【徹底分析】マッテオ・ゲンドゥージ!一シーズン目の総括、強みと今後の改善点 前編
ちょうど昨年の今頃、マッテオ・ゲンドゥージはフランス二部からアーセナルに移籍するという非常に大きなステップアップを果たした。スヴェン・ミスリンタート主導のもと約7M£程度の移籍金で獲得された彼は最近アーセナルファンが見ることが減っていたタイプ(若く、将来有望で、安価)の移籍だった。 近年のアーセナルはキャリアのピークを迎えている選手を獲得することが多かったからだ。
W杯に出場していたジャカとトレイラがチームへの合流が遅れたことで、彼はプレシーズンにフルで帯同することになり、これにより開幕戦のシティとの試合でなんとスタメンに選ばれた。その後もシーズンを通して、ゲンドゥージは将来性豊かなところを見せたが、同時に改善が必要な部分も露呈した。
周囲を確認する頻度の少なさと得意ポジション
彼のアーセナルでの台頭に一役買ったのが、ゲンドゥージがボールを持っている際の能力だ。エメリはまず彼を4-2-3-1の深い位置でのMFの一人として起用し、GKやCBからのショートパスの受け手となることが多かった。だが、シーズン序盤に与えられたこのタスクには、彼は苦戦することが比較的多かった。
シティ戦では二枚の中盤の底の右側でプレイすることをゲンドゥージは強いられ、彼が最も得意とするエリアから離れることが多く、その結果としてビルドアップに貢献できないことが多かった。
これは彼の周囲を確認する頻度が低いことから起こる問題で、彼は時々しか周りを見渡すことをしない。特に、彼はボールを受ける直前に周囲を確認することを怠るので、その結果彼のオプションは限られてしまうこととなる。
特に右サイドにいる際にはうまくピッチの中央に向かって体を開くことが出来愛ので、この点が顕著になってしまう。これが、彼とジャカのコンビが上手くいかない理由の一つで、ゲンドゥージはトレイラと組んで左側で起用されたときのほうがはるかに効果的だ。
中盤の左側で起用された際に現れる違いは明確だ。彼はCBの脇に落ち、代わりにサイドバックのオーバーラップを促す役割を託されていた。これは彼に非常に合っていて、相手のプレッシャーから離れ、ピッチを確認する時間を確保することが出来る。
そして、プレッシャーにさらされた時でさえも、彼の最も大きな強みの一つであるボールのキープ力を生かすことが出来る。昨季はこれが活かされた場面がそこまで多くなかったが、今後はプレッシャーを回避する方法として、もっと使っていくべきだろう。
ボール前進への貢献
彼のインパクトについて語るうえで外せないのが彼のボールを前に運ぼうとする積極的な姿勢だ。彼はいつも体をうまく開いて前にパスを出すためのオプションを見つけ出そうとする。シーズン序盤は逆足の使い方もあまりうまくはなかったが、シーズン終盤にかけてははるかに良くなった。
また、当初は彼はボールを数m以上運ぶことをしなかったが、時間が経つにつれてこれは劇的に改善された。彼はシーズン終盤には中盤をドリブルで駆け上がり、ファイナルサードのアタッカーと連携するまでになった。3-4-3が継続して採用されるようになったのと無関係ではないだろう。
また、ボールを受け取る際の空間把握力には疑問が残るものの、それ以外の場合にスペースを見つける能力は大きく上達した。彼はハイエネルギーなMFで、自由を与えられれば、いろいろなポジションに神出鬼没で出現する。
サイドチェンジをしていたかと思うと、そのままそちらのサイドのサポートのために走って言ったりもする。そして、これに関して最も素晴らしいのは、彼がチームの守備に穴をあけることなくこのようなポジションの移動をやってのけるということだ。
彼は基本的にスペースのないところに走りこんでいくことはせず、空けられたスペースに走りこむことしかしない。したがって、守備時にもスペースを埋める形になるのだ。3-4-3時の高い位置でのゲンドゥージは攻撃陣を潤滑に機能させるのに貢献していた。
ここまで読んできて、多くの人が抱く究極の疑問は、『結局彼は頼りになるボランチになれる素質を秘めているのか?』だろう。この答えは彼がポジション面で規律を保てるかに懸かっている。ピッチ上を走り回るスタミナを備えているにもかかわらず、ゲンドゥージの選手としての成長は、彼が自身をビルドアップの第一フェイズと第二フェイズに関わることのみに制限できるか次第かもしれない。
以下、それがなぜなのかを語ろう。
(明日の後編に続きます。)
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