するとさらに興味深いものとなっている。

ジャカは先週の試合でキャプテンマークを巻いて出場し、これはファンにも温かく迎えられた。以前からジャカはファンよりも監督とチームメイトからの評価が高い選手ではあったが、今のジャカはアーセナルファンがこの6年間目にしてきた中で最高のパフォーマンスを見せていると言っていいだろう。

恐らく、ジャカが今季ここまでのプレイを見せている背景にはいくつかの理由がある。まず大きな要因の一つは中盤の底に位置するトーマス・パーティの存在だ。

アルテタがジャカを今の8番の位置に移す前には、ジャカがより低い位置でCBからボールを受け、前に配給するという役割を担っていた。

この問題は、ジャカはそこまでプレスへの耐性が強くないことだ。加えて、プレイエリアが低いと守備でカバーしなくてはいけない範囲も増える。これは、ジャカの走力を考えると最適なポジションなとは言えなかった。

今のジャカは左のハーフスペースで左ウイングと左サイドバックと連携しながらプレイすることがメインで、守備時には、左側を縦にケアする必要があるものの、中盤の底のように、前後左右に広大なスペースをカバーしなくても良い。最終ラインでの守備に参加する回数も減るため、ギリギリの場面での判断ミスの心配も減少した。

パーティはジャカよりも広いスペースをカバーするのに向いた身体能力を持っており、彼のおかげでジャカの守備の負担は減った。

また、プレイ面だけではなくメンタル的な部分でも、年齢的にもジャカは中盤の同僚であるパーティ、エルネニーらと並んでチーム最年長に近く、彼が備えたリーダーシップをより発揮しやすい環境がついに整っている。

以前まではチームにはダビド・ルイスやラカゼット、オーバメヤン、ソクラティス、ベジェリン、ムスタフィ、エジルといった経験豊富ではあるものの、アルテタの要求に応えることに程度の差はあれど苦戦していた選手たちが在籍していた。

彼らは全員クラブを退団し、ジャカが今チームを率いる立場の存在であることは明らかだ。先発メンバーの中でアーセナル在籍歴が最も長い選手でもある。

ジャカはこの数年で行われたアーセナルのベテラン選手の大放出を生き延びた(退団に限りなく近づいているように見えた時もあったにもかかわらず)のだ

アルテタがキャプテンにウーデゴールを任命したことは正しい決断だった(今の若いアーセナルは若手に率いられるべきだろう。セスク・ファブレガスがキャプテンを務めた時のように)とは思うが、彼をサポートするリーダーグループにジャカが名前を連ねるのは筋が通っている。

そして、これは地道にクラブでの立場を取り戻したジャカへの素敵な報酬でもある。他の選手にとってもこれはインスピレーションの源となるだろう。

もちろん、ジャカ自身の成長だけではなく、彼の好調には彼の周囲の選手たち、特に左サイドの全体的な改善も一役買っているはずだ。

タヴァレスに代わってジンチェンコ、ラカゼットに代わってジェズスが加わったことで、ジャカのプレイエリアのサポート人員も大きな変化を遂げた。

まだ加入して時間はたっていないが、既にジャカとジンチェンコの連携は非常に良好で、よりボール保持の面で安定しているし、ジェズスは前線であればどこにでも顔を出し、左サイドに流れ、マルティネッリが中に入るスペースを空けるようなプレイも見せる。

このジェズスとマルティネッリのコンビネーションは対戦相手にとって非常に厄介なものとなっており、彼らがこれをケアしようとしている間にジャカは良いポジションに入り込むことが出来る。

それは、ブレントフォード戦の序盤の大チャンスでも明らかだった。

ジャカは以前から自身のチャンス創出力についてはかなり自信を見せており、例えば2017年のガーディアンのインタビューでは、自身のことをより低い位置でプレイするゼロトップ下のような選手だと語っていた。

周囲の環境が整ったことで選手が本来のポテンシャルを発揮できるようになったのかもしれない。同じことはマルティネッリにも言えるだろう。彼は今季、昨季よりもはるかに優れた選手に見える。

とはいえ、今季のパフォーマンスの好調に関してはティアニー、ジンチェンコ、ジェズス、マルティネッリのおかげという面もあるかもしれないが、一見クラブに将来がないかのように見えた時期でもジャカはモチベーションを喪失せず、謙虚に成長を続けたことに関して賞賛されるべきだろう。

以前のジャカの役割と比べると、平均ボールタッチ数は一試合当たり20近く減少しており、今の若いチームのジャカへの依存度は下がったと言えるかもしれない。だが、今のジャカの調子を見るに、彼はアーセナル入団以降チームにとって最も重要な選手となっているのだ。

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Posted by gern3137