変化しつつあるブカヨ・サカのアーセナルの攻撃時の役割

分析Tim Stillman,海外記事

今季のアーセナルのフロント4のレギュラーの4人(サカ、ウーデゴール、マルティネッリ、ジェズス)のうち、ここまでの所最も目立っていない、と言えるのががサカだ。

もちろん、それは部分的には(彼の年齢を考えればそれは驚くべきことだが)彼がこの4人の中で最も古株であるためそこまで注目を集めないということもあるだろう。今季新加入のジェズスや驚くべき進化を遂げているマルティネッリにファンの目は引き寄せられがちだ。

ジェズスは新戦力で前任者のストライカーたちよりも遥かに万能だし、彼の加入により、マルティネッリは柔軟なポジションチェンジも駆使しながらこれまでにない活躍を見せている。

我々はマルティネッリのポテンシャルは常に認識しており、いつか飛躍のシーズンが訪れるだろうと予測していたが、今季はそれになるかもしれない。

そして、ウーデゴールが調子の良い日には、ファンは彼のプレイに目を引き寄せられる。様々な小技、トリック、ルーレットにヒールパス。シルクよりもスムーズなボールタッチに素早いプレイ。

まだまだ試合数は少ないが、今季ここまでの所得点期待値とアシスト期待値ベースで見ると、ここまで最も数字が良いのはガブリエル・ジェズスだ(サカがセルハーストパークでオウンゴールを演出したのはこの数字には含まれていないことは留意する必要はある)。

また、ジョン・オリントン氏作成の以下のヒートマップが示している通り、データは今季、アーセナルの前線がペアを組むような形でプレイしていることを示している。

.サカとウーデゴール、左利きの二人のプレイエリアは非常に近いし、ジェズスは左右両方に流れるが、どちらかというとマルティネッリのいる左サイドに流れてプレイすることが多い。

昨季のアーセナルでは、実質的にサカとウーデゴールの連携したプレイが攻撃の中心だった。だが、今季はジンチェンコが加入したことで、技術に秀で、ボールを動かせる選手が左サイドにいるため、ジェズスとマルティネッリがより中央寄りのポジションを取ることが出来る、前線の5レーンの内、彼ら二人は大外ではなく、1,2レーンうちに入ることが出来るのだ。

また同時に、ジンチェンコとジャカも変幻自在にポジションチェンジを繰り返しながら攻撃に参加するようになっている。

これにより、喜ばしいことに、昨季大きくサカとウーデゴールの右サイドに依存していたアーセナルの攻撃は解消され、左サイドからの攻撃が可能になった。

左サイドからのアーセナルの攻撃はまだ今季始まったばかりなので、対戦相手がその対策をたてられておらず、ここまでの所非常に効果的なものとなっている。

下のThe Athleticのビデオでジョン・マッケンジーが指摘した通り、クリスタル・パレス戦でアーセナルの攻撃は36%が左サイドから、36%が右サイドからだった。レスター戦では40%が左、32%が右、という割合だ。

したがって、アーセナルは比較的左右そこまで大きく変わらないの割合で攻撃を行っている。

これが、私が現在のブカヨ・サカについて心配する必要がないと考える理由だ。

恐らくだが、対戦相手がアーセナルの左サイドからの攻撃に慣れ、対策を講じ始めるにしたがって、逆に再びサカとウーデゴール主導の右サイドの攻撃の迫力は増していくだろう。

既に直近の2試合で少しずつサカの存在感は高まっている。マンチェスター・ユナイテッド戦では今季初ゴールを記録しもした。この2試合でサカは0.9のxGも記録している。

サカは少しゆっくりとしたシーズンスタートを送っているが、これにはアーセナルの左右の攻撃の違いも考慮する必要がある。

左サイドバックとは違い、右のベン・ホワイトあるいは冨安健洋は、そこまで頻繁にオーバーラップをしない。したがって、基本的にはサカが大外のレーンにはって幅をとる必要があるのだ。

簡潔に言えば、サカにはジェズスやマルティネッリのように、柔軟にポジションチェンジをして中に入っていくような自由を与えられていない、ということだ。サカとウーデゴールは基本的には自分の持ち場に留まったまま、ボール保持者と連携して右のハーフスペースで相手を崩すことに専念する。

ジャカやジンチェンコのように、後ろから駆け上がってきてくれるMFも右サイドにはいない。

アーセナルの右サイドバックはどちらかというと大外のレーンでプレイするよりも中に入ることを求められる。これは部分的にはサカが大外で非常にこう素晴らしいプレイを見せるからだ。サイドで何人もの相手を引き離してボールを相手のボックス内まで運んでいける能力は、昨夏のユーロのサウスゲート率いるカウンター主体のイングランド代表において非常に重要だった。

このため、今のサカの最高のプレイは少しゴールから離れた、タッチライン際で見られることが多い。彼は低い位置でボールを受けて、前線までボールを運んで行くことが出来るし、大外に位置して相手を引き付けるようなプレイも見せる。

イングランド代表ではサカの仕事はスターリングとケインの仕事を楽にし、かつ彼らに最終局面でボールを届ける事だった。そして、今のアーセナルでもサカは似たような役割をこなしている。

サカの素早いターンと、即座に相手守備陣の奥深くまで侵入していける能力は、カウンター時には素晴らしい武器となる。現在のアーセナルのフロント4の中で、サカが最も戦術的に固定的な役割を与えられているのは、彼の成長の証でもある。

通常であれば、監督は最も若い選手に最も自由な役割を与え、楽にプレイさせようとするはずだ。

もちろんまだサカは絶好調ではないかもしれないが、彼はその戦術眼を存分に発揮し、チームに大きく貢献しているのだ。

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Posted by gern3137