アーセナルの攻撃はもう読まれてしまったのか？ 後編

2022-04-09分析Tim Stillman,海外記事

前編はこちら！

さて、アーセナルの今後を考えるにあたって、考慮しなくてはならない点はいくつかある。まず第一に、もう今季も終盤となっており、非常に結果が重要となっている。究極的なことを言うと、ここからの9試合は内容が最悪の1-0の9連勝でも構わないのだ。

第二に、今のアーセナルは何人かのキープレイヤーをけがで欠いている。今季のスカッドの層の薄さが誰もがわかっていたことだが、欧州コンペティションの出場権がなかったこともあり、アーセナルはリスクを受け入れギャンブルに出た。クラブの人員整理が課題だったからだ。スカッドの増強の前に現有戦力の整理が必要だった。

結果として、今季後半をアーセナルは主力に怪我が出ないことを願いながら迎えることとなった。だが、これは恐らくマンチェスター・シティ以外のほとんどすべてのイングランドのチームに言えることだろう。2,3人の絶対的なスタメンを欠いても戦力的にほとんど遜色ないチームを維持できるクラブは少ないはずだ。

左サイドバックの控えであるヌノ・タヴァレスは非常に粗削りであることを露呈している。彼は時折ブレーキなしで下り坂を下る自転車のようなプレイを見せる。すべてがうまくいけば観衆を魅了するが、うまくいかない場合には救急車が必要だ。

彼が出場した直近の二試合ともでアーセナルは早々に彼を諦め、緊急車両を送り込む必要があった。

ティアニーは今季中には復帰できないと発表されており、アルテタは真剣に頭を悩ませていることだろう。

もし次のブライトン戦でタヴァレスが先発しなければ彼のアーセナルでのキャリアは終わりを告げてしまうだろう。このような状況下で使われないとなれば、監督が彼のことをもう信頼できないという証に違いないからだ。

彼の獲得はかつてのアーセン・ベンゲルのローコストな宝くじ的な獲得の雰囲気があった。問題は、彼が彼がコロ・トゥーレなのか、それともアマウリ・ビショフなのかだ。現時点では彼はビショフメモリアル・出発ラウンジに向かっていってしまっているように見える。

とはいえ、アルテタは左サイドバックに関してその他のオプションが豊富にあるというわけでもない。彼が出来るのはパーティが居ない中盤からさらにジャカを外して左サイドバックに起用するか、ホワイトを右サイドバックに移してその代役にホールディングを起用し、セドリックを左に回すことくらいだろう。

どちらにせよ、これらのオプションを採用するにはチームの選手の多くを本来のポジションではない位置に動かす必要がある。もし左サイドバックの穴を埋めるためにここまでの大移動を行う用意があるということであれば、恐らくタヴァレスはアーセナルで将来はないということを意味しているだろう。

個人的には、私はブライトン戦でタヴァレスに最後のチャンスを与えるべきだと思う。もちろん、そこでまたしても前半の間に第４審を呼ぶことになれば、そこまでということになってしまうだろうが。

自体をさらに複雑にしているのがパーティの離脱だ。彼は、最近のアーセナルにとって最も不可欠な選手の一人だ。サンビ・ロコンガは将来的に彼のレベルに辿り着くポテンシャルはあるかもしれないが、現時点ではまだ遠い。

アルテタが中盤をパーティに単独で任せたのと同じように、ロコンガに預けるとは考えづらい。

ロコンガを起用するのであれば、かつてのようなジャカとのダブルボランチで守備を分担するような形になるのではないだろうか。この形は、タヴァレスを左サイドバックで起用するのであれば、守備のサポートを行ってくる選手が隣に一人増えるという意味で、彼にも合っているかもしれない。

そして、アレクサンドル・ラカゼットが得点面で全く脅威に慣れていないのも、アーセナルにとって考慮すべき問題の一つだ。

彼は能力的に不可能なのか、その気がないのかはわからないが、裏へ抜ける走りを見せることがほぼなく、これにより相手守備陣は前に出てアーセナルを抑え込むのが容易になっている。

例えば、先日のアストン・ヴィラ戦の最後の20分では実質的にアーセナルは攻撃を諦めなくてはならなかった。

ヴィラのCBはラカゼットに裏をとられることがないとわかっていたため、常にセンターサークルでラカゼットに対応すればよかった。ラカゼットは裏へ走る振りすら見せないからだ。

今の彼は、低い位置に降りてビルドアップを助け、ポストプレイを行うこと以外は彼以外の誰かの仕事だと考えているように見える。

これによりアーセナルの攻撃は単調になってしまっており、特に月曜日の試合のように、追いかける展開になると非常に状況は難しくなる。

マルティネッリの中央起用も考慮すべきだとは思うが、これもまた先ほどと同じく、チームにどれくらい手を加えても良いものか、という不安がある。

左サイドバックの問題に対処するために、どちらにせよチームに大きく手を加えないといけない以上、その他の部分は出来るだけ動かさないようにすべきだ、という意見にも一理あるだろう。

一方で、もしキッチンと浴室のリフォームを行う予定があるのであれば、どうせカオスになるのだ、ついでにベッドルームのリフォーム同じ時に行ってしまえば良い、という見方も出来る。

前編で述べた通り、もし対戦相手がアーセナルのシステムを読んでその対策を打ってくるのであれば、抜本的なシステム変更はむしろ歓迎すべきかもしれない。

もちろんその場合はアルテタは練習場で選手たちが新たな3つのトリックを学び、対応できるかどうか慎重に見極めなくてはならないが。

究極的には、このような状況への対応こそが監督の仕事だと言えるだろう。19/20シーズンには、アルテタが用いた3バックはFA杯優勝をもたらした。昨季は大舞台でのジャカの左サイドバック起用とスミスロウのゼロトップ起用は不発に終わった。

アルテタとアーセナルが今季終盤に向けて、チームにどのような修正を施すかが、アーセナルが来季CLに出場できるかどうかを決めることだろう。

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