スカッド管理失敗の代償を支払うミケル・アルテタ

分析海外記事

この調子で行くと、アーセナルはトップ4を逃すことになるだろう。ブライトンやクリスタル・パレス相手に敗れているようでは、チェルシーやウエストハム、スパーズ相手に良い試合が出来る見込みは薄い。

アーセナルがこのような事態に陥ってしまった原因として、冬の移籍市場での獲得失敗を挙げるファンも多いが、私としてはこれが一番の問題だったとは思わない。

確かに補強は解決策になりうるが、もし適切な選手が獲得可能な状況でなければ資金を夏まで温存するというのは良い策に思える。

アーセナルを本当の意味で強化してくれるような選手は多くなく、そのうちの一人がヴラホヴィッチだったため必死にトライしたが、代理人がユベントス移籍をプッシュしていたため成功しなかった。その他のターゲットは夏の方が移籍金を吊り上げられるとクラブ側がわかっていたため、冬に獲得できる見込みはなかった。

他にも獲得できるストライカーは誰かしらいただろうが、控えストライカーに40m£を費やすわけにはいかない。このような獲得に失敗してしまえばより長期的なダメージが考えらえる。

狙うのであればフリー移籍、あるいは内部昇格だろう。アーセナルには無尽蔵の資金があるわけではなく、スカッドの層を厚くするための獲得にはスマートにならなくてはならない。

真の問題は、アルテタがここからの期間で、ローテーション要員の選手たちに試合への出場時間を与えなかったことだ。アーセナルの控えストライカー問題の解決策となる選手として、既にエディー・エンケティアが居た。アーセナルはもっと彼に出場機会を与え、調子を保つべきだった。

継続して出場機会を得ていれば、彼は何得点か決めてくれていたに違いないし、今我々はラカゼットの不調を話題にせずに済んでいただろう。

冨安とセドリックの事を考えてみてほしい。冨安は少し使われすぎ、怪我をしてしまった。彼が離脱となり、代役としてセドリックがプレイすることになった時、ファンは絶望的な気持ちになった。だが、実際にはセドリックはプレイするうちにリズムを掴み、バックアップとして素晴らしい仕事をこなしている。

選手は本領発揮するためには出場機会がある程度必要なのだ。ウーデゴールもそうだ。彼はアーセナルが安定した出場機会を与えたからこそ今の活躍がある。

そして最も重大なケースがヌノ・タヴァレスだろう。彼は今季前半素晴らしいパフォーマンスを見せ、キーラン・ティアニーとスタメン争いを演じて見せた。

だがそこから、彼は2か月出場がなく、フォレスト戦でようやく出場となった時にも、30分と少しで下げられてしまった。しかも、そこから調子を取り戻す機会を与えられなかった。彼が今本調子でプレイできないのも当然だろう。

もしアルテタがヌノ・タヴァレスに見せたのと同じくらいのドライさをラカゼットに対して示していれば、今頃アーセナルはより良いポジションにいたかもしれない。

ラカゼットは直近の3試合でチームに全く何ももたらしていないにもかかわらず、なぜ先発出場を続けられるのか、私にとっては全く持って謎だ。ラカゼットは2022年に入ってから一度もオープンプレイから得点していないストライカーなのだ。エンケティアは先日の30分間でラカゼットの3試合分以上のものをアーセナルの攻撃にもたらした。

ブライトン戦でアルテタは明らかに考えすぎてしまった。ジャカの左サイドバックは機能せず、ウーデゴールは深い位置で輝けず、他の選手たちも慣れないシステムのせいで混乱し、本来の活躍を見せられなかった。

この2試合でアーセナルは多くのことを学んだ。

まず第一にチームはトーマス・パーティの素晴らしさに大きく依存していたということだ。彼が居なければアーセナルの好調の基盤となったシステムは成り立たない。アーセナルは夏にパーティとローテーションが行えるようなMFを獲得する必要がある。彼のアーセナルでの怪我歴を考えると、彼一人に頼り切ってしまうのは現十的ではない。

そして、そろそろラカゼットの先発起用を諦める必要がある。彼はアーセナルが調子を取り戻すうえで重要な役割を果たした。だが彼は得点できないし、今や疲れ切って見える。

サウサンプトン戦ではエディーの先発を試すべきだ。夏に彼がフリーで移籍することが確定的なのは懸念ではあるが、それでも彼が活躍を見せてくれるかもしれないし、仮に彼がモチベーションを喪失しており、思うような活躍が見せられなかったとしても、ラカゼットの先発起用と比べて特に状況が悪化しているわけでもない。

そして、来季はアルテタはスカッド管理に関して考える必要がある。彼は少しスタメンを固定しすぎ、今その代償を支払うこととなっている。タヴァレスに対してもう少し辛抱強さを見せなかったせいで、今アーセナルはトップ4の座を失いそうになっている。

冨安が怪我をした時点で黄信号は灯っていたのだ。だが、アルテタが抱えるコーチングスタッフが監督にもう少しローテーションをすべきだと助言しなかったのも少々奇妙だ。誰かが進言していれば、アルテタは苦い実践を通して教訓を学ぶ必要はなかったかもしれない。

もちろん、アルテタと彼らに公平を期して言えば、絶対的なスタメンの右サイドバック、左サイドバック、CMFの3人を同時に失うことに対処できるクラブは多くない。点を決められないストライカーに対してもだ。これはかなりのレアケースであり、来季アーセナルがこのような事態に対処する必要がないことを祈ろう。

とはいえ、これがスパーズがトップ4へと向かって走っていく我々の気持ちを慰めてくれるわけではないが。

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Posted by gern3137